アイメイト バーベリーとの出会い
(11)指導員がたりない!

さまざまなクラスの中で、職員達は、きびきびと働いていた。協会には、理事長さん一家をはじめ、指導員が四人と、その他に、見習い職員が二人・ボランティアの食事係が一人いる。

指導員の仕事は、朝も早く、夜も10時をまわる事も少なくない。犬が、好きだけでは出来る仕事ではない。協会には数十匹の犬がおり、すべての世話を4・5人でこなしている。協会では、この二倍の職員が「理想」とか。指導員が四人のため、年に数回合同訓練が入る。合同訓練とは、犬と主人になる者との、約一カ月の寝食をともにする訓練のこと。訓練中は、指導員も泊まり込む。協会では、合同訓練の事を「クラス」とよんでいる。

一カ月も、つきっきりで指導をすると、ベルトの穴が、数個ずれるらしい。それもそのはず、指導員は、生徒の約3・四倍の距離を歩く事になる。その上、建物の中でも、階段の上がりおりをはじめ、食事の際の気配り・生徒の健康状態、それに、夜の講義もなかなか大変。合同訓練中は、生徒でも120キロメートルは、かるく歩くと言うから、指導員は、一廻クラスを持てば、ここから、大阪あたりまで歩いた事になる。体力と、精神力の勝負!好きだけで、勤まる仕事ではない。

現に、盲導犬の訓練士をめざして入ってくる者も多いが、現実は厳しく、何年もたたないうちにやめていくらしい。その証拠に、この協会にも、20年以上のベテラン指導員が三人と、十年目の指導員が一人いるだけ。指導員になるには、厳しい見習い期間が数年と、インターン期間が何年間かあり、理事長さんの判断により、やっと、訓練士の免許を取得する事が出来る。中堅クラスの指導員がいないと言う事は、思っているより厳しい世界。

以前、理事長さんは、2カ月以上も目隠しをしたままで生活し、みずから、視覚障害者の可能性を見い出した。40年前に、日本で初めての盲導犬を世に送り出している。アイメイトが誕生するまでには、口では言えない苦労をしていた。訓練士に裏切られた事・2度にわたる大病にもめけず、アイメイト一筋に生き、すべての可能性に挑戦し、確かな自信とほこりを持っている。指導員たちも、理事長さんを心から尊敬し、いきいきと働いていた。 

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