脳と心臓の病気
めまい


 めまいは、病名ではなく症状のことですから、様々なところで使われます。
めまいの起きる原因には、大きく分けて2つあります。
1つは、脳の障害で起きるめまいで、もう1つは、内耳にある三半規管の障害で起きるめまいです。
 脳の障害が原因で起きるめまいは、命にかかわるめまいです。
特に多いのは血管の障害で、その血管が詰まるとか出血を起こすと言ったものです。
このような場合、めまいの他に、若干、手足や唇がしびれると言ったようなことが前触れとして、起こる場合もあります。
また、脳腫瘍が原因で起きる場合や、急激にめまいが起きることはありませんが、脳の変性疾患によって、まれにめまいを起こす場合があります。
いったんめまいが起きて、数時間〜数日治まらない時は、専門機関で検査をすることが必要です。

 次に、内耳が原因のめまいですが、内耳には、音のセンサーの蝸牛と、体のバランスを司る三半規管があります。
この三半規管が突然故障すると、とてつもない大きなめまいが起きます。
内耳が原因で起きる、めまいの代表的な病気に、メニエル病があります。
この病気は、内耳の中が水膨れになる病気で、音の聞こえが悪くなると同時に、めまいを起こす病気です。
どちらが原因のめまいかを、めまいだけで区別するのは難しいですが、内耳が原因の場合は、若干音の聞こえ方が悪くなりますので判断材料になります。

 全ての耳の病気で、音が聞こえにくくなるわけではありませんが、音が聞こえにくくなってから、めまいが起こる病気の代表的なのが、このメニエル病です。
この病気の大きな特長は、1度だけ起こると言うのではなく、何度も繰り返します。
 そして、めまいの起こる前に、音の聞こえが悪くなり、急にトンネルの中に入った時のような耳鳴りが強くなります。
このような症状がしばらく続き、ある日、突然めまいが起きます。

 この時、内耳の中で何が起きているかですが、三半規管と、蝸牛を内リンパでつないでいて、その内リンパ液が過剰になってしまい、水膨れの状態になっているのです。
そのため、三半規管と蝸牛の機能が、一気に悪くなってしまいます。
しかし、その内リンパ液の流れが良くなり、水膨れの状態がなくなると、めまいの方も治ってしまいます。
 残念ながら、今の所、その原因についてはまだ分かっていません。
ですが、最近、昔から使われている利尿剤が、めまいに効果がある事が分かり、厚労省の認可もおりて、メニエル病に使われています。

 次に、良性発作性頭位めまいについてですが、これは、頭の位置によって、突然発作的に起こると言うめまいです。
1番多く起こるのは、朝起きる時、起き上がろうとしたとたんに起こるとか、布団の中で、寝返りをしたとたんに起こる、あるいは、洗濯ものを干そうとして、上を向いたとたん起こる場合や、美容院で洗髪が終って、起き上がったとたん起こる場合などがあります。
このめまいは、ほとんど1分以内に治まってしまいます。
そして、じっとしている時は、絶対に起こらないめまいです。

 脳神経科などで、CTスキャンやMRIなどを使って調べても、結局は、何でもありませんと言う返事がくるだけです。
この種類のめまいは、耳鼻科の専門分野ですから、耳鼻科の専門医に診てもらうことが大切です。
専門医は、問診でほとんどが分かってしまいます。
 このめまいの起きるメカニズムは、内耳にある耳石の故障で起きます。
耳石は、重力を感じるセンサーの役割をしています。
それが故障すると、重力の加わり方が違って感じるため、めまいを起こすのです。

 このようなことは、頭を強く打ったとか、転んで頭を打った、あるいは、交通事故でむちうちになったと言うような人に多いです。
また、あまり動かないで、家の中でテレビばかり見ているような、じっとしている人にも多いのです。
このめまいの治療は、めまいを起こす頭の位置をとらせて、わざとめまいを起こしてやります。
ふしぎなことに、無理にめまいを起こしてやると治ってしまいます。
このように、このめまいは、非常におもしろい性質を持っています。

 脳が原因で起きるめまいは、先に述べたように、烈しいめまいを伴う場合は、脳の血管障害、いわゆる、脳梗塞や脳出血です。
これが急激に起こると、烈しいめまいが起こります。
脳梗塞や脳出血が起こる場所によっては、運動や感覚も同時に障害されることも非常に多く、、大きなめまいが起きる前に、手足のしびれや、物の見え方がおかしい、ダブッて見えるなどの症状が起こってくる率が高いです。

 脳は、体の運動やバランスを保つ働きを支配している場所ですから、そこが故障すると、体中に様々な症状が起こってきます。
高血圧や糖尿病の人は、脳の血管に障害を起こしやすい基礎疾患を持っているわけですから、その治療をすることが先決です。
 それから、徐々に起こってくるめまいに脳腫瘍があります。
脳の中で、腫瘍がだんだん大きくなってきますので、急激な症状は起こりにくいのですが、まれに大きなめまいを起こすことがあります。

 腫瘍の中の血管は、正常な血管ではありませんから、非常にもろく、腫瘍の中で急に出血することがあります。
そうすると、腫瘍が大きくなって、周囲の脳を圧迫して、突然めまいや、他の神経の症状を起こすことがあります。
脳の場合は、めまいが起きる前に、前触れがありますから、気がついたらすぐに調べてもらうことが大切です。
耳が原因のめまいと、脳が原因のめまいが同時に来ることはありません。



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