アレルギーと皮膚の病気
花粉症


花粉症対策(その1)

 春先は、花粉症の方に取っては、大変つらい季節です。
鼻水や目のかゆみなどで、仕事や家事が手に付かないと言うような症状が重い人も少なくないのではないかと思います。
そこで今回は、花粉症の予防や治療法についてのお話です。

 花粉症の人は日本人の20パーセントもいると言われていますから、2000万人の人が花粉症にかかっていることになります。
最近では、低年齢層の花粉症も増えていますし、小児の花粉症も珍しくなく、かなり重症化することもあります。

 去年までは何ともなかったのに、今年になって急に花粉症になったと言う人もいますが、これは、免疫の話になってきます。
例えば、免疫と言う生まれながらの体の中にバケツがあるとして、そのバケツの中に、花粉の刺激の抗原が、毎年まいとし入って、バケツが一杯になり、抗原が溢れ出るようになると、花粉症が発祥すると考えられています。
花粉症にはかかっていないけど、心配な方は、耳鼻咽喉科に行くと、血液検査でバケツの残量を計ってもらうことができます。

 一度、花粉症にかかってしまうと、治る人は2パーセント程度だと言われます。
また、2パーセントの人は、年によっては、花粉症になったりならなかったり、あるいは、かかった年でも、軽かったり重かったりと変化があります。
これは、花粉の飛散量に関わらず起きる現象で、その原因についてはよく分かっていません。
 考えられるとすれば、このようなアレルギー2は、自律神経が関係していますので、自律神経のアンバランスや、ストレスが多いことです。
花粉症は、正しく治療すれば嫌な症状を抑えることが可能ですし、症状に対する正しい知識を生活の中で活かすことが、治療効果を高めることに繋がります。


花粉症対策(その2)

 花粉症の症状には、まず、鼻や、目のかゆみが上げられますが、症状の重さも人によって異なります。
それは、鼻や目の粘膜に付く花粉の量や、体内にできている抗体の量などによるからです。
症状によってタイプ別に分かれますが、軽いタイプの人は、花粉が飛び始めてから、ゆっくりと症状が出るので、あまり治療もしませんし、自分は、花粉症だと気がつかないこともあります。
中等症の中でも、比較的軽いAタイプの人は、花粉が飛んでから、しばらくして症状が目立ちますがこのタイプの人は、1度発症すると、発症のスイッチがONになってしまい、ずっと激しいものが続きます。
そして、もう一つの中等症のbタイプは、本格的に花粉が飛ぶ前の少しの花粉でも、敏感に反応しますが、症状が続きながら、花粉の量に応じて、その症状も変化するタイプです。
重症の花粉症の人は、ほんのわずかの花粉が飛び始めただけでも、花粉症と言うスイッチが入ってしまい、終わるまで激しい症状が続いてしまいます。

 コのように分けるのは、治療方法を選ぶためです。
治療を受ける時、自分は、°のタイプなのかを知っておくと良いと思います。
治療には、昔からある第1世代の抗ヒスタミン剤や、一般的に使われる第2世代の抗ヒスタミン剤があり、これには、強い物から軽い物まで多数あります。
花粉症には、漢方薬も使われますが、漢方薬で有名なのは、ショウセイリュウトウと言うアレルギー性鼻炎の薬や、カッコントウと言う風邪薬も効果があります。
また、小児では、マオウトウと言う鼻詰まりに比較的効果のある薬もありますし、高齢者には、ショウケンチュウトウと言う疲労回復を目的に、全身を良くする目的で、アレルギーにも少しですが効果があるので使われます。


花粉症対策(その3)

 花粉症の治療には、減感作療法と言って、杉花粉の場合ですと、杉花粉のエキスを10万倍に薄めた液を、週に1〜2回少しずつ注射しますが、これは、半年〜2年ほど続けるものですが、これだけが、花粉症の根本的な治療法です。
この治療法は、75パーセントの効果があると言われていますが、なかなか2年間も続けられる人が少ないのが現状です。
 この他に、お茶で治療する方法もあります。
中国では、風邪のときに医者が処方するお茶として知られているのが甜茶です。
甜茶には、アレルギーを抑制する作用があることは確かですし、風邪の予防にも効果があると言われています。
 また、日本の緑茶も、緑茶に含まれるカテキンが、癌の予防に効果があると言われていて、カテキンと、カフェインがアレルギーを抑制することが分かっています。
ハーブティーの場合は、ローズヒップティーが効果があると言われていますが、これには、ビタミンcが含まれており、粘膜や毛細血管の炎症を抑える働きがあることから、鼻づまりの症状には最適だと言われています。

