アウリンの幡多弁辞典
か行


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 か 
 き 
 く 
 け 
 こ 

「か」

☆がいばら→犬ころ草の芽
 この『がいばら』は、『犬ころ草の芽』ですが、子どもの頃は、とても魅力的な植物で、先の方は食べることもできます。
この辺りは、自然がいっぱいですから、四季を通して野山がかっこうの遊び場で、春のいたどりを初め、秋にはアケビ、・・・、いろいろな山の果実が熟しました。

☆*がいな→荒い 荒っぽい
 この『がいな』は、性格が『荒い』とか、『荒っぽい』と言う意味ですが、やっかいな用事なども『今日の仕事は、なかなか、がいなぞ。』のように使うこともあります。

☆*がいみそ→やんちゃ おてんば
 この『がいみそ』は、上の『がいな』の子どもに使う言葉で、性格が荒っぽかったり、よくいたずらをする子どものことヲ言いますが、子どもの場合は、性格というより、いたずら度の方で言うことが多いです。

☆かえるの尻ふき→どくだみ
 この『かえるの尻ふき』は、『どくだみ』のことですが、この辺りではよく見かける植物の1つで、感想させて漢方薬にしたり、生の葉っぱを消臭剤代わりにも使います。

☆かがむ→しゃがむ 曲げる
 この『かがむ』は、『しゃがむ』とか、『曲げる』と言うような意味ですが、物を持って曲げるというのではなくて、体のどこかを曲げる時に使います。
例文→もっと、足をちゃんとかがめざったら、ズボンを何ぼ引っぱったち入るもんか。
解説→もっと、足をきちんと曲げなければ、ズボンをいくら引っぱっても入るわけがないでしょ。

☆*かける→座る
 この『かける』は、単純に、『いすや、ベンチなどに座ること』を言います。
ちなみに、畳の上などに座ることは『つくなむ』と言います。

☆*かじくれ→出き損ない 成長不良
 この『かじくれ』は、『出来損ない』とか、『成長不良』と言う意味ですが、人の成長にも使いますが、それよりも、植物のできばえに使うことが多い言葉です。
例文→今年の大根は、かじくればっかりで、干し大根にするほどできざった。
解説→今年の大根は、出来損いばかりで、切り干し大根にするほど育たなかった。

☆*賢い→利口な
 この『賢い』は、『利口な』と言う意味ですが、多くの地方で使われている言葉ではないかと思います。
この辺りでは、頭が良いということの他に、要領が良い人をさして『賢い人じゃけん、まわされるな(ごまかされるなよ。』と言うように使います。
ちなみに、その反対の人のことは『頭が涼しい』と言います。

☆かっか→げた
 この『かっか』は、単純に、『げた』と言う意味ですが普段使いのものではないかと思います。
ちなみに、帽子は『しゃっぽ』、ベルトのことは『帯革』と言います。

☆片じょうな→片方だけ 同じ方向ばかり
 この『片じょうな』は、『片方だけ』と言うような意味ですが、左右のバランスが取れていないことや、不ぞろいな状態を言ったり、好きなものだけを食べることなども、『かたじょうな食い方をするな』のように使いますし、『風も片じょうからは吹かん』とい場合の『かたじょう』は、片方と同じ意味で使うこともあります。
また、融通が利かない頑固な人を『かたじょうな人』などと言う場合もあります。

☆*かたぐ→かつぐ
 この『かたぐ』は、『かつぐ』と言う意味ですが、精神的なものや役割を担っている意味ではなくて、物をかつぐことを言います。
この辺りでは、『になう』と『かたぐ』は使い分けていて、『になう』は、にない棒で物をぶら下げて運ことを言い、『かたぐ』は、そのまま肩や背中に乗せて運ぶことを言います。

☆*かつえど→腹をすかせている人
 この『かつえど』は、『腹をすかしている人』と言う意味ですが、軽蔑した言い方の1つで、がつがつ食べることを、『かつえどみたいな食い方をするな』と言ったり、何か食べるものはないかと探していると、『かつえどみたいなことをするな』と言うこともあります。
ちなみに、腹が減ったことは『ひだりい』と言います。

