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膝の痛み


 膝の痛みを大きく分けると、関節の外の痛みと中の痛みに分けることができます。
そして、年令によっても多少その痛みの出方が違います。
成長期に、成長が進んでいる時に、運動をしていなくても痛むような痛み、それから、青年になってスポーツをやり過ぎて、使い過ぎによる痛み、高齢になって変形性の変化が進んで膝の中の構な体が少しづつ壊れて来て、痛みが出てくると言うように、痛みの出方も年令によって違ってきます。

 膝の外側の痛みで、1番頻度の高い年齢層は、子どもでも運動が活発に行なわれてくる年令、そして、青年になってスポーツをプロ並みに活発にやる人達、それが、膝関節を支持している靭帯の付着部や、筋肉の付着部にストレスが蓄積して出てくる痛みとがあります。
膝の周囲の筋肉が、バランス良く働いている時や、支持組織のバランスが取れている時は、多少の使い過ぎでも耐えることができますが、疲労して上手く筋肉が働いていない時に、いつもと同じように烈しい練習量をやると、それが痛みの原因になります。

 スポーツ選手で、外傷以外の膝の痛みを訴える競技は、バレーボールやバスケットボールに多く見られます。
これは、ジャンプと着地をする度に、自分の体重の5〜6倍の重さが膝の前にかかるからです。
これを繰り返していると、大腿四頭筋の付着部が痛くなってきます。
テニスなどの場合は、膝を屈曲している姿勢を取ることが多く、この姿勢でいると、膝のどこに力がかかるかと言うと、膝の後ろにある膝窩筋腱に力が加わります。
この筋肉は、脛骨のうしろがわから大腿骨の外側に向かって付いている、非常に薄い筋肉です。
この筋肉は、膝を曲げる時に最初に働く筋肉で、しかも、膝が曲がっている間、ずっと働いています。

 次に、膝の中の痛みについてです。
まず、痛みが出る前に、何か膝の中に異和感を感じることが多いものです。
何か引っ掛かるような感じ、あるいは、クリッと言う音がするなど、このようなことに気がついているはずです。
しかし、痛みがないので放置して、そのままスポーツをしたり、仕事を続けたりしている内に、痛みが出てくると言うことが多いです。
これは、一般的にも年齢を重ねてくると起こることが多いのですが、やはり、1番多いのはスポーツをやる方のようです。

 関節の中のどの部分が痛くなるかですが、内側だったり、外側だったり、あるいは、後ろだったり、関節の中を構なしている靭帯、関節軟骨、それから、繊維軟骨と言われている半月板などです。
この半月板は、膝には非常に重要なクッションの役目を果たしています。
半月板は、体重がかかってきた時に、上手に体重を分散する役割をしています。
 半月板の何処かが切れたとしても、それが大きくなければ、最初の内は、音の原因になっても痛みの原因にはならないのです。
それが、放置されて次第に大きく切れてくると、動き方が正常でなくなり、引っかかったり、引っ張られたりして痛みが出てきます。

 半月板は、体重を分散するクッションの役割だけでなく、膝の中の潤滑を良くする働きもしています。
関節の中は、硝子軟骨と半月板がうまく擦り合っていて、その中に、潤滑油が入っています。
潤滑油は、関節の中の滑液がその役割をしています。

 半月板損傷が治ると言うのは、ほんの一部分の損傷だけで、後は非常に治りにくいものです。
半月板の外から3分の1くらいは、血管が入っていますが、後の3分の2には血管がありません。
血管の入っている部分は何とか修復ができますが、血管のない部分は修復できないのです。

 次は、高齢化による変形性の膝の痛みについてです。
今後、高齢化が進につれて大きな問題となることと思われます。
膝の痛みが原因で、家から出られない、旅行にも行かれない、買い物にも行けないなど、だんだんつまらない人生になってしまいます。
他の臓器は健康なのに、楽しい人生が過ごせないと言う寂しいことになってしまいます。
 変形性膝関節症は、あまり強い炎症が起こらず、非炎症性の慢性に、そして、進行性に進んで行く病気と言われています。
年を取ると共に、徐々に悪くなって行く退行変性で、60才を過ぎると増えてきます。
特に、女性に多く見られます。

 そして、太っていて、O脚の方がなりやすいと言われています。
O脚は、歩く時にどうしても内側に体重がかかるようになり、徐々に痛みが出てくるようになります。
このようになってしまったら、もう元には戻りませんから、少しでも負担を軽くしてやると共に、大腿四頭筋、特に、内側の筋肉を鍛えてやることが大切です。

 また、履き物にも工夫をします。
履き物の外側を少し高くして、膝の内側にかかる体重を減らしてやるとか、履き物の中にクッションを入れてあげる、膝にサポーターをつけるなども有効な手段です。
ですが、やはり、1番大切なことは筋肉の機能を回復させることと、体重を落とすことが不可欠です。
 大腿四頭筋を強くする運動は、家庭でも簡単にできます。
膝を真っ直ぐに伸ばした状態で、膝のさらを上に持ち上げるようにします。
特に、内側を意識して行なうことが大切です。
この状態を5秒ほど止めてから緩めます。
そして、何よりも根気よく続けることが大切です。

 最後に、子どもの成長期における膝の痛みについてです。
子どもによって差はありますが、多くの場合小学校6年生から中学3年生にかけて非常に成長が著しくなります。
それを、体育の先生や、スポーツを指導している人が、個人こじんの成長の特長をよく見て、それに合った指導が不可欠です。

 急に成長した子は、骨は伸びても周りの筋肉や、腱は、それほど成長ができていないこともあります。
このような状態で、同じような練習メニューを行なっていると、腱の付着部などが引っ張られたりして痛みが出るようになってきます。
そして、その代表的なものにオスグット病があります。

 これは、膝を作っている脛骨の骨端核と、大腿骨の骨間端の間にある成長軟骨層が、大人になると、脛骨に付いて1つの骨になるのですが、成長期に骨端核に付いている腱が、無理に引っ張られると成長軟骨層が上手く成長できず分節してしまいます。
このオスグット病は、烈しくサッカーなどをやる子どもに多く見られる病気です。
その他にも、筋肉の付着部でも、シンリングラウセン病、ヨハンソン病など様々な病気が出てきます。
 これらの病気の治療は、練習量を少なくするか休むのが1番です。
この時期に関節を壊すと、一生それを引きずって行くことになります。




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