アイメイト バーベリーとの出会い
(14)パソコンを使うことがぜいたく?

ブラッシングをしていたら、理事長さんの息子さんが手紙を持って来た。タイから届いたばかりの、マコさん宛のメール。「読みましょうか?」「はい、お願いします。」息子さんは、さも当然のように読み始めた。私達は、その内容を聞いて驚いた。すべてが外国語。タイから届いたのだから、当たり前!と言えばそれまでだが・・・。読む者もすごいが、うなずきながら聞いているマコさんも大したものだ。「解りましたか?」「はい、ありがとうございました。」

私達は、「ウオー!」と、一斉に声をはり上げた。マコさんは、「内容は、特別変わった事ではなかった。」と、クス!っと笑った。そこで、彼がすかさず、「だから、ついて行けないのよネー!」と、からかった。その時、私も、普通の大学を卒業した者は、教養の深さがちがうなあ!と、改めて感心した。それと、驚いた事がもう一つ。協会に面会に来ていた友人に、アメリカからのメールを読んでもらい、それを、読むと同時にすらすら書きとっていた。私は、テーブルの上の、点字を書きとる、コツコツと言う点筆の音に聞きほれた。

点字の達人を知らない私は、人間業!とは思えなかった。ふつうの字を書くよりはるかに速い。長年の経験と言えばそれまでだが、それにしても・・・。書取の、終わったマコさんに聞いてみると、「授業で、何年も使っていればこのくらいのことは当たり前!」と言いながら、自分の頭をクシャ!っとなでた。マコさんは、いつもさりげないのが、なんと言っても彼女の魅力。日本語の書取もおぼつかない私にとって、英語の読み書きがすらすらのマコさんは、違う世界にいるような気がした。マコさんも、少し恐縮したのか?「山戸さんも、独学でこれだけ使えれば大したものですよ。盲学校に行っていても、ほとんど読み書き出来ない人も結構いますよ。独学で、それ程速い事の方が、かえってすごい事ですよ。」と言った。

私自身、点字にはあまり苦労をせず、読み書きができる事に満足していたが、英語の読み書きは、まだまだ練習不足。最近では、パソコンに頼っており、点字の方がおろそかになっている。長野県の彼女も、点字の腕前は相当なものだ。**私は、いぜん、「道楽でパソコンができ、いいご身分よネー!」と言われたことがある。

確かに、安い買い物ではない。だが、決して、ぜいたくな物とは思っていない。なぜなら、私達にとって、パソコンは便利な物であり、生活にはかかせない物になっている。たんに、道楽だけで使っているのではない。少なくても、私はそう思っている。視覚障害者の中でも、いろいろな考え方はあると思うが・・・・。

見えない者が、音声を頼りに、感じを書くことは簡単ではないし、点字だけで授業を受けてきた者にとって、性格な漢字変換は、想像以上に努力しなければならない。見えない者同士のデータ巷間では、気を使うことは少ないが、晴眼者とのメール巷間ともなれば、文章の書き方が気になる。とは言っても、自分の努力しだいで、ある程度はクリアーできる。

なんと言っても、書きたいことを自由に書けるのが魅力。この便利さは、使ってみないと解らない。私は、パソコンを購入した当時は、友人の助けを受け、自分なりに勉強し、なんとか使えるようになった。今では、簡単なプログラム(テキスト形式)は書けるようになってきた。「時間があるから、やりほうだいよネー。」とも言われたこともあるが、時間がどれだけあっても、パソコンは一人歩きする物ではない。それなりの、操作をしないと動いてはくれない。それがまた、音声パソコンは簡単には動かない。当時は、毎日、図書館から資料を集め、数百本のテープを聞き、友人の録音してくれた「NHK・パソコン実戦セミナー」のテープも合わせて聞いた。この放送は1年間あり、基礎を学ぶことができた。

時間があるとないでは、大きな違いだが、忙しく働いている人の中にも、高いレベルで操作している者も多い。単なる時間の問題だけではない。目的があるなしのちがいが大きい。

パソコンが使えるようになり、聴覚・視覚障害者が、メール巷間ができ、見えない者がモデムを返して、ファックスが送れ・通信ができ・その上、簡単な操作で、点訳図書を自由に読むことができる。他にも、家計簿をつけたり・アドレスの管理・なんと言っても、メール巷間が簡単にできる。視覚障害者でも、点字のできる者ばかりではない。見えない者にとって、パソコンが、どれだけ便利!なのかを、もう少し真剣に考えてほしい。私は、パソコンを持っていながら、ほこりをかぶっている事の方が、「物・集めの、道楽者!」だと思っている。 **

武蔵野コースも、今日が最終日。私達は、午前と午後の訓練を、ペアーヲくんで歩いた。最後だと言うのに、何となくしっくりこない。まだ、完璧に歩くことができない。ペアーをくんで歩く際には失敗する事はないが、シングル歩行では、交差点をそのまま通過する事もある。車には気をつけて歩いているが、何もこなければ、通過してもよいと言うことにはならない。テストがないせいなのか?今一つ、気合いが入らない。

その時が、言われるままになんとなく過ぎた。何だか?「あれよ・あれよ!」と言うまに、このコースは終わってしまった。

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