アイメイト バーベリーとの出会い
(2)入学式

「皆さん!オハヨウございます。」中橋さんの、元気の良い声に、私は、少し緊張した。入学式は、食堂の広間で行われた。

式のないようは、まず、理事長さんの挨拶の後、職員の紹介があり、それから、訓練生の一人一人が、アイメイトを使う理由と、決意を詳しく述べた。昨夜の、簡単な自己紹介とは、全く違い、一人歩きに懸ける熱意が伝わってきた。アイメイトを、使う理由に個人差はあっても、自分が自由に自分の判断で行動したい!と、思っているのは同じだ。

日頃、私達視覚障害者は、相手の都合にあわせることが少なくない。この事は、見える者にとっては、連れていって貰うのだから、当たり前!のように思われるが、この事は、結構ストレスになる。そのため、私達視覚障害者の多くは、外出が出来ない者も多い。私も、これまでに、ずいぶん情けない思いもしてきた。

「ここへ置いておけ・盲の扱いには慣れている・見えもしないくせに・・・・・・。」一つ一つ、あげればきりがない。人間として見るのではなく、物のように扱われたことは、そう簡単に忘れるものではない。

私は、これまで、自分なりに努力をしてきたつもりだがなかなか、世間では「見えないわりには・・・」とか、「見たこともないくせに・・・。」など、した事を評価する祭にも、「見えないわりに!」と言う、条件付きのことが少なくない。誉め言葉も、どを越すと嫌み!になる。もう少し、自然体で接してくれたら・・・・・。

入学式は、1時間足らずで終わった。私は、式の間中、"どんな犬がくるんだろう?!"と、人の話はほとんど聞かず、その事ばかりが気になっていた。"あー、はやく犬に遭いたい!"午後になっても、まだ犬には遭わせてもらえず、ハーネスだけで、中橋さんについて歩いた。ハーネスだけで歩く理由は、犬との相性を見るためだそうだ。犬が好きとか、嫌いとかではなく、主人の性格・しんちょう・歩行の早さや癖などが、犬との相性を決めるのに大切な事だそうだ。

訓練士さん達には、ハーネスの動き一つで、ほとんどの事が解るらしい。ハーネスにつかまって歩いたときには、"結構早いなー!"と、少し心配になった。1キロメートルくらい歩いて、婚約者を決める。その後は、簡単なミーティングがあっただけで、少し気が抜けた。・・。

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