アウリンの幡多弁辞典
あ行


 『アウリンの幡多弁コーナーへ ようこそ!! 』
 このコーナーは、アウリンが今まデ聞いたり、使ってきた幡多地方の方言を書いてみました。
幡多地方は、高知県西部に位置し、とても広い地域ですから、方言もさまざまですが、ここでは、アウリン自身が、子どもの頃から聞いたことのある言葉を集めてみました。
多くの言葉は、四万十市(旧中村市)と宿毛市周辺のものです。
その中でも、宿毛市東部(宿毛市山奈周辺)の言葉が多くなっていますが、笑っていただけると幸いです。
 次にマークの説明ですが、☆の後に『*』がついているのは、幡多地方の多くで使われているのではないかと思う言葉です。
これもアウリンガかってに想像しているだけですから、性格には分からないです。
それでは、『幡多の方言』ヲお楽しみください。


目次(文書内リンク)
 あ 
 い 
 う 
 え 
 お 

「あ」

☆*あいまち→けが まちがい
 この『あいまち』は、けがなどをした時に使われることが多いですが、失敗や、あやまちを起こした時などにも使います。
例文→学校のブランコで遊びよって、手が離れてこけて大あいまちした。
解説→学校のブランコで遊んでいて、手が離れておっこちて大けがした。
例文2→あそこの奥さんは、宿毛の若い士とあいまちを起こして、何ともならんようになっちょるらしいぜ。
解説→あそこの奥さんは、宿毛の若い人とまちがいを起こして、何ともならないようになってるらしいよ。

☆あいや→兄
 この『あいや』は、幡多郡全域で使われているというより、その場所で言い方が違います。
場所によって、『お兄』、『兄やん』・・・などと言う地域もあります。

☆*あが→状態 様子
 この『あが』は、相手の状態や様子を知りたい時に、『あがを聞いてこい』と言うように使うことが多く、自分の様子を伝えるときには使いません。
例文→今日の仕事の段取りが分からんけん、現場に行って監督にあがを聞いて来い。
解説→今日の仕事の段取りが分からないから、現場に行って監督に状態を聞いて来い。

☆*あき→稲刈り
 この『あき』は、『稲刈り』と言う意味ですが、幡多地方ほぼ全域で、稲刈りのことを『あき』と言いますが、田植えのことを『はる』とは言わず『しつけ』と言います。
ちなみに、田んぼを耕すことを『しろかき』と言い、高知県は、全国でも有数の二期作地帯です。
二期作と言うのは、同じ田んぼで、年に2回の米の収穫ができることで、二毛作は、同じ田んぼで米と他の野菜などが収穫できることです。

☆あぎ*→顎
 この『あぎ』は、『あご』と言う意味ですが、地域によっては『あぎと』と言うところもあります。
ちなみに、ほほのことは『ほうたんばち』、眉のことは『まいの毛』、舌のことは『べら』、歯ぐきのことは『はぶ』と言います。
そのた、体の名称のことは、「体の名称」のコーナーをごらんください。

☆*あくた→ごみ がらくた
 この『あくた』は、『ごみ』や『がらくた』のことを言いますが、紙や粗大ごみのようなものではなくて、掃き集めのちりや、木くずなどをさして言うことが多いです。

☆*あつかましい→うるさい にぎやか
 この『あつかましい』は、一般的には『ずうずうしい』という意味で使われることが多いですが、この辺りでは、子どもが騒ぎまわるからうるさいとか、何回も同じことを聞きにくる人のことを『あつかましい人』などのように言います。
例文→もう、それほど騒動しちゃあいかん、あつかましいてのせんけん。
解説→もう、そんなに騒動してはだめだよ。うるさくてどうしようもないから。

