食生活の工夫1
こんにちは、アウリンです。このコーナーは、私の食生活の工夫を書いたものです。視覚障害があり、食事作りに悪戦苦闘をしている新妻さんにお薦めのページです。
■広めたい私の食生活の工夫(食生活自立コンクールの原稿より)

みなさんこんにちは。私は、高知県に住む40代の全盲の主婦で、失明して約10年になります。今回は、失明した当時の私の食事作りの工夫をご紹介します。これまでの数多くの失敗の中から、計量や採寸の工夫を中心にご紹介します。

私達が、食事作りの中で不便さを感じることの一つに計量がありますよね。私も、失明した当時は、とても不便を感じました。慣れてくれば、手ばかりや音・においの感覚だけでも上手にできるようになりますが、まずは、それらの感覚をつかむまでが大変でした。

当時、私なりに工夫したことは、基本になる物の重さの感覚をつかみ、それを元にしていろいろな食材の手ばかりの感をつかみました。それは、もう皆様もご存じのように、元になる物は卵です。

卵の重さや大きさを元にして、大根なら・人参・ジャガイモならどのくらい・・・。というように、最初は、根菜類から始めました。

それができるようになれば、食材マルごとの重さやかさを覚えていきました。それと平行して、自分の指の大きさや長さなども便利な計りの1つになりました。 それから、ホウレンソウやコマツ菜などの葉物は、買ったときに必ず重さを聞いておき保存する前に50グラムずつに分け、輪ゴムで止めておきます。そうすると、80グラムくらい使いたい場合など、1輪の中から80グラムを取り出すより、小分けにしてあると便利です。私は、肉や魚、その他の食材でも、買ったときに重さを聞いておき、分割可能な物は全て使いやすいように小分けにし、必ず下処理をして保存するようにしています。

例えば、カボチャ丸ごと買った場合には、半分は煮物にし、あとは、フライ用・スープ用と言うように、用途に合わせて火を通したり、蒸したりして冷凍保存をしています。少し残った野菜は、大きめのみじん切りにして、一回分ずつラップして冷凍したり、醤油と酢の中ににんにくとショウガをすりこんだものに、残りの野菜を線切りにしそくせき漬けにしています。

こんなことは、主婦の皆様誰もがご存じだと思いますが、計量や採寸のことで、私が便利だと思うことを2つほどご紹介します。まずは、液体調味料を計る場合です。味噌や砂糖のように固形物だと問題はありませんが、なかなか難しいのが液体の計量ではないでしょうか?。市販されている計量スプーンは、私達には、案外使いにくい物で、私は果実酒を汲み上げるような、えの部分が垂直になっている物を使っています。これらは、こぼれる心配も少なく、正確な計量ができます。大きさも15CCくらいから何段階もあります。私は、大匙1杯分のものと3杯分の物を使っています。大匙3杯の物は何かと便利です。

それと、もう1つはまな板や包丁を利用して長さを測ることです。あらかじめ、包丁の長さや手元の幅などを計っておくと材料を切りそろえたり、まな板の縦横の長さを知っておくと、食材の、全体の長さが解り便利なものですし、かまぼこの板やヨーグルトの容器なども計量や採寸に一躍かってくれます。そして、砂糖や小麦粉・味噌・・・など、カップ一杯分の重さも覚えておくと便利です。私は主婦歴23年になりますが、今ではほとんどの物ができるようになりました。考え方の違いはたたあると思いますが、しんまい主婦の人は感覚だけで料理をするのではなく、ある程度覚えるまでは正確な味つけや計量をお薦めします。感覚だけの料理は、以外に調味料や材料を多く使っているものです。私も、新しい料理をする時には必ず計量をし、何度も同じ物を作って自分のレパートリーに加えています。

何と言っても、計量が大切な物はケーキやお菓子作りです。煮物の砂糖を5グラムまちがえても大した失敗ではありませんが、イースト菌などをまちがえてしまえば取り返しがつかない失敗作品になってしまいますよね。そこで、正確な計量が要求されます。食事作りだけではなく、たまには子どものおやつやバースデーケーキなども手作りしたいものですし、いろいろなカクテルなどのお酒も楽しいものです。 主婦になっていろいろな失敗をしてきましたが、自分なりの計りを持つことが便利だと感じています。私は、生まれつきのせっかちなのか、料理はなるべく手早くしたいと思っています。そのためには、何と言っても下処理はかかせません。一本の固まったバターだと使いにくいため、あらかじめ大匙1杯分ずつに切り込みを入れておいたり、会わせ酢や出しわり醤油、そして、いろいろなたれやドレッシングなども作りおきをしています。いため物の時の油のたしはスプレーで、合わせ酢で、中華風、洋風・・・の味つけにと、好みの調味料は本当に便利です。 今日まで食事作りをして感じることは、やっぱり基本が大切だと言うことです。たかが調味料と思われがちですが、味つけは何故砂糖を先に入れるのか、 みりんは同じアルコール製品なのに、どうして作用が異なるのか・・・など、覚えておくことが便利ですし、調味料の特性を正しく理解しておくことが大切だと感じています。

その上、最近では簡単にカロリー計算ができる食品成分表があります。すでにご存じだと思いますが、80キロカロリーを1点とした計算法です。栄養計算の概要を覚えておくと、毎日の食事作りにはもちろん、お弁当作りや病気の際の食事作りに役立ちます。お弁当は、正確なカロリー計算はやりにくいものですが、色分けした食材を使うとバランスも良く見た目もきれいですよね。

その他にも、レンジやオーブン、フードプロセッサーなども使い方を工夫すれば本当に便利です。私は、オーブン・電子レンジのマニュアルを音訳していただき、ほとんどのメニュー操作を記憶しています。せっかくオーブンがついているのに、温めと解凍だけに使うのはもったいないことだと感じています。レンジやオーブンは、私達にとって最も安全性が高く手早く食事作りができるため毎日愛用しています。

私は、視覚障害者であってもごく自然で見た目にもきれいな食事作りを心がけてきました。お腹に入れば何でも同じことと言う時代は、宝飾の時代にはふさわしくないのではないかと感じています。宝飾の時代だからこそ、きちんとした食生活が大事だと思っています。。

食事は、目でみ・口でいただき、そして、心で味わう物だと思います。そのためにも、少しでも豊かな知識を持ち健康でごく自然に元気に暮らしたいと願っています。

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