病気の予防
健康な肌作り


健康な肌作り(その1)
 いくつになっても、肌を美しく保ちたいと、いろいろ努力されている人も多いかと思います。
ところが、実際には、肌について誤解していたり、間違ったお手入れで、逆に、肌を傷めている人も少なくないと言われます。
そこで、今回は、みずみずしい肌を正しく保つ方法についてお話します。

 人間の肌は、体の表面にあるものですが、1枚でできているわけではありません。
皮膚もやはり、生きた臓器で、常に新陳代謝をしていますし、神経やホルモンの影響を受けています。
もちろん、暑さ寒さなどの外気の状況にも応じて、さまざまな反応をしています。
肌は、外から見えるものなので、色やざらつきなどで気にしている人も多いと思いますが、その仕組みについてまでは、知られていないことが多いのではないかと思います。

 人間の皮膚は、大きく分けて表皮と真皮の2つに分けられ、表皮の細胞は、ケラチンという蛋白質でできており、常に深いところで新しい表皮細胞が生まれて、古くなって死んだ細胞は角質層となり、垢となって剥がれ落ちます。
これを、ターンオーバーと呼んでいます。
 一方、真皮の方は、コラーゲンという繊維質の蛋白質からできていて、真皮の張りを保っているゴムのような繊維です。
この繊維が、年齢とともに、だんだん古くなったゴムのようになり、しわができてしまうのです。

 化粧品などでケアーができるのは、表皮の上の角質層くらいまでで、真皮までは、化粧品の影響は届かないのです。
これは、外気からの影響を受けないように角質層が守っているからです。
これを、バイア機能と呼び、健康な肌を保つためには、肌の構造を理解しておくことが大切になってきます。


健康な肌作り(その2)

 年を重ねると、肌に油っけがなくなって、カサカサしてくるといわれますが、肌の油分は、本当に失われて行くものでしょうか?
確かに、油分も40、50代から減ってきますが、しかし、肌が乾燥するのは、油分よりは水分が減ることの方が大きいと言われます。
皮膚には、水分を保つセラミド成分があり、これは、10代の後半くらいから減り始めています。
と言うことは、この頃から皮膚の乾燥が始まっていることになります。

 だとしたら、常に水分を与えていればよいのではないかと言われる人もいるかも知れませんが、ところが、水分だけ与えても、どんどん蒸発して、すぐに乾いてしまいます。
そこで、皮膚の乾燥を防ぐには皮膚の水分を守る保湿成分を与えてやることが必要になります。
最近では、化粧品にセラミドなどを応用した物も出ているようですが、そのような物を使うというのが本当の意味で保湿になります。

 肌の水分量は、健康な状態では、30パーセントと言われており、それが減ってくるのが乾燥肌で、約15パーセント以下になると乾燥肌と言うことになります。
そして、空気中の湿度が下がってくると、肌から水分が飛んで行く分けです。
昔は、よく油分でふたをすると言う方法がとられたそうですが、これは、確かに古典的な方法といえますが、これしか方法がなかったわけですから仕方がないでしょう。

 油分だけでは、水分の蒸発を防ぐには弱すぎますので、セラミドなどを補ってやることが、最近最も多く取り入れられているスキンケアーです。
顔は、特にセラミドを使うことが効果的だと言われるようになってきましたし、その他にも、ヒアルロンサンなども使われています。
顔や首などは、これで良いと思いますが、体の方は、保湿と角質、柔軟作用のある尿素を使うのも効果的です。

 尿素は、肌にとって天然の保湿因子の1すと言われていますし、セラミドよりも、値段が安いので、全身に使うのに適していると言えます。
特に、尿素はとても安全ですから、小さな子どもから、お年寄りまで使えるのが魅力的です。
とはいえ、傷などがあるときは染みますので注意が必要です。


健康な肌作り(その3)

 健康な肌作りで、やはり気になることは、最近アトピーの人が多いことです。
昨今、確実に大人のアトピーが増えているのだそうです。
大人のアトピーの特徴は、最初は目の周りだけが赤くなり、かゆくなってきますが、徐々に、顔中に広がったり、首や手の指などにも水泡ができ、かゆみが出てくることが多いです。
また、このかゆみのために眠れないと言う人も増えてきているようです。

 これらに対する対策としては、まず、基本的な健康な生活をすることが大切です。
大人のアトピーの場合は、特に、寝不足やストレスに密接な関係があると言われますので、残業が続いたら急にアトピーになってしまったと言う例が1番多いパターンです。
アトピーの痛みをコントロールするのは、薬で案外簡単にできますが、かゆみをコントロールすることは非常に難しいことです。
結局、アトピーのかゆみを止めるにはステロイドを頼ることになるのですが、ステロイドは、長く使い続けると副作用が心配ですし、やめるとまた直ぐかゆくなることも多いです。