☆*あっちゃ→あっち
 この『あっちゃ』は、『あっち』と言う意味ですが、あっちゃに関連して、こっちは『こっちゃ』、そっちは『そっちゃ』などのように言います。

☆あっちゃこっちゃ→逆 さかさま
 この『あっちゃこっちゃ』は、あっち、こっちということではなくて、2つの言葉で『逆』とか、『さかさま』という意味で使われることが多いです。
地域によっては、『あちゃこちゃ』と言う所もあります。
例文→長靴を履く時にや、よう見てはかざったら、あっちゃこっちゃになっちょったらしょうしな(恥ずかしい)けん。
解説→長靴を履くときには、よく見てはかないと逆になっていたら恥ずかしいから。

☆*あっぽになる→あっけに取られる 唖然とする
 この『あっぽになる』は、『ぽかんと口を開けているような状態』や、『どうすればよいのか分からなくて呆然としているような時』に使います。
ぽかんと口を開けている人を見て、『あっぽになっちょる』と言うように使う場合には、その人をばかにして笑っているような意味合いになります。

☆*あと→あの人
 この「あと」は、単純に、『あの人』と言う意味です。
ちなみに、この人は『こと』、その人は、『そと』と言います。
もう少し荒っぽい言い方は、『あとのす』、『ことのす』、『そとのす』になります。
ちなみに、自分のことは『わ』、『おんだら』、『だあ』などと言います。

☆あどしない→心配 心細い
 この『あどしない』は、『そのことに対して大丈夫だろうか』とか、物に対して、『耐久力がないような場合』に使います。
例文→こればあ薄い板じゃけん、重たいものを乗せるのは、妙にあどしない。
解説→これほど薄い板では、重いものを乗せるのは何だか心配だなあ。

☆あば→おば
 この『あば』は、『おば』と言う意味ですが、身近な年上の女性に使うことばです。
同じ年上でも、となり村の人や、見ず知らずの人には使いません。
地域によっては、『あばちゃん』と言う所もあります。
ちなみに、おじさんのことは『おんちゃん』と言います。

☆あもけ→おばけ 大きな獣
 この『あもけ』は、特定した動物のことではなくて、『大きな獣』や、『空想の世界の恐ろしいもの』をさして使います。
子どもの頃は、親の言うことを聞かないと、「あもけにやるぞ」と、よく脅されました。

☆*あらく→差がつく
 この『あらく』は、間隔が開いているときにも使いますが、いろいろなことで『差がついてしまったこと』などに使うことが多いです。
ちなみに、間隔が狭いことは『しぎょい』と言います。
例文→このての苗と、あのての苗では、米の味はこじゃんとあらくねえ。
解説→この種類の苗と、あの種類の苗では、米の味はそうとう差が出るねえ。

☆*あらけない→荒っぽい
 この『あらけない』は、性格が荒いことにも使いますが、『仕事が雑なこと』や、『車の運転などが荒っぽい時など』にも使います。
同じような意味の言葉に、『やけな』があります。

☆*あらける→片付ける
 この『あらける』は、きちんと整理して片付けるということではなくて、『散らかっているところを掃除する』とか、『荷物などを縁に持って行く時』などや、『その場所を確保する時』などに使います。

☆ありんど→あり
 この『ありんど』は、単純に、『あり』と言う意味ですが、地域によっては、『ありんこ』という所もあります。
ちなみに、かまきりのことは『へんぼ』、かえるのことは『おんびき』、もぐらのことは『おごろもち』と言います。
これらの虫や生き物のことは、別のメニュー(虫 生き物)で詳しく紹介していますから、そちらも参考にしてください。、

☆*あんきな→楽な お金持ち
 この『あんきな』は、『お金の心配がないこと』や、『子育ても終わって、夫婦が何も心配事がない暮らし』などを言う場合に使います。
ちなみに、周りが忙しくしている時に、一人だけ、のんびりと他のことヲしているような場合、その人に対して、『あんきそうなねえ」などと、少し嫌味をこめて使う場合もあります。

☆あんげなもん→あんな物 あのような人
 この『あんげなもん』は、物に対して使う場合と、者(人)に対して使う場合の2通りがあります。
例文→あんげなもんを買いよったら、やすからんぜ。
解説→あんな物を買っては、大変だよ。
例文2→あんげなもんの言うことヲ信じよったら、ええこたあないぜ。
解説あんな人の言うことヲ信じていたら、大ごとになるよ。