☆*がっそ→乱れ髪 ぼうぼう頭
 この『がっそ』は、『乱れ髪』とか、『ぼうぼう頭』と言う意味ですが、髪の毛がぼうぼうになっている状態や、総毛立っていることを言います。
この辺りでは、『しゃぐま』などと言うこともあります。

☆*活動写真→映画
 この『活動写真』は、『映画』の意味で使いますが、方言というより、ただそのままを言ったのではないかと思います。
ちなみに、歌謡ショーやコンサートなどは『実演』と言います。

☆カッポ→キャップ
 この『カッポ』は、『キャップ』のことですが、帽子ではなくて、といだ鉛筆の芯が折れないようにかぶせたり、短くなった鉛筆の元にさして使うキャップのことです。

☆*かなば→木のけずりかす
 この『かなば』は、かんなはから来ているのではないかと思いますが、かんなで削った『削りかす』のことです。
昔は、切り倒した木材の運搬が一苦労でしたので、移動製材などが盛んでした。

☆*かぶりを振る→頭を振る
 この『かぶりを振る』は、『頭を左右に振る』ことですが、賛成できないとか、子どもがいやいやをする時などに、頭を振ることも『かぶりを振る』と言います。

☆*がめつい→欲張り
 この『がめつい』は、『欲張り』と言う意味ですが、ただの欲張りとは違い、欲張りの王様で、とにかく、出すことが大嫌いな人です。
笑い話に、『がめつい人は、自分の妻を牢屋から出すのもいやがる。』という話があるくらいです。
この辺りでは、がめつい人のことを『にぎり』とも言います。

☆*かま屋→炊事場 キッチン
 この『かま屋』は、『炊事場』と言う意味ですが、昔は、かまどで煮炊きをしていたことから、かまどがある部屋ということで『かま屋』と言われるようになったのではないかと思います。
ちなみに、そのかまやにあるかまどのことを『くど』と言います。

☆*かやる→横になる 倒れる
 この『かやる』は、『倒れる」とか、『横になる』と言う意味です。
コップなどが倒れる時にも使いますが、その場合は『ひっくりかやる』とか、『ひっくりかやす』のように言い、意識的に横になって休んだり、草木などが自然に倒れることを『かやる』と言います。
この辺りでは、『はねくりかやる』とオーバーに言うこともあります。

☆からげる→たくり上げる
 この『からげる』は、着物のすそや、ズボンなどを『たくり上げる』ことを言いますが、この辺りでは、袖口を折り返すことなども『からげる』と言うこともあります。

☆*変わるにかわらん→変わるらしい 変わりそう
 この『変わるにかわらん』は、関西の方でも使われているのではないかと思いますが、『○○にかわらん』は、『○○らしい』と言う意味になります。
例文→今度の移動で、あの先生、遠くの学校に変わるにかわらんぜ。
解説→今度の移動で、あの先生、遠くの学校に変わるらしいよ。

☆*かわいげな→可愛らしい 可愛い
 この『かわいげな』は、単純に可愛いと言う意味です。
ちなみに、かわいげがないことは『にくてばすな』と言います。

☆*がんが→魚の骨 歯
 この『がんが』は、子どもに言う時の言葉で、『魚の骨』や『歯』のことを言いますが、硬いものをさして言うのかも知れません。
ちなみに、魚は『びんび』と言います。
詳しくは、「子ども言葉」のコーナーをごらんください。

☆*かんしゃく→ヒステリー
 この『かんしゃく』は、単純に、『ヒステリー』と言う意味です。
多くの地方で使われている言葉ではないかと思いますが、子どもが、ぎゃあぎゃあ泣き叫んでいる場合や、子どもに限らず、すぐに腹を立てて大声で泣いたり、文句を言いながら突発的に物を投げたりする状態を言います。
この辺りでは、子どもの『かんしゃく』を、『疳の虫』とも言います。

☆かんしょ→きれい好き 神経質
 この『かんしょ』は、全てに渡って『きれい好きな人』に『かんしょな人』などと使います。
『かんしょ』に似た言葉に『びったれがんしょ』と言うのがありますが、これは、口では汚いなどと文句を言い割には、口先だけで、自分の身の回りは、それほどきれいにしないことを言います。
ちなみに、いいかげんで、どうでもいいような人のことは『ずう』とか、『ずぼら』と言います。