 そこで、皮膚科で行うスタンダードな治療法として、副作用が出ない程度にステロイドを使いながら、アトピーは、自然治癒することが多いですから、それを待ちながら体の中から健康にして行くというのが、治療の主流になっています。
特に、大人の男性で頭のふけやかゆみに悩まされる人が増えて来ていますが、これは、ほとんどが脂漏性皮膚炎と言われるものです。
脂漏性皮膚炎は、頭皮の他、鼻の両側や額などにもできることがあります。

 対策としては、皮脂を減らすことは難しいですから、顔の場合なら、セラミドヒアリロンサンを使って、水分を増やすようにしますが、頭皮の場合は、適度なシャンプーの後、ドライアーの熱風を直接皮膚に当てないことが大切です。
とにかく、乾燥するのがふけの原因になりますので、椿油のようなもので頭皮を保湿するのも一つの方法です。


健康な肌作り(その4)

 春先になると、やはり、紫外線が気になって来ます。
紫外線と聞くと、染みというイメージが強いですが、それだけでなく、肌全体を老化させて行きますし、しわも作ります。
そして、最終的には皮膚癌にいたることがありますので、普段から紫外線対策が大切になってきます。
子どもの頃には、日光に当たると冬に風邪を引かなくなるなどと言われたものですが、実は、これが大きな間違いで、紫外線のメリットはほとんどないというのが、最近の紫外線に対する認識になってきました。

 また、紫外線によって骨が丈夫になるとも言われますが、これは、骨を作るときに必要なビタミンDを作るために重要視されていましたが、その紫外線の量も、わざわざ日に当たらなくても日常の生活で十分取れています。
ですから、必要な時以外は、なるべく直射日光に当たらないようにすることが、最近の医学では定説になっています。

 紫外線が皮膚に当たると、表皮の1番奥の基底層にあるメラノサイトを活性化させて、メラニンという黒い色素を作り出します。
これが、染みの一番の原因になります。
若い頃は、代謝も完全に行われて肌も元に戻りますが、肌も老化して、代謝力が落ちてくると、メラニンの1部が残ってしまい、これが染みになるのです。

 だからといって、外に出ないわけにも行きませんので、外に出るときは、なるべく日焼け止めを上手に使って、外で体を動かすのが美容にも健康にもよいことです。
この日焼け止めにも、いろいろな種類があり、それには、必ずSPFを表す数字が書いてあります。
SPFは、必ずしも数字が大きければよいと言うわけではなく、数字の大きい物を毎日使い続けると、逆に、肌に負担になってしまうことがあります。
外で過ごす時間が、1日1時間以内の場合はSPF20くらいでよいと思います。
これを基本に考えて、外で長時間過ごす人は、もう少し数字の大きい物を使うなどの工夫が大切です。

 それでも、日焼けしてしまった場合には、まず、第1に冷やすことが大切です。
日焼けも、基本的にはやけどですから、ひたすら冷やすことです。
その場合、患部を直接氷や水で冷やすのではなく、ビニール袋などに入れた氷を、タオルなどで包んで冷やします。
軽傷の場合は、シャワーなどで冷やしてから、皮膚が乾かないように保湿剤を塗っておきます。


健康な肌作り(最終回)

 前回も触れましたが、肌の老化については、男女を問わず気になるものです。
肌の老化は、金属が錆びるような酸化です。
肌に限らず、組織が酸化して行く、つまり、錆びて行くことが老化です。
これは、体の中で常に発生している活性酸素が原因です。

 では、その活性酸素を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか?
それは、実に簡単なことなのですが、問題は、それが実現できるかどうかと言うことです。
と言うのは、その活性酸素を発生させる主な有害物質は、タバコや食品添加物、あるいは、油で揚げて時間のたった物で、これらをやめてしまえば、かなりの部分を防ぐことが可能です。

 次に、活性酸素を乱すものにストレスがあります。
ですから、できるだけストレスを貯めないようにしなければなりません。
日常で、何かストレスを発散できる方法を見つけることが大切です。
活性酸素を除去する方法は無いのかと言う人も多いですが、それより、抗酸化力を高める方が効果があります。
 食べ物では、最近よく言われているポリフェノールの多く含んでいるリンゴやブドウ、赤ワイン、カカオ、お茶のカテキンなどです。
また、ビタミン類では、ビタミンAやC、Eなどが特に抗酸化作用が強いと言われています。

 最後に、肌を若々しく保つためのスキンケアー用品の選び方についてです。
何でも無添加なら安心だと思っている人もいるようですが、一概にはそうも言えないこともありますし、また、値段が高ければより効果が高いというわけでもありません。
目的は、抗酸化や抗老化に効果のある物でなければ意味がなく、ビタミンAの含まれている物として、化粧品ならレチノールと表示されていると思います。
あとは、ビタミンCの誘導体を含んでいる物なら、染みとしわに有効だと言われますし、ポリフェノールを含んでいる化粧水なども良いと思います。
健康な肌作りのお話は、これで終わりです。



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