牛乳は、当然のことですが、めすの牛で、子どもを産んだ母牛から搾ります。
これは、人間の母親のことを考えれば当たり前ですが、意外に知られていないことだそうです。
というのは、めすの牛なら、いつでも牛乳を搾れると思っている人や、ひどい人になると、おすでも牛乳が搾れると思っている人もいるようです。
牛乳は、そもそも、子牛を育てるために母の牛が出すものですが、子牛が必要とする量よりも沢山出ますので、我々が、それを飲ませてもらうようになりました。
牛は1年に1回、普通1頭しか子どもを産みませんが、乳牛は、子牛を産むと、免疫を伝える一定期間(約1週間)を飲ませると、子牛を母親から離してしまいますので、その後の300日くらいは我々が飲ませてもらうための牛乳を出してくれるのです。
ところで、飲むための牛乳を出してくれる牛は、白と黒の斑の牛のホルスタイン種と、茶色い牛のジャージー種など、牛乳専用の牛から搾ります。
黒毛和牛や、アンガスという肉専用の牛からは、市販するような牛乳は取れないのです。
更に、これらの牛は、牛乳のタイプも違いますし、出る量も少ないのです。
牛乳の成分も、基本的に、蛋白質や乳脂肪、ミネラル、カルシュウムなどですが、そのバランスが、牛乳専用の牛とは異なります。
乳牛は、おいしい牛乳が出るように、育て方や餌のやり方も違いますし、取れた牛乳は、乳脂肪や無脂肪固形物、つまり、水分と乳脂肪以外の蛋白質や、炭水化物、ミネラル、ビタミンなど、これらが一定基準を満たさないと商品にはならないのです。
ですから、どんな牛のどんな牛乳でも牛乳として売ってはならないのです。
ところで、牛以外に羊とか、山羊、馬の乳を人間が利用していることはご存じだと思いますが、馬の乳だと馬乳酒(ばにゅうしゅ)や、山羊の乳で作ったチーズなどは見かけますが、豚の乳を飲んだとか、チーズにしたという話しは聞いたことがありません。
どうしてかということで、養豚業をやっている人に聞いてもよく分からないということです
先ほど、牛は1年に1頭しか子どもを産まないと言いましたが、豚の場合は、1回の出産で10頭以上も産みます。
そのため、1時間おきくらいに、1日何回も子豚に乳を飲ませるのです。
豚の場合は、牛のように、いつでも乳房の中に乳を蓄えているわけでなく、子豚に与えるとき以外は出ませんから、子豚に与える量だけで、人間が飲めるような量ができないためではないかと考えられています。
話しは変わりますが、最近登場した搾乳ロボットという機械が、酪農王国のオランダで開発されました。
その機械は、放牧されている牛が、乳が貯まって搾ってもらいたくなると、自分でやってきて、この自動搾乳機に入って行きます。
牛には、登録されたICチップが埋め込まれていますので、センサーが、それを感知して識別し、自動的に乳房をきれいにして、搾るカップをその乳房につけます。
そして、搾り終わると、機械の中から出してやるのですが、これらは、全て自動に行われます。