あー、とんだ勘違い

●その1
数年前のこと。
久しぶりに母屋に行くと、おじいちゃんが一人、縁側で新聞を読んでいた。
おじいちゃんの横には、どういう組み合わせなのか、髪を刈るバリカンと、天津甘栗があった。
甘栗は、まだ封を切っていなくて、アウリンが来たので、その栗の袋を開けて、一握り渡してくれた。
「この栗は、高知のおばちゃんが送ってくれたがじゃけん、品のええがぞ。まあ食べてみよ、うまいぞ。」と言いながら、おじいちゃんも食べた。

食べたのはいいけど、おじいちゃんの食べ方が半端じゃない。次からつぎへと食べるので、「おじいちゃん、それほど急いで食べんでも、もっと、ゆっくり食べたらどう・・・。」と言うと、袋を持ち上げて、「この栗は、いたみやすいかしらん、袋に、開封後は、お早めにおめし上がりください。と書いちょらあや。品のええがじゃけん、早よう食わんと、腐りでもしたらもったいないけん、あわてて食いよらあや。お前も、たろばあ(たくさん)食えや・・・。」と、まじめな顔で言った。

そう、おじいちゃんは、袋の表示の『開封後は、お早めにおめし上がりください。』という記載を見て、すぐに食べないと腐ってしまう、と勘違いしたというわけ・・・・。

かと思えば、冷蔵庫の中に、何日も前のサンドイッチがあったので、「おじいちゃん、このサンドイッチは、もうからからになっちょるけん、捨てちょこうかねえ。」と言うと、今度は、栗の、早めにおめし上がりください、という考えとは反対に、「冷蔵庫に入れちょるがじゃけん、腐らあすまいが、ばあ(おばあちゃん)が、もんて(帰って)来たら、食うろうけん、おいちょっちゃれや」と。
昔の人は、袋などの記載には案外敏感だけど、冷蔵庫に入れておくと、いつまでも腐らないと思っているから、これも、これで困ったもの・・・・。

●その2
知り合いの子どものどじ話。
その知り合いの子どもは、今年から高校生。
去年の夏休みのこと。母親が体調を崩した時、初めてご飯を炊いてくれたという。
炊いてくれたのはいいのだけど、初めての経験で大失敗!!。
その彼女、母親から『無洗米だからね』と聞いていたので、これなら楽だなと思い、お水を入れずに炊いてしまったというわけ・・・。

どうして、彼女がそう思ったのかと言うと、『無洗米は、水がいらないから楽だよね。』と言うことを聞いていて、無洗米というのは、水を入れずに炊くお米のことだと、ずっと思っていたという。
それにしても、無洗米だから、洗う必要がないお米だと言う意味で、無水米とは違うのだから、常識で考えたら分かるように思うけどなあ・・・。
やっぱり、勘違いや思い込みは、何の疑問も持たないから、時と場合によっては、とんでもない失敗をすることもあるから・・・。

●その3
国道沿いのスーパーに行った時のこと。
まだ早い時間だったので、店内は、それほど込んでいなくて、数人の女の人が集まって、何だか難しそうな話をしていた。

その話をしている人の中に、どうやら、障害を持った子どもがいるらしくて、「目や耳が聞えないのも、そりゃ大変だけど、うちの子のように、歩くことも、しゃべることもできんがも、これまた、ほんまに何ともならんぜ・・・。」と言うと、一人の女の人が、「どう言うても、メモ見えんし、耳も聞こえん、しゃべることもできん、女の人がおったろ(いたでしょ)、その人は、本当に大したもんじゃったねえ。その人に、一つだけ治すことができるとしたら、どこが治って欲しいかと聞くと、耳が聞えるようになりたい、と言ったと言うけん、耳が聞えんがも、大変じゃろうねえ。」と言うと、もう一人の女の人が、「あー、その人、ほら、何じゃろ言う人よ。そうそう、ナイチンゲール、ないちんげーる・・・。あの人は、すごい人じゃっとうねえ・・・。」

そう、その人は、三重苦があった『エレンケラー』のことを、その時まで、ナイチンゲールだと思い込んでいたというわけ・・・。
「それは、あんた、その人はナイチンゲールじゃなくて、ヘレンケラーじゃないかい。」と言うと、「まあ、あんた、ナイチンゲールも知らんかい。あんなに有名じゃったに・・・・。」と、まだ気がついていない様子・・・・。

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