(13)一時停止が気にかかる! ふみ切りコースの、テストの始まり・はじまり!「では、山戸さん、頑張って下さい。」
「山戸さん、行きましょう。」今回は、昨日までのコースのことを思えば、ずいぶん、気が楽だ。私達は、自然に歩きはじめた。8本目の交差点の近くで、「止めて!」と、言われたのだが、私は、その言葉が、「ほめて!」と聞こえ、"なに?'と思ったが、歩きながら、「GOOD・GOOD」と、ほめた。「山戸さん、止めて!」と言いながら、中橋さんが走ってきた。都会のざっとうの中では、聞き違いをすることも多い。私は、しかるとほめるを聞きちがえ、都会のど真ん中で、私の方が叱られた。理由は、一時不停止。しばらく歩いて、「ここは、何本目ですか?」と聞かれ、「エッ?10本めです。」「そうです。その調子で進んで下さい。」実際のところは、途中で交差点の数が解らなくなっていたが、適当に答えた。"これは、いつまた聞かれるか?しっかりしなきゃ'このコースは、だらだらとやけに長く、緊張感はないが、気を抜く事も出来ず、なんとなくしっくりこない。このコースは、ペアーをくんで歩いた。
私達が終わり、マコさんと、世間話をしながら休んでいたら、玄関口の方がやけにうるさい。私達は、窓から覗いてようすをうかがった。すると、いつも冷静な彼が、以上に亢奮していた。理由は解らないが、大きな勘違いをしたらしい。部屋に、帰ってきた彼に聞いてみると、13本めの交差点をわたってしまい、注意されたが思いこみが激しく、頭の切り替えが出来ず、真っ白になり、信号の判断も出来ず、困りきって帰ってきたらしい。根が真面目なだけに、まちがえた時の、落ち込みようは半端じゃない。その夜のミーティングの時にも、思い出しては、反省していた。私は、このコースは通りをまちがえることはないが、ときどき、交差点を止まらず通過したり、バーベリーが止まっているのにも関わらず、そのままほめただけで通り過ぎ、注意される事も多い。段差も、信号もない交差点は確認しようがない。
私達は、ミーティングが終わると、知恵を出し合い、何とか目印になることをさがした。結構、それぞれに、小さな事でも目印にしているのをあきれて笑った。「三人よれば文殊の知恵!」と言うが、まんざら棄てたものでもない。長野県の彼女は、さすがセカンド訓練だけあって、この頃になると、度胸がつき訓練を楽しみながら受けていた。私も、肩の荷はずいぶん軽くはなっていたが、一時停止のところが気になりなんとなくすっきりしない。私達は、少しずつ卒業してからのことを話すようになってきた。必ず、「順調に卒業出来たらだけど!」と言う前置きつきで。なにをしてみたいとか、どこへ行ってみたいなど理想を交えて話した。若者との話は、夢があって楽しい。
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