内臓の病気
腎、尿路結石


 腎、尿路結石は、ここ30年ほどで約2倍に増加しています。
男女比も、2.5対1で男性に多い病気です。
これは、腎臓から尿が排泄される経路のどこかにできる結石で、本当の原因はまだ分かっていません。
そして、エジプトのミイラからも、この結石が見つかっているほど古くからある病気の1つと言われています。

 結石ができる原因の1つに、水を飲む量が少ないと言うことがあります。
水の摂取量が少ないと、尿が濃くなるだけでなくて、石が流れにくくなります。
他に考えられる原因は食事が影響していると言うことで、特に、欧米型の食事で、コレステロールの多い食事が考えられますし、骨粗鬆症の方で、骨から抜けたカルシュウムが腎臓に沈着することも分かっています。

 それに、地域的な差があることも分かってきました。
1番多い所と、少ない所では4倍ほどの差があり、多い所は東海地方、近畿地方、中国地方、四国地方など、少ない所は、北海道、東北地方、関東地方、九州地方などです。
世界的に見ると、オランダなどは飛び抜けて多い所と言われています。
名古屋大学で調べてみた結果、飲料水と関係があるようです。

 つまり、発生率の少ない地方の飲料水は、カルシュウムが少なく、マグネシュウムが多いと言うことが分かったのです。
実際は、カルシュウムの多い水のほうがおいしいとされていますが、食物の中でも、チーズなどのように、カルシュウムの多く含んだ物を取りすぎるのも原因の一つと考えられています。
その他にも、最近では、ストレスなども原因と考えるようになってきています。
 このように、結石のできる原因は色々のことが考えられますので、1つだけを取り上げて、それが原因だと言うことができません。
また、動脈硬化症の方の中にも、結石のできる方が多いことが分かりました。

 腎、尿路結石の治療法ですが、昔は、開腹手術によって行なわれていましたが、現在では、結石に雷のような衝撃波を加えて砕き、尿と一緒に出す方法が取られています。
しかし、どうしても砕くことができない物もあり、このような場合は、やはり開腹手術によるか、内視鏡を使って取り出すことになります。
 衝撃波を使う方法は、1980年にドイツで開発された技術で、これが、日本に導入されたのは、今から十数年前のことです。
この、腎、尿路結石は、上のような方法で除外しても、5年後の再発率が30〜40パーセントほどあります。
ですから、飲料水や食べ物に気を付けて、予防することが大切になります。

 腎、尿路結石は、激痛を伴い血尿が出ることが多く、肉眼で確認できなくても、顕微鏡的には血尿が出ていることが多くあります。
しかし、中には痛みを伴わないこともありますから、ほおっておくと、腎臓本体がやられてしまうことになります。
このような結石をサイレントストーンと呼び、発見した時は、既に遅く腎臓はもう元の腎臓にもどれないと言うことが多いですから、とても怖い病気の1つです。

 予防法ですが、最初に述べたように、水を多めに取ることがとても大事です。
つまり、尿を沢山出すと言うことです。
後は、食べ物に気をつけることで、コレステロールの少ない食べ物にするとか、マグネシュウムの多い食べ物(穀類や野菜類)などを心がけて食べるようにすることです。
 最後に、1日に飲む水の量ですが、1日の尿の量とほぼ同量で良いと思います。
普通、1回の排尿の量は平均200〜300tですから、10回行くとして、2リットルくらいになります。



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