早春、雪を割ってのぞく若芽を見つけるのは楽しいものです。
芽が出たばかりの多くは、まだ伸びる前の地面に花のような形に張り付いている座葉(ローゼット)の状態の草の芽を摘むもので、恋人へのプレゼントなどにされ、汁や粥に入れました。
そして、七種類の若草が春の七草と呼ばれるようになりました。
その種類については、時代と共に代わってきたと言われていますが、源氏物語の注釈書(河海抄)のせり、ナズナ(ぺんぺん草)、ゴギョウ(母子草)、ハコベラ(はこべ)、ホトケノザ(たびらこキク科の雑草)、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)。
これぞ春の七草と言う歌が愛唱されています。
季節的に、これらの若菜が手に入らない地方では、タラノ芽を使ったり、ニンジン、ゴボウ、大根、クリなどを使うところもありました。
一方、七種の祝い(ななくさのいわい)と言う朝廷の年中行事で、米、アワ、ヒエ、キビ、小豆など、七種類の穀物を入れた粥を食べる行事があり、これと、春の七草の習慣が混じり合って、正月七日の七草粥になったと言われています。
七草粥の習慣は、もともと万病を除き、女性の若さを保つと言われ、それが、やがて都会人の行楽になって行ったと言われています。
現在では、歴史の違いから新年と若菜摘みの時季にづれがありますが、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足になりがちな三が日の後、緑の野菜の入ったお粥は、確かに見た目にも健康にも魅力的な優しい一品と言えます。