 それから、エルダーフラワティーも、抗炎症作用があって、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどに有効だと言われています。
この他にも、アロマテラピーも、症状の緩和に効果が期待できます。
ラベンダーは、自律神経のバランスを整えて、免疫機能を向上させると言われていますし、ユーカリや、ペパーミント、メンソールなどは炎症を抑えますので、そのオイルをマスクなどに垂らすと、鼻がスウスウして、鼻づまりの防止になります。


花粉症対策 (その4)

 今回は、花粉症対策の食生活についてですが、食品添加物の多い食品は、確実に免疫力を低下させて、花粉症の症状を早くしたり、重くしたりすることに繋がります。
と言うことは、できるだけ手作りの食事が理想的だと言うことです。
基本的には、穀類や豆類などが良いとされていて、特に、大豆関連の食材は、ホルモンのバランスを整える働きがありますし、ジャガイモや薩摩芋などの芋類も適していると言われています。

 それから、意識してほしいのは、体を温める食材を選ぶと言うことです。
野菜なら、大根や人参、玉ネギ、かぼちゃなど、果物では、リンゴやみかん、イチゴなどが良いですし、きのこ類は、免疫力を高めます。
寒い季節は、鍋物のシーズンですから、いろいろな野菜を入れて食べることをお勧めします。
 肉や魚ですが、肉にも体を温める物と冷やすと言われる物があり、鶏の肉は、体を温めると言われ、逆に、豚肉などは、体を冷やすと言われています。
魚ですといわしやさば、あじなどの背の青い魚には、EPAと言う血液をサラサラにする成分が入っており、これは、免疫を高める働きがあります。
体を温めると言う意味では、唐辛子やショウガなども期待が持てます。

 体に取り入れるものに関しては、多少コストがかかっても、長い目で見ると、安全と言うことで、人生を豊かにするためには大切なことです。
毎日の食事から、体質を改善することもできますから参考にしてください。


花粉症対策(最終回)

 花粉症には、日常生活での注意や工夫も重要です。
基本中の基本は、花粉を浴びないと言うことですが、全く外出しないと言うわけには行きませんので、できれば、花粉の飛ばないような日や時間帯を選んで出かけるようにすることが大切です。
特に、天気が良く風の強い日や、雨の上がった翌日は、花粉の飛散が多いので、時間帯を選んで出かけるようにします。
出かけるときは、めがねやマスク、帽子、コートなどで極力体に付く花粉を避けるようにすることが重要です。

 花粉の飛ぶ時間帯は、日中や夜にも飛んでいますが、最近では、電話やインターネットで花粉の飛散状況を知らせていますので、それを利用するのも1つの方法です。
花粉の飛散は、気温と関係して、飛んだり飛ばなかったりとさまざまです。
 外出して、帰宅する時の注意点ですが、まず、家に入る前に外で帽子やコートについている花粉を払い落とすことが大事です。
日常では、風のある日は窓を開けないとか、基本的には、洗濯物や布団は外に干さないことです。
 同居人がいる場合にも、家に入る時は、花粉を落としてもらうようにします。
それでも、家の中で落ちる物もありますので、廊下や絨毯は、こまめに掃除機をかけることです。

 この時期は、花粉を寄せつけない環境を作ることが大事ですが、体力作りも必要です。
基礎体力が低下すると、花粉症の症状も悪化してしまいます。
風邪をひいてしまうと、鼻の粘膜や喉の調子が悪くなり、更に、花粉の侵入を許してしまうことになって、花粉症の症状も悪化します。
 花粉症は、アレルギーですから、精神的なストレスも影響します。
いらいらや不安、不眠などに陥ると、アレルギー症状が更に悪化しますので、自分なりのストレス発散法を身につけて、質の良い睡眠が取れる生活を送ることが大事です。

 鼻炎の方は、アルコールでストレスを解消するのは注意が必要です。
鼻炎の人が、お酒を飲むと、鼻の粘膜が充血して、鼻づまりを起こし、更に、鼻炎が悪化します。
花粉症は、医師の指示を受けて、正しい治療を行うことはもちろんですが、自らの心がけも大切です。



 アレルギーと皮膚の病気 トップにもどる