☆*かん袋→紙袋
 この『かん袋』は、『紙の袋』のことですが、駄菓子屋さんでお菓子などを入れてくれる袋を『かん袋』と言うことが多いです。
ちなみに、封筒などを含めた細長の袋を『定袋(じょう袋)』と言います。


「き」

☆*きざら→粗目砂糖
 この『きざら』は、『粗目砂糖』のことですが、黄色で、ざらざらしていることから『きざら』と言うのではないかと思います。

☆*気づかう→心配する
 この『きずかう』は、『心配する』と言う意味ですが、相手側に、自分の方から『気ずかいをかけたね』などのようには使いません。
そんな場合は、単純に心配かけたねと言うことが多いですが、この辺りでは、『気ずかわしたねえ』と言うこともあります。
相手側には、『今日は、帰りが遅いけん気ずこうたぜ。』などのように言います。

☆*ぎっちり→しょっちゅう いつも
 この『ぎっちり』は、『しょっちゅう』とか、『いつも』と言う意味ですが、地域によっては、『びっしり』と言う所もあります。
この辺りでは、両方を同じ意味で使うことが多いです。
例文→川のはたで遊ばれん言うてぎっちり言いよるに、言うことを聞かんけんこけるがぜ。
解説→川のそばで遊んではいけないと、いつも言っているのに、言うことを聞かないから落っこちるのよ。
例文2→あの人は、近頃びっしり出て行きよるが、どこへ行きよるろうかねえ。
解説→あの人は、近頃いっつも出かけているけど、どこに行ってるのだろうかね。

☆きそきそする→よく動く 仕事が早い
 この『きそきそする』は、『よく動く』とか、『仕事が早い』と言う意味ですが、一時もじっとしていないことや、与えられた用事を素早くやってしまうことを言います。
また、そんな人のことを『きそきそした人』と言います。
ちなみに、仕事が遅いことは『手ぬるい』とか、『ぶちょうな』と言います。

☆ぎだんな→きちんと
 この『ぎだんな』は、『きちんと』しているというような意味ですが、この辺りでは、四季時期には、きちんと感謝の意を表す人のことを『ぎだんな人』のように言います。
してもらったことや、いただいた物に対して、それ相当のお返しをすると言う感じです。

☆*ぎっちょ→左利き
 この『ぎっちょ』は、『左利き』と言う意味ですが、多くの地方で使われているのではないかと思います。

☆きど→玄関先 前庭
 この『きど』は、単純に、『玄関先』とか、『前庭』と言う意味です。
ちなみに、家の裏は『せど』と言います。

☆きびがええ→気持ちがよい すっきりした
 この「ひぎがええ』は、『気持ちが良い』とか、『すっきりした』と言う意味ですが、してやったりと言う意味合いで使います。
ちなみに、してやられたは『ごんつめられた』と言います。

☆ギビス→ギプス
 この『ギビス』は、単純に、ビプス』と言う意味ですが、方言というより、昔風の言い方ではないかと思います。
この辺りの昔の人は、リュウマチのことは『リョウマチ』、糖尿病は『糖のう病』、腎盂炎は『腎ぐう炎』などと似たようなことを言うことが多いです。
ちなみに、手のことは『ちょう』、指のことは『いび』、火のことは『ひゅう』などと言います。
それと、昔は『バ』と『パ』、『ベ』と『ペ』が逆になっていることも多くて、バナナのことは『パナナ』、バスのことは『パス』、ペットボトルのことは『ベットボトル』・・・などと言いますが、実際、バス乗り場のかんばんには『パス乗り場』と書いていた時代もあったそうです。

☆気ほうぜ→わがまま 好き放題
 この『気ほうぜ』は、『わがまま』とか、『好き放題』と言う意味合いで使うことが多い言葉です。
例文→皆と一緒に行くがじゃけん、そんな、気ほうぜ言うたちいくかえ。
解説→皆と一緒に行くのだから、そんな、わがまま言ってもだめだよ。

