健康に関すること
不眠症と睡眠薬の誤解


 不眠症には、大きく分けて4種類があります。
1番目は、寝つくのに2時間以上もかかる入眠困難です。
2番目は、睡眠の途中で、2回以上目が覚めてしまう中途覚醒で、3番目は、起床予定よりも2時間以上早く目が覚めても、再度眠れない早朝覚醒です。
そして、4番目は、いくら寝ても寝た気がしない熟睡感の欠如です。

 このうちの1つ以上に該当する症状があって、週に3回以上の頻度で1ヶ月以上続くと不眠症と言うことになります。
そして、日本人の3分の1が何らかの睡眠障害を感じていると言われています。
睡眠薬の処方が必要な人は、全人口の5パーセントにも上ると言われていますが、実際に、睡眠薬を服用している患者は2パーセントにすぎないと言われていて、不眠症でありながら、適切な治療を受けていない患者が多いと言うことになります。

 睡眠薬を服用することが、不眠治療の基本だ賭言われていますが、なぜ、適切に処方されていない患者が多いのか、その背景には、医師と患者の双方に、睡眠薬に対する根強い誤解があるのかも知れないのです。
その主な原因は、睡眠薬を飲むと、なかなかやめられなくなるんじゃないかと言う、依存症に対する誤解や、過ぎたる場合もあるのではないかと言う、副作用に対する誤解、それに、睡眠薬は直ぐに効かなくなるのではないかという、耐性(慣れてしまうこと)に対する誤解などが上げられます。

 こういう誤解が、20世紀の睡眠薬の歴史の中で生じたのですが、1960年代以降に製造されている睡眠薬には、耐性や依存症が生じることは希になっており、現在は、安全性が高く、依存症や耐性が問題になることは、ほとんどないと言われています。
これらを訴える患者の多くは、身体的、精神的に基礎疾患を持っており、適正な睡眠薬を適正に投与することで、不眠を解消して、基礎疾患の回復を早めることが最も大切です。



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