正しい枕で健康に(その1)
腰痛や肩こり、頭痛や不眠症などの原因の1つに、枕が合っていないと言うことがありますが、そこで、今回は、自分に合った枕で快適な睡眠を手に入れ、健康になる方法についてお話しします。
睡眠は、私だけに関わらず、どなたも重要なことだと考えていると思います。
では、正しい睡眠とは、どのようなことを言うのでしょうか?
まず、なぜ睡眠が必要なのかですが、1日使った体をリセットつまり、元通りにして、翌日また元気に過ごせるようにするには、どんな動物でも絶対に必要なことです。
ところが、熟睡できる人は、そんなにいないと言われています。
現在では、不眠で悩んでいる、不眠障害と言われる人は5人にひとりと言われ、日本人の20パーセントが何らかの原因で睡眠障害になっていると言われています。
その原因の1つに、枕が原因で眠れないとか、寝付けない、途中で何回も起きてしまうと言うことになり、そのために、熟睡した感じが得られない、熟眠障害になるのです。
このような睡眠障害の原因になっている枕を換えることによって、これらを解決することができると言われています。
枕は、ただ頭の下に置くだけの物ではなく、首から腰まで、寝る姿勢の全体を決めてしまう大きな要素で、体に合っていない枕を使い続けていると、様々な体の症状や、精神的な症状が出てきます。
まず、首の症状としては、肩こりや頭痛、手のしびれなどから始まり、腰痛や節々の痛みなどが出てきます。
そして、長い間体が疲れたり、痛みがとれなかったりすると、今度は、心が病んできて、やる気がなくなったり、元気に活動ができなくなってしまうと言うことが起こります。
また、枕が合っていないと、首が横向きや上向きになり、不適切な角度に曲がってしまうことで、脊髄にも影響し、神経の症状が出てくる場合もあります。
正しい枕で健康に(その2)
睡眠の質を良くするのも、悪くするのも枕次第と言っても過言ではないほど、枕の閉める役割は大きいと言えます。
旅行などに行って枕が変わると眠れないと言うことを体験すると思いますが、そこで、毎日、毎晩のように枕と格闘している人もいるのです。
合わない枕では、体が痛いと言う身体症状から、心が元気になれない、朝からやる気が起こらないと言った心の症状まで、様々な症状がでます。
枕が合わないと、手がしびれたりすることがあることは前回お話ししましたが、実は、寝ちがいの原因も大半が枕にあると言われています。
寝ちがいは、朝起きて首が動かないとか、動かすと痛いなどと言った症状を言います。
では、どんな枕が良いのかと言うことですが、枕には、3大条件というのがあります。
まず、1番大事なのは1人ひとり、その人の体格に合っていると言うことです。
その中でも、特に重要なのが高さで、高さは、上向きで寝るときと、横向きで寝るときの両方に合わなければならないのです。
上向きで寝るのが好きだとか、横向きが良いなどと言う人がいますが、その姿勢だけで寝ることは絶対できないのです。
人間は、寝ている間に上向きや横向きに何回も寝返りをうっています。
中には、寝返りをうっていないと言う人がいますが、それは、ただ、覚えていないだけのことです。
もし、朝まで上向きの姿勢で寝たとしたら、その人は必ず腰痛を起こしてしまいます。
起きているときは、何らかの動きをしていますが、寝ているときでも、最小限の動きをしているのです。
その最小限の動きは、静脈血を心臓に返すためで、静脈血は、心臓の働きで帰る分けではなく、手足などの筋肉が収縮して、その力で静脈の血管が押されてて、心臓に戻っているのです。
余談ですが、静脈の血管には逆流防止ベンがついており、筋肉が緩んだときに、血液が元に戻らないようになっています。話しを戻して、そんなわけで、両方に合う高さの枕が必要なのです。
高さが合ったとして、2番目に大事なのは枕の堅さです。
枕は良い高さが見つかったとして、その高さを維持できる堅さが必要になってきます。
頭を乗せたときは何となく気持ちが良くても、肌触りが良くても、寝ている間にグーンと沈んで行くような枕では、両端に中身が寄ってしまい、朝起きたら頭の部分が凹んでいるとか、ドーナッツ型の枕では、元々中央の部分がないので、このような枕では、首の良い姿勢が維持できないのです。それから、形ですが、形は、頭を置く部分に凹凸がなく、フラットな、つまり、平らが1番良いと言われています。
3番目に大事なのは、枕を使って行く上で、適宜に調節が必要だと言うことです。
使う側で変わることは、体重ですが、もし、体重が5キロ増えてしまったとしたら、枕を5ミリ高くして下さい。逆に、5キロ減ったのであれば、高さを5ミリ薄くします。
そして、ベッドや布団が代わった時なども、枕の見直しが必要です。
正しい枕で健康に(その3)
前回は、理想的な枕の条件に、寝返りができると言うことをお話しましたが、寝返りは、とても大事なことです。
地球上の動物、犬も猫も、猿、人間もみんな脊椎動物は背骨を持っています。
1日使って疲れた背骨を確実に回復させるのに必要なのが、寝返りです。
寝返りができないと、体がリセットできないだけでなく、首や肩がこったり、腰が痛くなったり、あるいは、足が坐骨神経痛になったりなど、様々な痛みも出てきます。
中には、勘違いをしている人がいて、寝返りと、寝相が悪いのを同じと思っているようですが、寝返りと寝相の悪いのは全く別のものです。