☆ぎぼす→飛び出たスイッチ ねじ
 この『ぎぼす』は、『とび出ている部品』を言いますが、機会のスイッチやボタンなども『ぎぼす』と言います。
この辺りでは、『ちぼ』と言うこともあります。

☆*ぎょうさん→たくさん
 この『ぎょうさん』は、単純に、『たくさん』と言う意味ですが、多くの地域で使われているのではないかと思います。
同じような意味の言葉に、『ざまに』とか、『べったり』があります。
ちなみに、少しのことは『ちょびっと』とか『ちいと』、『めくちょ』と言います。

☆*きようて→一生懸命 張り切って
 この『きようて』は、『一生懸命』とか、『はりきって』、『急いで』と言う意味ですが、他の人にも、その状態が分かるような場合、良い意味で使われることが多いです。
この辺りでは、『はりこんで』とも言います。
例文→今朝は、きようて行きよったが、孫の運動会じゃったかい。
解説→今朝は急いで行っていたけど、孫の運動会だったんですね。
例文2→はりこんで働いてきたけん、家を建てるもんよ。
解説→一生懸命働いてきたから、家を建てるんだって。

☆*気よし→お人よし 世話好き
 この『きよし』は、単純に、『お人よし』とか、『世話好き」と言う意味ですが、自分のことは後回しにしても人の世話をしたり、思い切って物をあげたりすることを言います。

☆*きりぶさ→かかと
 この『きりぶさ」ハ、「かかと」と言う意味ですが、多くの地域で使われている言葉ではないかと思います。
ちなみに、ひざのことは『すね』、ひざの裏は『ひかがみ』、体の全体は『五体』と言います。
この辺りの人は、体のあちこちが痛いことを『五体のさほうが痛い』と言ったりしますので、あるひ、おばあさんが病院で先生に、「どこが痛いですか?」と聞かれたので、「五体のさほうが痛いです。」と答えると、その先生は、「左のどこが痛いですか?」と、左側を触っていました。


「く」

☆*ぐある→増える
 この『ぐある』は、人や物が『増える』と言う意味です。
地域によっては、『ぐわる』と言う所もあります。
例文→夕べは、ざまな雨じゃったけん、この川の水が、こじゃんとぐあっちょる。
解説→昨夜は、大雨だったから、この川の水が、すごく増えている。

☆ぐあえる→つぎたす
 この『ぐあえる』は、意識的に何かを『つぎたす』時に使う言葉で『加える』と同じ意味です。

☆*食いつく→かみつく くわえる
 この『食いつく』は、虫などに刺されることを『くいつかれる』とか、犬に噛まれたことを『犬に食いつかれた』のように使いますが、かぶりつくことは『食いつけと言います。
この辺りでは、ご飯を食べなさいやと言うことは、『ご飯をたびや』と言います。

☆*くじくる→すねる 腹をたてる
 この『くじくる』は、単純に、『すねる』とか、『腹を立てる』と言う意味です。
この辺りでは、くじをくる人のことは『くじくり』と言います。

☆くすばす→くすぐる
 この『くすばす』は、脇の下や足の裏など、くすぐったいところを『くすぐる』ことです。
地域によっては、『こそばす』と言う所もあります。
ちなみに、くすぐったいことは『くすばいい』とか、『こそばいい』と言います。

☆くしゅ葉→たきつけにする葉
 この『くしゅ葉』は、火を起こす時に、『たきつけにする小枝』や『柴』のことです。
ちなみに、火の燃えをよくするために空気を送る道具は『火吹きだけ』、まきや、燃えかすをはさむ道具は『火箸』、炭火などを入れるスコップは『せんば』と言います。

☆*くちめ→まむし
 この『くちめ』は、単純に、『まむし』と言う意味です。
ちなみに、へびのことは『くちな』と言います。

☆*ぐつがわりい→調子が悪い 都合が悪い
 この『ぐつがわりい』は、体の調子が悪い時にも使いますが、『都合が悪い』とか、『気まずい場合』にも使います。
似たような意味の言葉に、『のうがわりい』とか『じゅうがわりい』があります。

