小児の発達障害とは、発達に問題がある子どもを全部含みます。
もちろん、様々な領域を含みますが、多くは知的な発達に問題があることを指して言う場合が多いです。
一言で知的な発達と言っても、症状は様々ですが、発達が遅れている精神遅滞や、発達の内容に偏りがあるいろいろな病気を含みます。
これには、大変多くの病気があり、頻度の高い病気に自閉症、多動症と言って注意が集中できないような病気(ADHDなどが含まれます。
それから、学習障害も頻度の高い問題であることも確かです。
学習に、ある特定の偏りがある子どもを全て指しますから、かなりの頻度に昇るのではないかと思います。
このような子ども達が増えているとは思えませんが、文化が発達し、生活が豊かになり、教育が発展すると言うことになると、社会全体がより良い質の教育、より良い質の育児をと言うことになってきます。
その社会の中で、不適応を起こすような子どもが診断されるようになって来ました。
そうすると、今まで、「まあ、できが悪くて仕方がないわね。」と言って見過ごされてきた子どもや、あまり学校に適応しなくて困ったもんだと言うだけで見過ごされてきた子どもたちが、きちんとした医療機関で診断されて、やはり、精神発達上の病気であったと言うようなケースが多くなり、見かけ上は増えているように見えるかも知れませんが、実は、今までは病気として取り上げられなかっただけです。
自閉症ですが、この病気は、説明が大変難しい病気です。
大きく分けると、次の3つがあります。
それは、人とうまくやって行く能力が、なかなか育ちにくい。
人と、コミニュケーションを取る技術や、能力が身に備わっていない。
それから、もう1つは、興味の感心に著しい偏り、歪がある病気と言うふうに考えると分かりやすいのではないかと思います。
しかし、実際に自閉症の患者に見られる症状は、実に多様な症状を示しますので、なかなか理解されにくい病気です。
子どもが小さい時は、言葉の遅れとして現れますので、割合分かりやすいですが、大きくなってから気がつくと、言葉の遅れていない自閉症の方もいますので、そうすると、大変変わった人間と言うような捉え方しかされません。
典型的な自閉症の場合は、3歳頃までに診断が付くことが多いですから、言葉の発達の遅れが心配な場合は、小児科の専門医を受診するのが1番良いと思います。
自閉症は、自分の殻に閉じこもると言うイメージがありますが、中には、言葉はなんでもペラペラしゃべるのに、人とコミニュケーションが取れず、同じことができないと言う場合もあります。
自閉症の確立した治療法はないと言われていますが、しかし、コミニュケーション能力の障害が基盤にありますので、いかにして、周りと適応してコミニュケーション能力を育てるかと言うところが治療の基盤になります。
それだけに、周りの理解、家族の理解、病気に対する深い理解と、このような方を受け入れてくれる学校や社会があることが必要なことです。
ADHDと言う病気は、最近では新聞やテレビなどで多く知られるようになりました。
どう言う病気かですが、注意欠陥他動性障害と略されています。
注意が足りなく、なかなか落ち着かないと言う病気の症状から取った病名です。
しかし、子どもの頃は、誰もが注意が足りなく、落ち着きませんから、正常と病気との区別がつきにくいですが、この病気の場合は、ある集団の中で落ち着かない、不注意、衝動性が強くて、集団に適応できないと言うようなことがあります。
もし、このようなことが認められるような場合は、やはり、病気と認識される場合が多いです。
ADHDの症状の本質は、不注意や他動、衝動性と言うのがあります。
忘れ物や落とし物をしょっちゅうする、気が散って5分も集中力がない、集中できないため日常の様々な生活行動(顔を洗う、着替えをする、風呂に入るなど)が、まともにできない、小学校の高学年になっても、席についていられない、ゲームなどをしていても順番を待っていられず、人にしょっちゅう邪魔をするなどの行動を起こします。
この中の1つくらいは、どんな子どもでもありますが、複数重なるようですと、やはり、病気と考えることが多いです。
今までは、このようなことがあると、親の仕付けが悪いなどと言われ、親も子どもを一生懸命、叱って、仕付けようと努力するのですが、なかなかうまく行かず、親の方にもストレスが溜まってきます。
子どもの方も、学校でも家庭でも叱られてばかりいると、今度は暴力的になり、切れた状態になってしまいます。
この病気の原因は、自閉症ほど分かっていませんが、治療には大変良く効く薬がありますので、自閉症よりは比較的治療が容易だと言われています。
世間では、人と同じことをしない人を個性的などと言いますが、人に迷惑をかけるような場合や、相手に暴力を奮ったりすることを個性的と言わないように、集団の中で迷惑な行動になってしまう場合には、個性と言うよりも病気と位置付ける方が妥当だと思います。
この病気の侭、大人になれば、車の運転は大変危険です。
そのため、アメリカでは、ADHDの大人のためのパンフレットのようなものがあるくらいです。
ドライブする時には、このようなことに注意をして下さいとか、薬物治療をきちんとしましょう、ADHDの大人が転職を繰り返さないように、自己トレーニングなどのパンフレットがあるほど注目されているのです。
単に、切れやすい切れやすいと言うだけでなく、背後に、病気があるかも知れないと言う認識を持つことが必要です。
次に、学習障害についてです。
この障害を、LDとも呼び、学習面での障害を言うのですが、それでは、勉強のできない子どもを全てこう言うのかと言うことではありません。
例えば、国語も、何も大変よくできるのに、たし算の概念だけがどうしても理解できないなどのように、ワンポイントである場合が多いです。
もちろん、ツーポイントの場合もあります。
このような場合を学習障害と言って、単に、できが悪くて頑張れば良いと言う問題ではなく、本来の能力に、元もと何らかの欠損があると考えた方が、教育もしやすくなりますし、子どもも、頑張れ頑張れ、やればできると言う風な余分な叱責を受けないですみますので、認識の仕方を改めることで様々なメリットが生じてきます。
学習障害の背後に、ADHDや自閉症が隠れていて、学習障害だけのように見える場合もありますので、やはり、様々な発達障害がLDとして現れていると言うこともありますから、やればできると言う見方だけではなく、学習面でも、病気があると言う理解が必要です。
このような病気の場合、専門医の居る小児科、小児神経科などの専門病院を訪ねるのが大切です。
どこに有るのかが分からない場合は、児童相談所に相談されるのが良いと思います。
児童相談所では、小児の発達障害に感する相談も受け付けていますし、専門医との繋がりもしっかりしている所がほとんどです。