その他にも、うつ伏せで寝る人がいますが、この寝方は最悪で、この姿勢で寝ると、寝返りができず、首や背骨、腰にも負担になりますし、胸や心臓を圧迫しますので、顔がむくむなどの様々な症状がでます。
それから、前回も少し触れましたが、枕の他に大事なのが、枕を置くマットや敷布団です。
これらも、体が沈むような柔らかい物や、逆に、最近流行のフローリングのような堅い物の上に、薄い布団で寝ることは、今度は、反張と言って背骨が反ってしまいます。
枕を置く敷物は、柔らかすぎず、堅すぎずの物を選ぶことが大事です。例え、このような物を選んだとしても、長年続けて使っていると、気が付かないうちに少しずつ悪くなってきますので、5、6年で見直しが必要です。
と言うことは、敷物によって、体全体の血液の流れや、寝る姿勢が変わりますので、使う人の体格や体重、筋力に合った堅さの物を選ぶことが大切です。
正しい枕で健康に(その4)
頭痛にも、その原因が多すぎて、専門家でも解明することはなかなか難しいと言われていますが、その1つに、枕が関係していると言われています。
朝目覚めて、頭が痛くて起きあがれない、こんな場合はほとんど枕が原因と考えられます。
頭痛の7、8割は首から起こってくるもので、肩こりを伴うような頭痛が圧倒的に多いのです。
日常、よく偏頭痛という言葉を聞きますが、実は、頭痛の中の2割程で、パーセンテージは低いのです。
朝起きたときの頭痛はほとんどが枕が原因で起きると考えられています。
もちろん、脳が原因だったり、別の原因で起きる場合もありますので、首や肩が重い、朝から肩が凝っている、頭が痛いなどの3条件が揃っていたら、まず、枕を疑ってみることが大切です。
高齢者の人で、夜中に何度もトイレに行くという人がいますが、こんな場合でも、合った枕に換えてあげると、5、6回行っていたのが、1、2回に減ってしまうことが多いのです。
その原因は、それまでの枕では眠りが浅く、ちょっとした物音や体の不具合で目が覚めてしまうので、トイレに行くことが習慣になっていたからなのです。
ですから、このような場合には、グッスリ眠れればトイレに行かなくてもすんでしまうことが多いのです。
あと眠りと言えばイビキがありますが、イビキの場合も枕が関係していることが多いです。
枕が5ミリ低くても、イビキがでます。
高い枕をすると、喉が狭くなってイビキが出ると思っている人がいますが、低すぎて顎が上にでてしまって、後頭部が下がってしまうような姿勢が、イビキの原因になるのです。
頸椎の前には、気道と言って、空気の通り道があり、首がどんな形になるかと言うことが、気道に大きく影響しています。
このほか、枕が適切でないために起こる症状として、信じられないようなことがあります。
寝るときの姿勢が悪くて、朝起きたら体が痛いと言うのは多くあることですが、その結果、朝の心の元気さに影響してしまうことがあります。
それは、軽い鬱病や軽症鬱病と呼ばれる症状です。
朝起きても、御飯が食べられない、新聞を読む気になれない、学校に行きたくないなど、こういった元気のなさは、よい睡眠が取れていないときに起きることが多いのです。
このようなことから、よい枕、姿勢で寝ることは、体を回復させるだけでなく、心にも影響しているということになります。
正しい枕で健康に(最終回)
これまで、いろいろ枕のお話しをしてきましたが、枕の調節をすると、寝る姿勢が変わり、体や4肢の様々な症状も変わってきます。
特に、首や腰と言った背骨の症状や、痛みやしびれ、血液の流れが悪いと言った症状の改善ができます。
そうすると、もしかしたら、40肩や50肩も改善されるのではないかと思っている人がいるのではないでしょうか?
実は、40肩や50肩と思われている中に、そうでないものが多く、肩が痛くても、肩が悪くて痛むのではなく、首からの神経で肩が痛むという人が多いようです。
ですから、肩の関節が悪いのではなく、首の関節が悪くて肩に痛みを感じていることが多いのです。
それから、本当に40肩や50肩の人でも、横向きになったとき、下になった肩が痛いことが多いのですが、これを、緩和するのが枕の適切な高さのことが多いです。
では、自分に合った枕の高さを調べる、即席枕を作る方法を紹介します。
用意する物は、なるべく使い古して薄く堅くなった座布団と、毛足の短いタオルケットです。
これをバスタオルで代用する人がいますが、バスタオルでは、折ると小さくなり過ぎるので、必ずタオルケットを使って下さい。
これらを重ねるだけでできますが、タオルケットを3枚に折るか、4枚に折るか、あるいは5枚に折るかで、2〜3ミリづつ高さが違いますので、この折り方を工夫して、その上に座布団を置きます。
そして、それに横向きに寝ます。
その時に、おでこから、鼻、口、胸までが、1直線になって布団の床面と並行になるようになるのが理想的ですが、もし、鼻や頭の先がグッと下がっていたら、タオルケットの折り方を1回か2回増やして高さを調節します。
このことが、1番大切なことで、これが、しっかりできると、上向きに寝たときも丁度よい高さになっているはずです。
次に、寝返りを打ってみます。
寝返りが、問題なくできれば、その枕の完成です。
1日の3分の1ほどは、横になって過ごしています。
たかが枕と思わないで、自分に合った枕で健康的な人生を送れるようにしたいものです。