その他の病気
水虫


 初夏から夏にかけて、水虫の患者が増えると言われますが、実は、水虫は1年中あります。
秋から冬にかけては、角質の中に隠れてしまい、その働きを休みますので、症状が出なくなるだけです。
ですから、多くの場合治ったと錯覚してしまうのです。

 それが、梅雨の季節や夏になると、足の指の間がジュクジュクしてくるとか、足の裏に水膨れができるなどの症状が出ると、かゆくなったり、不愉快になる、場合によっては、化膿してくるケースがあります。
この場合でも、一般的には水虫と呼んでいますが、医学的には、感染症や、二次感染と言っています。
水虫で直接、命に拘わると言うことはありませんので、相当ひどい状態にならないと、医者に行く人が少ないようです。

 水虫になりやすい人は、角質増殖型と言って、かかとが厚くなってくるケース、それから、爪が厚くなってくるケースがあります。
そのために、靴がはきにくくなったりします。
 水虫のつらさは、ギックリ腰などと同じように、なった人でなければ理解できないとも言われます。
水虫を虫に例えて言う言い方は、日本独自の言い方で、アメリカなどでは、アッスリーズフット(運動する人の足)とか、スイマーズエクゼーマ(水泳をする人の湿疹)のように言っています。
これは、足から足にくる、足がふやける、不愉快になるなどの現象を捉えて言っているのだと思います。

 水虫の原因は、白癬菌、あるいは、皮膚糸状菌と言う黴の一種のグループが、足から足に行くのが典型的ですが、同じグループの黴が動物を介して移ることもあるなど、様々な経路がありますが、やはり、人の足から足にと言うケースが1番多いです。
最初に述べたように、秋から冬にかけて、自然に症状が消えてくると言う特長から、水虫に対する警戒心も薄れて来ます。
その間に、水虫の菌は、人の足から足にと、どんどん伝わって行きます。
このようにして、水虫の菌は、世界的に繁栄している生物の1つだと思われます。

 水虫の菌は、よく宿根草の雑草に例えられます。
雑草は、秋になると茎や葉が枯れても根だけは、しっかりと生きていて、踏まれても、刈られても、翌年になるとまた出てきます。
正に、水虫は雑草のような生き方をしているのです。

 水虫の菌を顕微鏡で見ると、ネットワークのように繋がって、非常に長い距離を結んでいるように見えたり、地下鉄や道路の路線図のように見えたりします。
また、見る場所によっては、1本の道路のようだったりもします。
 水虫は、足の指の間にだけできるものだと思っている人が多いようですが、指の間を含む、足の裏全体にできますし、ひどくなると、体の方にもできるようになります。
典型的なものに、インキン、タムシなどがあります。
これは、股のつけ根の部分にできるものです。

 水虫が治りにくいと言うことは、どなたでもご存じのことですが、治りにくいが故に、正しい治療法を選ばなければなりません。
水虫が足にできる場合、その範囲は、底の浅い靴をはいたような範囲にできることが多いです。
これを、欧米ではモカシンタイプ(インデアンの靴)と言っています。
水虫が、手にできるのはまれですが、手に比べると、むしろ、首や顔にできることの方が多いです。

 最後に、水虫の治療についてです。
水虫は、治らない病気と思われてきましたが、最近では、きちんと治療すれば治るケースが増えてきました。
塗り薬だけでなく、内服薬(飲み薬)をうまく使うと、かなり治る率が高くなってきています。
もちろん、この薬は、必要な場合にだけ使うことになりますが、ただし、角質増殖型の場合は内服薬を長期間(1年以上の場合もある)に渡って飲んで行くことになります。
このように、水虫も、きちんと治療すれば治る時代になってきました。

 とはいえ、100%全ての人にと言うわけではありません。
それは、その薬を飲んでは良くない人もいるからです。
何か他の病気がある場合や、妊娠中、妊娠の可能性がある場合に、長期にわたって内服薬を投与すると、副作用が起きたり、新生児に影響が起きたりする問題が考えられますので、飲む前に検査をする必要があります。

 同じ水虫の治療でも、感染症のある場合は、水虫の治療より、感染症の方を先に治療し、それが治ってから、水虫の治療をします。
それは、感染症があるのに、抗真菌剤を使うと、かえって水虫が悪くなる例があるからです。
皮膚の角質は、健康な状態ですと、非常に丈夫なものですが、一度、水虫などで水疱のようなものができると、角質に透き間ができ、そこからバイ菌が侵入して、炎症や化膿を起こします。
 水虫も、初めて皮がむけたような初期に治療をすると、かなりの確率で、しかも、短い期間で治ります。
水虫の菌は、カーペットの上や廊下などに落ちています。
この菌は、その状態でも1ヶ月以上も生きています。



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