息切れと言う言葉は、普段多く使っている言葉ですが、息切れ=病名ではありません。
息切れとは、症状の1つです。
息切れを起こす病気は数多くありますが、主に次のようなものがあります。
呼吸器系では、喉に癌ができる、あるいは、声帯に浮腫が起こるなどがあり、もう少し下では、空気の通り道の気管に異物が詰まったり、癌ができたり、さらに、下の方に行くと細い気管支に起こる炎症や喘息などで息切れを起こします。
そして、肺胞に肺炎が起こったり、水が溜まったりすると、血液に酸素が十分流れにくい状態になり、やはり、息切れを起こします。
次に、循環器系では、心臓の病気で心筋梗塞を起こすと、心臓の機能が落ちます。
そうすると、やはり、肺に水が溜まり、肺炎と同じように息切れを起こします。
また、婦人科の疾患の子宮筋腫になると、ひどい出血を起こすことがあります。
そのような状態が続くと、高度の貧血状態になり酸素を運ぶ赤血球が不足し、息切れの状態になります。
その他にも、アルコールによって過呼吸を起こすとか、喘息の特殊な形としてアルコールによる息切れなどもあります。
このようにして起こす呼吸困難を、息切れと呼んでいます。
平地、あるいは、坂道を普通に歩けるのは正常ですが、平地は大丈夫だが、階段や坂道を昇ると息が切れると言うのは、ごく軽い呼吸困難で、平地でも息切れを起こすのは、もう少し強い呼吸困難です。
歩く距離で言えば、平地で50メートルくらいを休まないで歩ければ良いのですが、休みながらでないと歩けないような場合はかなり重傷な状態です。
それから、日常生活で、服を着替えるとか、顔を洗うなどの動作で息切れが起こるようになると、これは、最も重傷な呼吸困難と言えます。
また、胸の痛みと同時に息切れを伴うことがあります。
急に心筋梗塞が起こり、心不全になって呼吸困難になるとか、若い人で、急に肺が気胸を起こし胸の痛みと、息切れを同時に起こす場合もあります。
さらに、肺の血管に血栓が詰まって、胸の痛みを伴って息切れを起こす場合もありますので、胸が痛むと言う症状は、非常に重要なことが多いです。
それと、チアノーゼ(唇や 指先が紫色になる病気)を伴って、息切れが起きる場合は、かなり重度の酸素不足を起こしている状態で、緊急を要します。
体がむくんだ状態で息切れを起こす場合は、心臓の病気か、肺の病気を伴っていることが考えられます。
せきこんで、息苦しくなる病気としては、肺炎や肺繊症などがあります。
その他にも、ゼイゼイして息切れを起こす気管支喘息も多い病気の1つです。
今まで、息切れとして述べてきた呼吸困難ですが、これにも、急性と慢性があります。
急性の呼吸困難には、重傷な疾患が多く、気管に異物が詰まった場合や、気管支の喘息発作、これには、ほこりを吸ったとか、ソバを食べたら急に呼吸困難を起こしたなどの特殊なアレルギーで起きる息切れなどもありますし、アスピリン喘息と言って、熱を下げようとアスピリンを飲んで、15分ほどすると突然強い喘息発作が起こるものもあります。
また、足の静脈から血栓が肺に入り、肺の血管に詰まって肺梗塞を起こすため、急に呼吸困難を起こします。
この場合の多くは、血痰を伴うことがあります。
それから、急激な心不全の場合も呼吸困難を起こします。
特殊な例では、長時間飛行機に乗っていて、到着し飛行機を降りて歩きだしたとたんに、バッタリ倒れると言う場合もあります。
これは、足にできた血栓が肺の血管に詰まって起きるものです。
慢性の呼吸困難は、安静にしていたら治ったと言うことが多く、そのことで病院に行く人が少ないのです。
人間の肺には、かなりの予備能力がありますが、その予備能力が失われてきていることに気がつかないことも多いです。
これは、同年代の健康な人と一緒に歩いて比べて見るとよく分かります。
慢性のものには、喘息もありますが肺気腫もあります。
そのため、最近は禁煙が強く叫ばれています。
それだけタバコは肺癌や肺気腫の原因になっているのです。
最後は、体位性呼吸困難についてです。
これは、体の位置によって起きる呼吸困難で、夜寝てから数時間経つと息切れが起きると言うもので、この場合は、心臓喘息などに多く見られますし、心不全の1つの徴候でもあります。
珍しい例に、体を横にすると息切れが起きると言うことがあります。
普通、立位や坐位の状態では、体内の内臓は引力によって下の方に引かれていますが、体を横にすると、その重力の加わり方が変わります。
そのために、呼吸筋の横隔膜の動きが悪くなって呼吸困難が起きると言うわけです。
この他の呼吸筋(肋間筋など)でも、同じようなことが起きます。
また、この逆の横になっていると楽だが、起き上がると息苦しくなると言う場合もあります。