湯治と聞くと、若い方は古くさいとか、年寄りくさいと言うイメージを持つでしょうか。
ところが、最近、湯治が温泉療法と言う名前で見直されているのです。
かつての湯治は、入浴する人が適当に温泉を選び、勝手に入るだけでした。
しかし、現在の温泉療法は、より医学的に温泉を利用するものです。
2000年に経済産業省の外郭団体、民間活力開発機構が温泉療養アドバイザーの組織を作り、温泉で健康を増進しようと言う人たちの相談に応じるようになりました。
温泉療養アドバイザーは、温泉療法に詳しい医師が勤めるもので、2004年9月現在で、全国に400人を数えるくらいいて、その人の症状や体調にふさわしい温泉の質や、温度の温泉を紹介してくれる他、入浴の指導や正しい食事も指導してくれます。
基本的には、一般の健康相談と同じで、アドバイザーの医師がいる医療機関に予約を入れて、面談して教えてもらいます。
料金は、保険が利きますので普通の健康相談にかかる費用と同じくらいです。
相談者が希望すれば、入浴の仕方や食事の注意事項を書いた温泉療養指示書も書いてもらえます。
それを、温泉療養の宿として、民間活力開発機構に登録している旅館やホテルに提示すれば、指示書に沿った特別メニューの食事が出されます。
現在、登録している宿は全国で500余りです。
また、温泉はどう言った病気に効くのでしょうか。
かつては、温泉の効能に決まって、リュウマチ、皮膚病、婦人病などと漠然と書かれていましたが、最近では、かなり科学的に解明されております。
温泉そのものの効果もさることながら、温泉地に行くことそのもの、つまり、転地療養することが重要なのです。
日常生活とは異なった環境に身を置くことで刺激を受けると、ホルモンを調節する内分泌系や、自律神経の中枢が活発に働きます。
例えば、標高の高い山間部の温泉に行くと、皮膚が冷たい空気によって刺激されて新陳代謝が活発になります。
また、深い森にある温泉ならば、樹木から出るピトンチットと言う物質が、血圧を下げたり、気分を安定させてくれます。
もちろん、こうした転地療養はストレス解消に絶好ですから免疫効果を高めてくれます。
と言うことから、温泉の源を自宅のお風呂に入れただけでは、当然、こうした効果は望めません。
こうした環境プラス温泉そのものの効果が合わさって、さまざまな症状を緩和してくれる訳です。
温泉療法が有効とされる病気には、リュウマチなどの間接の痛みや、神経痛、高血圧、呼吸器、胃腸の病気、更年期障害、糖尿病などが上げられます。
と言っても、高血圧の人が温度の高い温泉にいきなり浸かったら良くなるどころか、かえって危険ですから注意が必要です。
そこで、先ほどの温泉療養アドバイザーに事前に相談することが肝心です。
温泉療養アドバイザーがいる医療機関は、民間活力開発機構のホームページで探すことができますが、電話でお問い合わせは、03−3543−8777です。",