その他の病気
排尿障害


 排尿障害とは、尿が出るときに障害があるということで、尿が出にくい、尿が出ない状態(排尿困難)、または、尿が漏れてしまう病気を言います。
尿が漏れることを尿失禁と言いますが、これは、女性に多く見られます。
男性で、尿が出にくいと言う場合は、前立腺肥大症や前立腺癌などが考えられます。
60歳を過ぎると、男性の4割に1人は前立腺肥大ということで、尿が出にくくなり、悩んでいる人も多いですが、早い人では、50歳を過ぎた頃から徴候が現れます。
尿が出始めるまでに時間がかかったり、出ても勢いがなく、なかなか終らないような場合は、一度、調べてもらうことをお勧めします。
逆に、頻尿がありますが、これは、尿が近いと言うことで、これには定義があります。
1日に10回以上の排尿がある場合、あるいは、夜間2回以上排尿のある場合を頻尿と言います。
夜2回で頻尿は少ないように思いますが、1回以下、つまり、0から1回と言うのが正常です。

 前立腺の話に戻りますが、前立腺と言う臓器は、女性で言うと子宮に当たるようなものです。
その場所は、膀胱のすぐ下で尿道の周りを取り囲んでいます。
正常な大きさは、クルミ大の大きさです。
これが肥大すると、尿管を圧迫し、尿が出にくくなったり、出なくなったりします。

 前立腺が肥大する原因は、年令的な問題が1番大きいと言われていますが、その他には、ホルモンなどの様々なものが関係しています。
前立腺が大きくなる病気に、前立腺肥大症がありますが、他にも、前立腺癌という病気があり、この2つが前立腺が大きくなる病気です。
前立腺肥大症は、前立腺の内側の内腺から、発生する病気で、女性で言えば、子宮筋腫に相当すると考えると理解しやすいと思います。
また、前立腺癌は、外側の外腺から発生する病気で、ここから、悪性の腫瘍が発生します。

 この他、排尿障害には、まれに、糖尿病が原因で起こることがあります。
これは、末梢神経の障害を起こし、神経の働きが悪くなって、膀胱に尿が溜まったのが分からなくなり、尿が出なくなってしまうためです。
それと、寒い時期に風邪をひいて、風邪薬を飲んで尿が出なくなることがあります。
それは、風邪薬の中に、咳や痰を取るために、気管支の分泌物を抑える物質が入っており、それが、膀胱の出口の膀胱括約筋に働き、括約筋を絞めてしまうのです。
これは、若い人や正常な人には、あまり見られませんが、前立腺肥大症などの疑いのある、尿の出にくい人に起こりやすいようです。
また、酒の飲み過ぎでも、前立腺が欝血して尿道を圧迫し、尿が出にくかったり、出なかったりすることがあります。

 次に、自分でできる前立腺肥大症の自己診断法についてです。
先にも少し触れましたが、次の項目で2つ以上該当すれば、前立腺肥大症の可能性があります。
@就寝後、2回以上トイレにいく。
A排尿後、まだ、尿が残っている、つまり、残尿感がある。
B前の排尿から、2時間以内に、また、トイレにいく。
Cトイレに行っても、なかなか尿が出ない。
D排尿の際、尿の勢いが弱くなって、終るまでに時間がかかる。

 以上の項目の中で、2つ以上該当する人は、病院で検査を受けることをお勧めします。
検査は、超音波と、最も簡単な触診法があります。
触診法は、肛門から、指で触診する方法です。
運悪く、前立腺肥大症と診断されても、最近は良い飲み薬がありますので、半数以上の人は薬で良くなります。
 これで治らなければ、手術と言うことになりますが、その場合でも開腹手術は行なわず、尿道から内視鏡を入れてできるようになりました。
その他には、レーザーによる方法や、マイクロウェーブによる温熱療法などがあります。

