水道管内の錆びによる腐蝕を防ぐために、内側を塗料でコーティングするライニングと呼ばれる作業があり、1984年にWHOから、このライニングに用いる塗料の多くに、発癌性物質が含まれていると指摘されました。
原因は、塗料の成分として使われている芳香族系の硬化剤なのですが、縦割り行政と、業者の怠慢の性で、これまで手もつけられずにほおって置かれたのです。
WHOの勧告を受け、1989年には厚生省も使用を規制したのですが、しかし、扱いやすいことを理由に、業者は最近まで、マンションを始め、官公庁や都道府県の施設、公立の小中学校の水道管にまで使用していたという話もあります。
このような事態になってしまった背景には、地中の配水管に関しては、厚労省や各都道府県の自治体が監督処罰することになっているのですが、建物の中の配管までは、その権限が及ばず、建築業者が、水道管業者に依頼し配管工事を行うために、旧建設省の管轄になっているので、それが、更なる問題を生んだという訳です。
厚労省は、青い水が流れても環境ホルモン問題の範囲しか調査せず、人体に有害な含有量に達していないので大丈夫という分析結果を発表しました。
片や、赤い水が出たとき、施工業者からは赤さびの性と一蹴され、危険かどうかすら知らないまま、毎日水道を使っているのです。
ある大手マンションの施工管理会社の担当者は、「もともとライニングのやり方や、塗料の安全性は、我々では、どうしようもない問題ですが、しかし、本音を言うと戦々恐々としています。この先、マンションの住民から危険を知りながら放置していたと、迫られるのではないか。」と言っているソウですが、業者も行政当局も同罪は免れない問題で、その罪は、限りなく大きいのです。