☆*くつろいだ→ほっとした すっきりした
 この『くつろいだ』は、『ほっとした』とか、『すっきりした』と言う意味ですが、体を休めてくつろぐというより、物事が解決した時や、役目を果たした時などに使います。
体を休めてくつろいでいることは、『くつろぎよる』とか、『くつろいじょる』と言います。

☆*くど→かまど
 この『くど』は、まきをたく『かまど』のことです。
昔は、この『くど』に、はがまやなべをかけて煮炊きをしていました。
ちなみに、まきのもえた後の残り火のことは『おきれ』、かまどがある部屋のことは『かま屋(炊事場)』と言います。

☆*くどい→しつこい
 この『くどい』は、『しつこい』と言う意味ですが、味がしつこいなどでも使いますが、性格的にしつこいことや、同じことを何回もくり返して言うことを言います。
例文→あのおんちゃんは、酒を飲むとくどいがが違うけんたまらん。
解説→あのおじさんは、酒を飲むと、とてもしつこくなるからたまらない。

☆苦ないさん→楽天家
 この『苦ないさん』は、『苦労がない人』と言う意味ですが、同じ状況でも、それほど気にならなかったり悩んだりしない人のことです。
今で言う、『プラス思考の人』のことです。

☆*首っちょ→野鳥を取る罠
 この『首っちょ』は、『野鳥を取る罠』で、竹や木の枝を弓なりにしてばねを作り、地面には浅い穴を掘り、その上に野鳥が好きな木の実などを置きます。
野鳥が取りに来たら、その仕掛けのばねが反応して、野鳥が引っかかる仕組みになっています。
理屈は簡単なしかけですが、それぞれが工夫して作って遊びます。
ちなみに、泳いでいる魚を突きさして取る道具は『ぷっしゅん(ばねつきの突き棒)』、飛んでいる鳥を落とす道具は『ぶんや(ゴム銃)』と言います。

☆*くべる→まきをたす
 この『くべる』は、すでに火がついているところに、『まきや、しばなどをたすこと』です。
例文→もうまあ、木をくべちこんと、いつまで経っても風呂が沸かんぜ。
解説→もう、そろそろまきをたして来ないと、いつまで経っても風呂が沸かないよ。

☆くぼい→消極的 マイナス思考
 この『くぼい』は、へこんでいると言う意味でも使いますが、『消極的』とか、『マイナス思考』のことを言います。
例文→そればあ、くぼいことばっかり言いよったら、何ちゃ始まらあせん。
解説→それほど、消極的なことばかり言っていたら、何も始まらないよ。

☆組子→さん
 この『組子』は、しょうじやふすまなどの『さん』のことです。
この辺りでは、お産の時には、『組子がみえんなる』などと言って、お産の大変さを表した言葉もあります。

☆*暗みあい→夕暮れ
 この『暗みあい』は、『日没から真っ暗がりになるまでの時間帯』のことを言います。
この辺りでは、『朝は朝星』、『夜は夜星』と言って、朝は朝星を見ながら、夜は夜星が見えるまで、一日中、一生懸命働くことを言った言葉もあります。

☆*くるめる→片付ける しまう
 この『くるめる』は、『片づける』とか、『しまう』と言う意味ですが、すぐに使うものを片づけると言うより、しばらく使わないものや、大切なものを、きちんとしまっておくと言う意味で使うことが多いです。
同じような意味の言葉に、『しのべる』があります。
ちなみに、探すことは『たんねる』と言います。
例文→ざまに高い着物じゃけん、ええがにくるめちょいたよ。
解説→とても高価な着物だから、きちんとしまっておきなさいよ。


「け」

☆*ケーキ→アイスキャンディ
 この『ケーキ』は、ショートケーキや、クリスマスケーキのことではなくて、『アイスキャンディー』や、『アイスクリーム』のことを言います。
この辺りでは、『クリーム』とも言います。

☆*げす板→敷き板
 この『げす板』は、五右衛門風呂に敷く『敷き板』のことです。
大昔、『げす板』がない時代には、げたを履いて風呂に入ったそうです。
ちなみに、洗面器のことは『ちょうずばち』、風呂用のタオルは『湯うて』と言います。

☆*げっつ→最後
 この『げっつ』は、単純に、『最後』と言う意味です。
この辺りでは、最後になることを『ぴりけつ』とも言います。
ちなみに、最初からは『はなから』とか、『頭から』と言います。

