アイメイト バーベリーとの出会い
(1)その日が来た!もう引き返せない

もう、引きかえせない!96年4月11日、飛行機は、青い空に吸い込まれた。20数年ぶりの東京の地、なんら変わりがない・・・・。「山戸さんですか?」と、訓練士さんの晴れ晴れしい声。「はい!山戸です。  よろしくお願いいたします!!」私達は、しっかりと握手をした。訓練士さんの、名前は中橋さんと言う。中橋さんは、次々に到着する仲間達を捜して、忙しく飛び回っていた。

「さあ!これで、全員集合!!」同期生は、沖縄の宮里君、石川県の堀江さん、長野県の広沢さん、そして、私の4人。協会までは、8人乗りのワゴン。私達は、以前からの知り合いのように、パソコンや、故郷の話をした。私は、心の中で"パソコンを、少しでもやっていて良かったと思った。最初から、乗り遅れていては、先が思いやられる。中橋さんは、私達の話に相槌を打ちながら、車内から見える景色を、事細かく説明してくれた。私は、車内で、彼女達の活動的な話に"全国には、本当にいろいろな人がいるものだなあ"と感心した。

協会の前に、車がぴたりと着けられた。「ここからは、一人ずつ部屋へ案内します。皆さん、ここで白杖をたたんで下さい。」  「エー?!」と、みんなの驚きの声。「これからは、犬と歩くんですよ」と、中橋さんは励ましてくれた。それから、私達は、一人一人部屋へ案内された。中橋さんの説明は完璧で、壁にぶつかることもなく、スムーズに歩くことが出来た。私は、"自信に満ち溢れているんだなあ"と、心の中でつぶやいた。

「荷物の整理でもしながら、少し休んでいて下さい。後で、食堂の方へ案内します。」と言って、中橋さんは、一気に階段を駆け下りて行った。私は、ベッドに腰かけ、意味のないため息をついた。

「皆さん、食事の準備が出来ました。」私達は、一人ずつ食堂へ案内された。食道には、理事長さんを始め、協会の皆さんが揃っていた。私達は、自己紹介と、アイメイトを使う理由を手短に述べた。協会の食事は工夫されていて、自立の一つに数えられているようだ。私達は、これから、厳しい訓練が待っていることも忘れて、和気藹々と楽しい一時を過ごした。今日の、スケジュールはここまで。

私は、初っぱなから、彼女たちに圧倒されていた。消灯時間が過ぎても、私達は、寝ることも忘れていろいろな事を話した。同期生で、少し可哀想なのは、ただ一人の男性の宮里君。協会に来て、初めての夜は、何となく落ち着かない・・・・。

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