その他の病気
血管の病気


 血管と言うと、動脈と静脈を想い浮かべますが、今回は、リンパ管も含めての病気のお話です。
これらを併せて脈管と呼んでいます。
 血管は、一番太い心臓を出た所では、外径が3センチほどあり、胸部上行胸大動脈と呼びます。
これが、だんだん細くなり毛細血管レベルになると数ミクロンになります。
全身の血管全てをつなげると、地球を一周してもまだ余ります。

 動脈の病気には、閉塞する病気と、拡張する病気(動脈瘤)があります。
動脈が閉塞すると、組織に血液が流れなくなり血行障害の症状が起きてきます。
動脈瘤の場合は、血管がどんどん膨らんで、最終的には破裂すると言うことで、生命に拘わるようなことが起こる場合もあります。

 このようなことが、なぜ起こるかですが、血管は、年をとると、だんだん変性と言って、変化をしてきます。
その最も大きな原因が動脈硬化です。
後は、細菌が動脈に付着して動脈瘤を作るとか、原因不明の炎症反応、また、遺伝的なものもあります。
遺伝的な動脈瘤では、30歳代で命を落とす場合もあります。

 動脈硬化は、30代後半から始まることが分かっています。
静脈の病気には、動脈と同じように静脈が膨れる病気(静脈瘤)があり、これは、足の静脈に多く見られます。
それから、表面の静脈や筋肉の中を走っている、非常に太い静脈などが塞がる場合があります。
これを、静脈血栓症と言います。

 リンパ管の病気には、生まれつきリンパ管の形な異常と言って、リンパ管が少ない場合や、非常に太い人もいます。
このような場合は、リンパの環流(リンパ液が心臓に戻ること)する機能が落ちていますから、足などが生まれつき腫れているとか、乳癌の手術などで、腋窩のリンパ腺を取って根治的な手術をするような場合は、やはり、手のリンパの流れが悪くなって、手術の後に腫れると言うことがあります。
このような先天性と、後天性のリンパの浮腫が治療の対象となります。
血管の病気は、今後増加の傾向にあると言われています。

 次に、血管の病気として、その代表的な症状についてです
。@足の腫れ
動脈の病気の場合は、血行が悪くなっても足が腫れることはありませんが、静脈の病気やリンパの病気では、必ず足の腫れが伴うことが大きな第1の症状です。
これは、だるいとか、重いとかの感覚がありますが痛みの感覚はありません。
 足が腫れる原因には、この他に、全身性の疾患で足が腫れることもあり、心不全や腎臓が悪いため、尿が出にくくて足がむくんでいる、肝臓が悪くて栄養失調の場合にも、両足がむくんできますが、このような場合を除外して考えなければなりません。

 しかし、片足だけが腫れていると言う場合は、リンパや、静脈の病気を考える必要があります。
リンパ液や静脈血は、途中でブロックされると環流が悪くなって、そこで足が腫れてきます。
 静脈の場合は、静脈に逆流防止弁があり、静脈血が逆流しないようになっていますが、この弁が壊れたり、静脈がつまったりすると、足のむくみが起きます。
リンパの場合は、手術などで流れをブロックされると、やはり、むくみが起きてきます。

 静脈の逆流防止弁が壊れる原因は分かっていませんが、1つには、妊娠などが大きな影響があると言われています。
それから、長時間の立ち仕事や、先天的に、母親の静脈が腫れていた人は、その娘も腫れていると言うことが多いです。
このような場合は、歩くことがとても大事ですし、予防にもなります。
 これを放置しておいたため、足を切断しなければならないなどと言う訳ではありませんが、静脈の場合は、湿疹ができたり、色が付いてきたり、潰瘍ができてきます。
このようになると、かなり痛みも起こってきますので、やはり、手術と言うことになりますが、静脈瘤の場合は、硬化療法がポピュラーになってきました。

 血管の病気に、歩くと痛くなる病気があります。
動脈がつまると、組織、特に、筋肉に酸素や栄養が行かなくなると、筋肉が痛くなって歩けなくなります。
これを、間歇性跛行と言います。
 歩き始めは、痛みはありませんが、しばらく歩くと痛みが出てきて歩けなくなり、少し休んでいると再び歩けるようになります。
これが、この病気の特長です。

 このような場合、腰からきているのではないかと思い、整形外科を受診しますが、それでは、なかなか良くなりません。
整形外科の医師も、気が付かないことが多いです。
この病気を放置しておくと、数パーセントの方は足を切断する手術を受けることになります。
 痛みの出る部分は、血管がつまった場所より、先の場合が多く、膝から下の動脈がつまると、足の裏が痛くなりますし、大腿の動脈がつまると、ふくらはぎが痛くなります。
この場合片足だけのこともありますが、両足の場合もあります。

 痛み方は、先にも述べたように、歩き始めは痛くありませんが、ある距離を歩くと痛くなって立ち止まり、しばらく休むと血流が再開して、また歩けるようになります。
これが、この病気の特長的な痛みです。
100メートルくらいは歩けるが・・・と言っても、70歳の人が100メートル歩けるのと、40歳の人が100メートルを歩けると言っても、これには、かなりの差があり、40歳の方のほうが、重傷と言うことになります。

 治療は、多くの場合、歩行訓練を行い、かなりの成績を上げて、歩ける距離も伸びています。
重傷者の場合は、詰まった血管にバイパス手術を行うことで、仕事にも復帰することができます。
しかし、これは永久に開存していると言う保証はありません。
例えば、大腿の動脈のバイパスで、5年開存率は70〜80パーセントで、20〜30パーセントの人は、5年以内につまる可能性があり、そうなると、再手術と言うことになります。

 この病気と、他の病気で起きる足の痛みを区別するには痛みの出方で決めます。
この病気の場合は、最初は痛みがない、つまり、歩かなければ痛みは出ないのですが、他の病気の場合は、最初から痛い、つまり、歩かなくても痛い所が違うのです。
 もう1つ、静脈による跛行があります。
これは、筋肉ポンプで静脈血が送られている間は痛みが出ないのに、立ち止まると静脈血が送られなくなり、足が腫れて痛くなります。
これが、静脈性跛行の特長です。

 最後に、血管の病気による手や足にできる傷についてです。
手や足の先にできる傷のため、切断においやられることもあります。
榎本賢一(エノケン)や、村田ひでおなどが有名です。
動脈がつまることによって、手や足の先に酸素や栄養が届かなくなると、その組織は壊死を起こします。
その結果できた、ジュクジュクした傷を壊疽とか、脱疽と言います。
動脈がつまると、脇道ができ、それによって血液が供給されるようになるのですが、その流れも悪かったりすると、やはり、組織は壊死を起こしてしまいます。

 動脈がつまるものに、ゆっくり起こる慢性のものと、急性に起きるものがあります。
急性に起きたものは、6時間以内に処置をしないと手遅れになることもあります。
静脈の場合は、足のくるぶしの上のあたりに難治性の潰瘍ができます。
しかし、切断するまでには至らないことが多いです。

 動脈がつまる原因には、不整脈があります。
心房細動 などの不整脈があると、心臓の中から血液の固まったものが出る場合があります。
それが、動脈につまり塞栓症を起こします。



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