☆*けつまげる→つまずく
 この『けつまげる』は、『つまずく』と言う意味ですが、事業や商売につまずくというのではなくて、階段でつまずいたり、物につまずくことを言います。
ちなみに、つまずいて転ぶことは『まろぶ』と言います。

☆*けぶたい→けむたい けむい
 この『けぶたい』は、『けむたい』とか、『けむい』と言う意味ですが、その人がけむたいとか、けむいと言うのではなくて、ただ単にたばこなどの煙がけむい場合に使います。
ちなみに、まぶしいは『ばばいい』、眠いは『ねぶたい』と言います。

☆*けりこ→おはじき
 この『けりこ』は、直径が1〜2センチの『ガラス製のおはじき』のことです。
ちなみに、びい玉は『びん玉』、めんこは『ぱんこ』、お手玉は『おじゃみ』と言います。

☆*けんじょ→肩
 この『けんじょ』は、単純に、肩のことです。
ちなみに、背中の肩甲骨は『けんびき』、脇の下は『くちゅくちゅ』と言います。
詳しくは、「体の名称」のコーナーをごらんください。

☆けんな→急斜面 急な
 この『けんな』は、山や崖の『急斜面』のことを言います。
ちなみに、緩やかなことは『だばい』と言います。
例文→そこの山は、けんな所がようけあるけん気いつきよ。
解説→そこの山は、急斜面がたくさんあるから気をつけなさいよ。


「こ」

☆*子あらい→子育て
 この『子あらい』は、多くの地方で使われていると思いますが、『子育て』のことです。
地域によっては、『子やらい』と言う所もあります。
ちなみに、子守バンドは『すけ』、ママコートのことは『おいがけ』と言います。
詳しくは、「子ども言葉」のコーナーをごらんください。

☆こいさ→今晩
 この『こいさ』は、単純に、『今晩』と言う意味です。
ちなみに、昨夜は『ゆんべ』とか『よんべ』、昨日は『きんのう』と言います。

☆*こうこ→たくあん
 この『こうこ』は、『たくあん』と言う意味ですが、多くの地方で使われているのではないかと思います。
たくあんは、乾した大根に、サッカリン、塩や黄い粉を入れて作りました。
昔は、どこの家庭でも自家製の漬物を作りましたし、切干大根は、大根を輪切りにし、棕櫚の葉をさいてひも状にし、そのひもで、輪切りにした大根の真ん中を通し、さおなどに吊り下げて乾して作りました。
今のような千切りのものは少なくて、水で戻すと薄いハンバーグほどになります。

☆こうこうこうこう→地震の時にかける呪文
 この「こうこう こうこう』は、どんな意味がこめられているのかは知りませんが、お年寄り達は、地震があると、外に出て『こうこう こうこう』とくり返して言います。
また、風が吹いて欲しい時には、口笛を吹いたりもします。

☆こうしゃ→器用さ
この『こうしゃ』は、手先が器用という場合にも使いますが、物事に対しての『要領のこと』を言うことが多いです。
ちなみに、手先が不器用なことは『ぶちほうな』とか、『ぶちょうな』と言います。
例文→良いよ、ぶちょうなねえ。こればばあ、こうしゃがのうてどうなりゃあ。
解説→本当に、不器用だね。これだけ、要領が悪くてどうするの。

☆*こうとい→じみな
 この『こうとい』は、着物や洋服が『じみな』ことを言いますが、地域によっては、難しいことや、しゃれたことを言うことも『こうといことを言うねえ』などとも言います。
例文→この着物は、うちの孫には、ちいとこうといこたあないろうかねえ。
解説→この着物は、うちの孫には、少しじみではないだろうか。

☆こうべる→理屈を言う
 この『こうべる』は、直訳すると『理屈を言う』というような感じになりますが、悪い意味では、ちょっと生意気なことを言ったり、理想論ばかり言うことを『こうべる』とも言います。
例文→今日の講師は、こうべったことばっかり言うけん、何が言いたいのかひとっつも分からざった。
解説→今日の講師は、理屈ばっかりで、何が言いたいのか全く分からなかった。

