講演会の中から
田舎での暮らし

さあ、いよいよ田舎での暮らしです。
みんなは、都会の道を歩くのと、田舎の道を歩くのとでは、どちらが簡単だと思うのかな?。
単純に考えると、都会の道路は車の量も多いし、人がたくさん歩いているから難しいように思うよね。
私も、都会の道路にはとても苦労したから、田舎に帰ったら思う存分歩くぞと楽しみにしていました。

どうかな、よく考えてみると、田舎の道と、都会の道路との大きな違いはどんなことかな?。
そうだよね、まず信号が少ないし、車の量も少ないし、人もあんまり歩いていないよね。
だから、歩きやすいと思うけど、それが全く反対なんですよ。

ここで、考えてみようか?。
私は宿毛市でもとても田舎に住んでいます。
そこには、国道まで行かないと信号も、きちんとした交差点もありませんし、人もほとんど歩いていないです。

けど、バーベリーはきちんと私を誘導しなければならないよね?。
バーベリーが、田舎に来て1番困ったのはコーナー探しでした。
この意味、分かるかな?。
そう、私の住んでいる近くの道には、きちんとした角がなくて、バーベリーが、ここは角なのか、広場なのか迷ってしまうんです。
それに、田舎の道は、少しずつカーブしながらくねくねと曲がっていますよね。
少しずつ曲がった道は、今度は私の方がどっちへ行っているのか分からなくなり、バーベリーが角で止まっていても、私の方が勘違いしてしまい、曲がり角を間違えてしまったり、山奥へ迷い込んだりしたこともあります。 もう、国語の教科書で勉強していると思うけど、盲導犬はかってに行動することはできませんよね。
いくら毎日行っているスーパーでも、角があれば止まらなければなりません。
毎日同じ道だから、たぶん今日もあのスーパーに行くんだろうなとかってに歩くことは許されませんよね。

けど、盲導犬は目的地の地図を知っている訳ではないですよね。
みんなは、えーと思うかも知れないけど、ここから駅まで連れてってよと謂っても、バーベリーは駅までの道順は知らないよね。

そう、今日は高知まで行きたいなと思えば、主人の方が高知までの行き方を知っておかなければ、高知まで行くことはできないんですよ。
みんなは、盲導犬がいれば、どこでも自由に行けるんだなと思っていると思うけど、盲導犬は目の不自由な人を安全に誘導してくれるだけで、道順は分からないんです。
そうだよね、いくら盲導犬とは言え、カーナビじゃないよね。
 だから、田舎の道はきちんとした角はないし、信号も少ないし、道に迷っても聞く人がいなかったりして、初めの頃は、田舎の道には本当に苦労しました。
 それに、バーベリーは広い所が苦手で、小学校の庭で迷ったり、お寺のみわで下り道が分からなくなったり、角を1つ間違えて、迷路のような道に迷いこんだりして、盲導犬との歩行もなかなか難しいなと落ちこんだ時もありました。

バーベリーと暮らし始めて、今年の5月で7年になりました。
最初の頃は思うように歩くことができず、もうバーベリーを協会に返そうかなと思ったこともあったし、私の体調が悪い時でも散歩はしなければならなかったりして、盲導犬の暮らしはいい時だけではなかったけど、こうしてみんなに出会えた事、そして、いろいろな経験ができたこと、今では彼女に本当に感謝しています。
彼女と出会えたことで、外出が自由にできるだけでなくて、大きな勇気と、たくさんの出会いをもらいました。

バーベリーも、今年の9月で9歳です。
これから先、、どれだけ一緒に暮らせるのか分からないけど、これまで、多くの出会いや勇気をくれた彼女、1日でも長生きしてほしいなと思っています。
この田舎での暮らしも、私のホームページ「アイメイト・バーベリーとの出会い」に詳しく載せていますので、また見てくださいね、。さいね、。

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