老人に多い病気
物忘れと記憶力の低下


 年を取ると、あれっ!!、何を取りに来たのだっけと言うように、物忘れや記憶力の低下は、誰にでもあることだと思います。
まず、記憶ですが、記憶には、短い記憶の短期記憶の直ぐに忘れてしまうタイプの記憶と、長期記憶と言って、いつまでも忘れないような昔の記憶など、時間の長さで分ける二つの記憶があります。
長期記憶も、さらに3つほどに分類できます。
 1つには、エピソード記憶と言われるもので、自分の体験したことの記憶です。
もう一つは、意味記憶と言って、数字や記号などの記憶のことです。
最後のもう1つは、手続き記憶と言って、自動車や、乗り物などを運転するような動作の記憶です。
これらが、長期記憶の中でも忘れにくい記憶です。

 同じ忘れると言うことでも、自分の家の住所を忘れたり、電話番号を忘れたりする度忘れがありますが、この度忘れは、普通の物忘れと言うのと少し意味が違っています。
新しいことを覚えることを記銘力と言い、そして、覚えたことを思い出すことを想記と言います。
この2つを合わせて記憶と言います。

 そこで、物忘れの方は、新しいことを覚える記銘力の低下です。
そして、度忘れは、思い出せない、頭の中には入っているのだが、うまく思い出せないと言うのを度忘れと言います。
つまり、度忘れは、記憶を入れた引き出しをうまく探し当てることができない状態です。
ですから、場所を変えたり、時間が経つと、急に思い出したりすることがあるのです。
度忘れは、決して頭の中から消えているわけではないのです。

 度忘れを防ぐには、工夫が必要です。
何かと関連づけて覚えるとか、印象に残るような覚え方をすると良いのです。
例えば、名刺と顔が一致して覚えられないことが多いと思います。
それは、名前には意味がないため、なかなか覚えられないのです。
そんな場合は、顔と関連づけて、顔をイメージするように覚えるとか、知覚的な記憶というのは非常に頭の中に残りやすいものですから、なるべく、イメージを焼き付けるように覚えることが重要です。

 それから、意味のない電話番号などは、ゴロ合わせでストーリーを作って、自分の身に近いものと結びつけて覚えて行くと良く覚えられます。
また、緊張しているときも度忘れすることがよくあります。
これは、自律神経の問題なのですが、交感神経は、戦闘態勢ですから、脳の緊張を高めてしまいます。
そのために、記憶力がうまく働かなくなってしまい、普段は何でもないことが思い出せなくなるのですが、それを防ぐには、自分なりのリラックスできる方法を考えることです。
例えば、コーヒーを飲むとか、笑うなど何でも良いのですが、1番理想的なのは、ストレスを減らすことです。

 それから、朝食を取らないで出かけるのは、脳にとっては非常に大変なことです。
脳の食事はブドウ糖だけですから、腹がすいているのは本人の腹だけでなく、脳も腹をすかしているのです。
ですから、脳のために、少しエネルギーを補給してやる必要があります。

 ものを忘れてしまうとか、思い出せないと言うことは、確かに大変なことですが、しかし、度忘れや物忘れをあまり深刻に考えるのも問題です。
深刻に考えなければならない度忘れや、物忘れは圧倒的に少ないはずなのです。
そこで、忘れると言うことも重要なのです。
むしろ、記憶力が良くて忘れられない人は、忘れられないことで悩むのです。
忘れると言うことも1つの脳の機能ですから、忘れた分だけ、また覚えて行くと言うような脳の使い方が良いと思います。



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