☆*ごき→ペットの食器
 この『ごき』は、『猫や犬の食器』のことです。
ちなみに、牛や馬の食事は『はみ』、食器は『はみ入れ』、家畜小屋のことは『うしだや』とか『馬だや』と言います。
この辺りでは、部屋の中が散らかっていることを、『豚小屋』などと言うこともあります。

☆ごくつぶし→役立たず
 この『ごくつぶし』は、『役立たず』と言う意味ですが、財産を食いつぶしたり、遊び人のことも『ごくつぶし』などと言います。

☆こっこ→雄鶏
 この『こっこ』は、『雄の鶏』のことです。
ちなみに、子どもには『といとい』と言います。
親鳥の鶏肉を『かしわ』と言い、昔は、卵の保存には籾殻を使っていました。

☆*ごくどう→なまけ者
 この『ごくどう』は、極道とは違い、『怠け者』や、『仕事をしない人』を言います。
この辺りでは、そのようなひとを『ごくどうされ』などと言って軽蔑視することもあります。

☆*こさぐ→こそぐ
 この『こさぐ』は、『こそぐ』という意味ですが、汚れをごしごし擦ったり、さびなどを落とすことを言います。

☆*こんさん→あなた お前
 この『こんさん』は、直訳すると『あなた』とか、『お前』と言う意味になりますが、男の人が同性同士で使う場合が多いです。
例文→今日は、高知まで行こうと思いよるけんど、こんさんは、どうすりゃあ。
解説→今日は、高知まで行こうと思っているけど、お前はどうか。

☆*こんじょ→性格
 この『こんじょ』は、『性格』と言う意味ですが、単独で使うことは少なくて、意地が悪いことを『こんじょがわりい』のように言います。
同じような意味の言葉に、『しょうね』があります。

☆*こんまい→小さい
 この『こんまい』は、単純に、『小さい』と言う意味です。
同じような言葉に、『ちんまい』とか、『こまい』などがあります。
ちなみに、少しのことは『ぴっと』とか『ちょびっと』、『ちいと』と言います。

☆*ここちがわりい→気持ちが悪い 怖い 恐ろしい
 この『ここちがわりい』は、いろいろな場面で使う言葉の1つです。
恐ろしいことに出あった時や、怖い人のこと、高い所に上がって下を見た時、きたないものを見た時など、全て『ここちがわりい』と言います。
ちなみに、けんかなどで相手をねじ伏せた時などは、『ここちがええ』とか『きびがええ』と言います。

☆*こじゃんと→すごく とても たくさん
 この『こじゃんと』は、高知県全域で使われている言葉ではないかと思いますが、『すごく』とか、『たくさん』、『とても』と言う意味です。
この言葉も、いろいろな言葉に組み合わせて使います。
こぢゃんとことうた→とても疲れた
こじゃんと食うた→たくさん食べた
こじゃんと安かった→とても安かった・・・など、いろいろなことに使える便利な言葉でもあります。

☆*こすい→ずるい
 この『こすい』は、単純に、『ずるい』と言う意味です。

☆*こそばいい→くすぐったい
 この『こそばいい』は、単純に、『くすぐったい』と言う意味です。
この辺りでは、『くすばいい』とも言います。

☆*こたう→疲れる
 この『こたう』は、『疲れる』と言う意味ですが、肉体的に疲れると言うことと、難題にぶつかった場合などにも使います。
ちなみに、『こたわん』と言えば、疲れないと言う意味ではなくて、『不可能』とか、『できかねる』の意味になります。
例文→今日は、暑いとこでひいとい中仕事したけん、ほんまに、ことうた。
解説→今日は、暑い中で1日中仕事したから、とても疲れた。
例文2→そんな難しいことは、ばあちゃんらあはこたわんぞ。
解説→そんな難しいことは、おばあちゃんはできないよ。

☆*ごつい→丈夫 大きい でかい
 この『ごつい』は、単純に、『丈夫』とか、『太い』と言う意味です。
ちなみに、弱々しいことは『ひわい』とか、『はそい』と言います。

