「それでは、新しいコースの説明をします!」と、中橋さんの声がすると緊張感がみなぎった。
私達は、うすうす今度のコースの事を知っていた。「このコースは、歩道もほとんどありませんし、折り返し地点で、ふみ切りを二カ所通って帰ってきます。」 私達は、"やっぱりネ"と、大きなため息をついた。地図を、見ていた彼が驚いたのも無理はない。今度のコースは、ふみ切りがある上に、手前には、四差路ではなく、親切なオマケつきの五差路。
一つ通りを間違えば、とんでもない住宅街に入る事になる。いぜん、7廻も迷って、やっと帰ってきた訓練生もいたとか?卒業生達から、このコースが疲れのピーク!とも聞いている。
これをクリアーすれば、ある程度自身がつくとか?「このクラスは、本当に楽ですねー!ちずが解らなくても、しっかりコースを覚えてくれるし・・・。」 まさに、私の事。
ほめられたのか? あきれられたのか・・・? 中橋さんによれば、生まれた時から全盲の人は、道路の状態が上手く想像が出来ず、夜中に、何回も、中央分離帯にあがり、道路のながれを掴む訓練・信号の判断をくり返した事もあるとか。
「山戸さん、何か質問は?」と言われ、いつも足を引っぱっていた。とは言っても、その場で覚えているから、それほど棄てたものでもない。
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