アイメイト バーベリーとの出会い
(5)訓練生達!

何が、どうなっているのか、解らないままに数日が過ぎた。私達は、以前からの親友のように、いろいろな事を話した。沖縄の彼は、とても熱血漢溢れる好青年で、政治経済を始め、病気やパソコンにも詳しく、話題にはこと欠かない。そのくせ、繊細な心の持ち主で・・・。彼は、沖縄全体に不合理を感じ、自分なりのポリシーをもっていた。彼は、あらゆる事に興味をもち勉強していた。

一方、石川と長野の彼女達は、全く性格が違っていたが、どう言うわけか、やけに気が合った。石川の彼女は、つうしょう「マコさん」と言われ、小さな体にはバイタリティーがあふれていた。彼女は、アイメイトと二人で、タイへ留学することが夢だそうだ。そのために、多くの勉強をしていた。なかなか、難しいと言われている大学をストレートで合格し、優秀な成績で卒業している。視覚障害者が、晴眼者と方を並べて教育を受ける事は、並大抵の苦労ではない。それを、彼女は、さも当然のようにやってのけるからすごい。彼女を見ていると、やっぱり、どこかに人を引きつける魅力と輝きがある。東京の町を、白杖一本で7年間も飛びまわり、中央分離帯にも、何度か立ちすくんだとか・・・・。 ふつうは、そんな体験をすると、しばらくは恐くてどうしようもないが、彼女は、「あー、命があって良かった!」と思い直し、何事もなかったような顔をして、また小走りに歩き出す。驚異的な精神力の持ち主。

そして、もう一人の長野県の彼女は、学生時代に知り合った彼と、苦労のすえ結婚し、前向きな生き方をしていた。マコさんとは全く違う性格だったが、彼女は、自分なりの生きがいをもち、いきいきしていた。

現在、彼女は、信州放送のラジオ番組のレギュラーとして活躍する一方、「語り部」として、子供達に民話を語り告いでいる。彼女のしゃべり方は、本当になめらか。さすが、セカンド訓練(二階め)だけあって、犬との生活には慣れていた。ほかにも、先の組の訓練生達もいたが、ほとんど接触がない。こんな、彼・彼女達に囲まれて、私は、自分の無学さを思い知った。彼・彼女達は、それぞれ高等な教育を受け、とても洗練されていた。とは言っても、悩みは同じ。それなりに、話が合って楽しい。「このクラスは、仲が良くていいですね。クラスによっては、全然話の出来ない人もいるんですよ。」と、中橋さんは感心していた。私の、心配は他にもあった。それは、年の差。親子ほど離れており、体力と瞬発力があまりにも違いすぎた。理事長さんが気を使ってくれ、「山戸さん、40歳とは思っていないからネ。4かける0歳と思っているからネ!」と笑った。

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