☆*ごっちょ→ごちそう
 この『ごっちょ』は、ご馳走と言う意味ですが、食事のしたくをすることも『ごっちょを作る』と言うこともありますし、『今日のこっちょは、何にしょうか。』と、自分で言うこともあります。
ちなみに、ご馳走になったことも、『ごっちょ(ごちそうさま)』と言います。

☆ごって→ことごとく
 この『ごって』は、『ことごとく』とか、『そればかり』と言う意味ですが、使い方が難しい言葉の1つです。
ちなみに、片っ端からの意味合いになると、『ごってから』と言います。
例文→何ぼ銭持っちょらざった言うたち、これほど安い物こってこうてこんでもねえ。
解説→いくらお金ほ持っていなかったと言っても、これほど安い物ばかり買ってこなくても。
例文2→寿司を巻いたごってから食いよったら、お客さんに出すががないなるぜ。
解説→寿司を巻いた片っ端から食べていたら、お客さんに出すのがなくなるじゃないの。

☆*こてし→小皿 とり皿
 この『こてし』は、単純に、『とり皿』と言う意味です。
地域によっては、『てしよ』と言う所もあります。
ちなみに、高知は何と言っても皿の王様、『皿鉢(さわち)』が有名です。
皿鉢は、直径数十センチ〜1メートルほどの大皿です。

☆小びんす→小さい人
 この『小びんす』は、『小さい人』と言う意味ですが、限られた地域で使われている言葉かも知れません。
ちなみに、背が高くて大きい人は、『うどの大木』と言います。

☆*ごぶる→水の中を歩く
 この『ごぶる』は、『水の中を歩く』と言う意味ですが、腰から下くらいの深さの川や、水溜りの中を歩くことを言います。
ちなみに、ぬかるみは『びちゃ』と言います。

☆こましゃくれ→大人ぶっている
 この『こましゃくれ』は、説明しにくい言葉ですが、イメージとしては、小さい子どもが大人のようなことを言ったりしたりすることです。
例文→あそこの子どもは、まだ五つじゃ言いよったに、めっそに、こましゃくれたことを言うねえ。
解説→あそこの子どもは、まだ五つらしいけど、それにしても大人ぶったことを言うんだねえ。

☆こも→わらで編んだ囲い
 この『こも』は、わらで編んだむしろのようなものですが、網目が少し荒く、とても広いのが特徴です。
冬場の寒さ対策として、みかんの木をはじめ、いろいろな花木にかけたり、巻いたりして使います。

☆こんげな→こんな
 この『こんげな』は、『こんな』と言う意味ですが、いろいろなことにつけて使います。
こんなことは『こんげなこと、こんなものは『こんげなもの』、こんなには『こんげに』・・・などのように使います。

☆*こんじょがわりい→意地が悪い
 この『こんじょがわりい』は、上の『こんじょ(性格)』が悪いと言う意味ですが、とても意地が悪いとか、意地きたない場合に使います。
この辺りでは、とても意地が悪い人のことを、『意地くそがわりい』とも言います。

☆ごんつめる→解決する かたをつける
 この『ごんつめる』は、『終いをつける』と言う意味ですが、相手をやり込めるとか、その反対にも使いますし、かたをつけた場合にも使います。
例文→今日は、隣のおんちゃんに、田んぼのことでごんつめられた。
解説→今日は、隣のおじさんに、田んぼのことでやりこめられた。

☆*こんまい→小さい
 この『こんまい』は、単純に小さいと言う意味です。
この辺りでは、『こまい』とも言います。

☆ごんづめ→奥の端
 この『ごんづめ』は、上の『ごんつめる』と同じような意味で、物事の終りや、行き止まりのことを言います。
例文→山芋を掘りに、山のごんづめまで行っちょったけん、足も何も棒になった。
解説→山芋を掘りに、山の奥の端まで行っていたので、足も何もかもが棒になった。

☆ごんぶり→川の深瀬
 この『ごんぶり』は、川が突然深くなっている場所や、『川の深瀬』を言います。
昔は、そんな所で泳がないように、『ごんぶりで泳ぎよったら、えんこ(カッパ)に連れて行かれるぞ。』と脅されたものでした。
地域によっては、『深んぼ』とか『深んぶち』とも言います。



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