 次に、前立腺癌についてです。
昔は、前立腺癌は少なかったのですが、生活様式や、食生活が欧米化してきたため、年々、増加傾向をたどっています。
欧米では、男性がかかる悪性腫瘍の中で、発生率が第1位で、死亡率は、肺癌に次いで第2位です。
日本でも、かなりのスピードで増加傾向にあり、今に、胃癌と同じくらい増えるのではないかと懸念されています。

 それでは、前立腺癌の自己診断法を簡単に述べてみます。
@年令が55歳を越している。
A尿が出にくい。
B排尿の回数が多い(1日10回以上)
C尿に血が混じる(血尿)潜血反応がある。
D腰痛がある(背骨を含む)。

 以上の項目の中で、2つ以上該当する場合は、要注意ですが、特に、@とDに該当する人は、診察を受けることをお勧めします。
この、@とDは、かなり重要で、後は、参考程度に考えておくといいと思います。
@の場合は、年令が55歳を過ぎると、その可能性が急に増えるからです。
Dの場合は、前立腺癌は転移が早く、特に、腰の骨や背骨に転移することが多いので、腰痛が起こるのです。
前立腺癌は、血液の検査で8割以上見付けることができます。
健康診断の際、是非、前立腺癌のマーカーをチェックしてもらうようにお願いしてみてください。

 前立腺癌の治療についてですが、前立腺癌は、他の癌と違って、男性ホルモンがないと大きくならないのです。
治療は、男性ホルモンがなくなるように、睾丸を除去するとか、女性ホルモンを投与するなどで、進行を抑えたり、他にも、男性ホルモンを抑える薬もあります。
そのような治療を続けることで、前立腺癌が小さくなります。
他の癌と同様、前立腺癌の場合も、早目に発見することで回復率が上がります。
初期の場合では、手術で取ってしまえば、それで終りと言うことも多いですし、そうでなくても、治療効果が進んでいますので、きちんト治療すれば、癌と共存することもで気ますので、そんなに心配することもありませんが、いずれにしても、早目に診断してもらうことが一番大事です。

 最後は、尿失禁についてです。
尿失禁は、自分の意志と関係なく尿が漏れることを言います。
尿失禁は女性に多く、健康な女性でも4人に1人くらいの割で見られます。
特に、妊娠している場合には、半数ほどの人に見られます。
これが、日常生活に支障をきすようなら、やはり、治療が必要です。

 尿失禁も、いくつかの自己診断法のチェックポイントがありますので試して見てください。
@クシャミや咳で、尿が漏れることがある。
A重いものを持ったり、飛んだり跳ねたりすると尿が漏れる。
Bトイレに行くまでに、我慢ができず、尿が漏れてしまう。
C尿が近い(1時間もたない)
D尿の出が悪い(ちょろちょろしか出ない)
E常時、尿が出ている(染み出るように、タラタラと、いつも濡れている)
 以上のことで、2つ以上該当する項目があれば診察を受けることをお勧めします。
膀胱括約筋の閉まりが悪い人は、ちょっとした腹圧でも尿が漏れてしまいます。
括約筋の強さや弱さは、年令にも関係しています。
特に、出産で難産した人は、括約筋が弱くなっている人が多いですし、太っている人や、便秘がちな人にも多く見られるようです。

 このような場合の尿失禁を、腹圧性尿失禁と言い、この場合の治療は、骨盤の底の筋肉を鍛える、骨盤底筋体操という運動療法を行ないます。
Bの場合のように、トイレに行くまで、間に合わず漏れる場合は、脳から、排尿を我慢しろという命令が出ても、それが、膀胱まで届かないことがあります。
脳溢血や、頭の手術をした人、あるいは、脊髄の病気をした人などは、脳からの司令が届かないことがあります。
この場合も、膀胱を拡げるような運動法がありますが、今は、良い薬がありますので、薬物治療が効果的です。
Eの場合の、染み出るように常に濡れている場合は、尿がうまく出ることができず漏れているのです。
この場合も、手術という方法もありますが、効果的な薬もありますので、一度、専門家に相談することをお勧めします。
このように、尿失禁の治療には運動療法や手術、薬を用いる方法など、いろいろありますが、80〜90パーセントの人は治癒しています。




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