いよいよ、街に出ての歩行訓練の始まり、はじまり・・・・・。
街に出ての歩行訓練は、まず、訓練士さんについて歩き、道路の状態や、交通ルール、信号の判断などをします。
その訓練が数日続き、その後でテストがありました。
私はテストがあることを全然知らなくて、あんまりまじめに歩いていなかったから、テストの時にはとっても苦労しました。
その日の午後から、私たちははじめてのテストを受けました。
テストの時は、これまでの訓練をあまりまじめに受けていなかったから、いろいろ迷ったり、協会の場所が分からなくなって人に聞いて、やっと帰って来ることができました。
さて、私たちはテストに合格する事ができたのかな?。
そう、アイメイト協会のテストは、時間内に帰って来るのではなくて、歩行のルールを守り、きちんと目的地に着くことです。
この場合の目的地というのはアイメイト協会のことだから、私たちは1回で合格する事ができたんです。
このテストは、順調に行けば30分くらいで帰って来れるのだけど、私たちは迷いに迷って1時間近くもかかってしまいました。
やっぱり、まじめに訓練受けなきゃだめだなと反省しました。
みんなは、目が見えない人がどうやって知らない道順を覚えると思うかな?。。
アイメイト協会では、最初訓練士さんガ言葉で教えてくれます。
それから、点字の地図に触って完全に覚えます。
ケド、私は目が不自由な人ガ行ク盲学校に行ッテいなかったので、点字の地図を見たことがありませんでしタ。
点字ノ読み書きはできるけど、とうとう最後まで点字の地図が分かりませんでした。
そうすると、私はどうして新しい道順を覚えたと思いますか?。
それは、自分の頭の中に地図を書いて、歩行中にそれを思い出して歩きました。
新しいコースは4つあり、それぞれに何日間か歩く練習をして、次のコースになる前に必ずテストがありました。
テストは全部で4回で、それに、銀座という日本でもとてもにぎやかなところで卒業試験がありました。
合宿訓練では、信号の判断の訓練を受けたり、大きなデパートに行ってお買い物の練習をしたり、エレベーターやエスカレーター、電車やバスなどの乗り物の訓練、駅で切符を買う訓練や、レストランなどで食事の訓練も受けました。
役1ヶ月の合宿訓練中には、いろいろと失敗や大変だったなと思うこともたくさんありました。
全部はお話する時間がないから、その中でも、とても怖かったことのお話をします。
それは、ふみ切りのあるコースのテストの時でした。
私たちはいつものように、そのふみ切りの所まで歩いて行きました。
ところが、ふみ切りまで来ると、練習の時とは状態が変わっていました。
なぜかというと、私たちが訓練を受けたのは昼間だったけど、テストを受けたのは夕方のラッシュの時間帯だったんです。
ラッシュの時間帯って分かるかな?。
そう、お父さん達がお仕事に行ったり、学生が学校に行ったり帰ったりする時間で、電車やバスが1番たくさん通る時間帯のことだよね。
私たちは、兆度帰りのラッシュの時間帯にテストを受けたと言うことです。
その時は、遮断機が上がっても、全然前に進む事ができなくて、数回電車を見送りました。
けど、こんな事をくり返していても、テストには合格できないし、協会まで帰れないよね。
4回か5回くらい電車を見送ったけど、良し、今度遮断機が上がったら、絶対に渡ってやるぞと思い、バーベリーにつけているハーネスを握りなおして、「「よし、バーベリー行くぞ。ストレート・・・・。」
と、大きな声で命令しました。
それまでは、私が命令しても前に進むことができませんでした。
どうしてかと言うと、お仕事から帰る人たちの車がイッパイだったことと、電車の数が増えていて、遮断機の開いている時間がとても短かったということと、車の量がものすごく増えていて、ふみ切りを渡ろうとしても、歩いている私たちは端の方へ方へと押されてしまったような状態でした。
私がストレートと命令すると、バーベリーは一気にふみ切りをかけ抜けようとしましたが、その時、私たちに大きなアクシデントが起きてしまったんです。
どんなことが起きてしまったと思う?。
昔の人がよく言っていた、、あせればあせるほどろくな事がないということがあるように、私たちにもろくな事がありませんでした。
それは、踏み切りのど真ん中で、私のスニーカーが抜けてしまったんです。
こんな時、みんなだったらどうする?。
私もいろいろ考えたけど、東京の街を裸足で歩くのも悲惨だし、足の裏も痛いなと思って、そのふみ切りのど真ん中でしゃがみこんで靴を探しました。
けど、さっきもお話したように、そこのふみ切りは車も多いし、電車はすぐに来るから、とても怖いよね。
手を伸ばしながらいろいろと触ったけど、なかなか靴は見つかりませんでした。
ふみ切りの中で手を伸ばしたりすると、その手の上を車が通って行くような感じがしてとても怖いし、トラックなどのタイヤの風に吸いこまれそうな気がして、それは怖いよね?。
それともたもたしていると、また遮断機の下りる合図の音が鳴りだしました。
もう、電車はすぐそこまで来ていました。
私はもう無理だなと立ち上がり、バーベリーに「ゴー」と命令しました。
けど、バーベリーは前に進まないで、逆戻りしてしまったんです。
どうして、バーベリーは引き返してしまったのかなあ?。
そうだよね、バーベリーは私に靴のある所を、鼻先をくっつけて教えてくれたんです。
もう、靴をはく暇はありません。
私たちはその靴を持ったまま、裸足でふみ切りをかけ抜けました。
私たちがふみ切りでもたもたしている間に遮断機はもう下りていて、遮断機の棒をくぐり抜けて道路に出ました。
私たちが道路に出たと同時に、背中の後ろを何両も繋がった電車が通り過ぎて行ったということです。まさに、危機一発だったよね。怖いよね?。
その他にも、いろいろな失敗や大変なこともたくさん会ったけど、全部のテストと、卒業試験にも合格した時には、バーベリーのおかげだなと、とても感謝しました。
合宿訓練は、昼間には街中に出ての歩行訓練で、夕ご飯を食べると、毎日盲導犬についての勉強がありました。
卒業式も終り、さあ、明日はやっと宿毛に帰る日です。
アイメイト協会では、卒業と同時に社会参加です。
社会参加とは、世の中に出てお仕事をしたり、ボランティア活動など、社会の中でいろいろな活動をすることだよね。
この時の社会参加と言うのは、盲導犬と二人で宿毛まで帰ることです。
さあ、私たちは無事宿毛に帰ることができたでしょうか?。
詳しいことは、私のホームページ「アイメイト・バーベリーとの出会い」を読んでくださいね。
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