☆*あんばいこ→丁度 タイミング良く
 この『あんばいこ』は、『2つ以上のことが、丁度バランスが取れた時』や、『物事が、やっと上手く行った場合』に使い、塩梅という言葉があるように、『お互いのバランスが丁度良い状態になったこと』を言います。
例文→おお、ええやんばい。ようかい、あんばいこいた。
解説→おお、助かった。やっと、丁度にできた。


「い」

☆*いかる→増える 増水する
 この『いかる』は、怒るのように、精神的な状態を表す意味ではなくて、『大雨が降って川が増水している様子』や、『田んぼなどが浸水している状態』を言います。
例文→昨日の大雨で、この川も、ざまにいかっちょる。
解説→昨日の大雨で、この川も、そうとう増水している。

☆*いこないこな→それぞれ
 この『いこないこな』は、敬老の日などに、孫が『それぞれ』に、おじいちゃんやおばあちゃんにプレゼントをする時などに使いますが、自分の方から使うことはなくて、受け取った側が『いこないこなに、おうきによ。』というように使います。
例文→敬老の日じゃ言うて、孫の子らが、いこないこなに祝いの品をくれて、ほんまに、もったいないことよねえ。
解説→敬老の日だと言って、孫達がそれぞれに祝いの品をくれて、本当に、ありがたいことだなあ。

☆*いころ→体力 抵抗力
 この『いころ』は、『体力』とか、『抵抗力』と言う意味ですが、自分からでも、相手側からでも双方が使う言葉です。
例文→年を取って風邪をひくと、いころがないけん治りにくうて、よいよ困る。
解説→年をとって風邪をひくと、体力がないから治りにくくて困る。
例文2→年をとっていころがないなっちょるけん、風邪をひかんように気をつけたよ。
解説→年をとって抵抗力がなくなっているから、風邪をひかないように気をつけなさいよ。

☆*いしぶ→リンパ節
 この『いしぶ』は、リンパ節全体にも使いますが、特に、『太もものリンパ節』のことを言う場合が多いです。

☆*医者殺し→アロエ
 この『医者殺し』は、単純に、『アロエ』のことです。
 ちなみに、どくだみのことは『かえるの尻ふき』、きつねのぼたんは『嫁菜』などと言います。

☆*いそしい→活動的
 この『いそしい』は、『活動的』と言う意味ですが、じっとしていることが嫌いな人のことヲ、『いそしい人じゃけん』とか、短時間で、てきぱき用事をする人のことを言います。
例文→あの人は、よいよいそしい人じゃけん、一時もじっとしちょらん。
解説→あの人は、とても活動的な人だから、少しもじっとしていない。

☆いそきどされ→わがままな人 自分勝手
 この『いそきどされ』は、わがままで屁理屈を言う人のことを言ったり、すぐに腹を立てる人のことを言います。
例文→なし、それほどいそきどさればっかり言うようになっつろうかねえ。
解説→なぜ、そんなにわがままばかり言う人になったのだろうかね。
例文2→あの人は、ざまないそきどされじゃけん、取り合われんぜ。
解説→あの人は、とてもわがままな人だから相手にしてはだめだよ。

☆*いただ→それでなくても
 この『いただ』は『それでなくても』と言う意味ですが、、単独で使うことはなくて、それまでの状態や、していることに対して使います。
例文→いただ病みよるに、今度は癌が見つかったつぜ。ほんまに、むごいことよねえ。
解説→それでなくても病気しているのに、今度は癌が見つかったそうよ。本当に、かわいそうなことよね。

☆*いたずり→いたどり
 この『いたずり』は、『いたどり』という地域もありますし、『いたんぼ』とか、『すっぽん』と言う所もあります。
いたずりは、野に生える植物で、皮を剥いで塩漬けにして油いためなどにすると、立派なお惣菜になります。

☆*いちがい→頑固
 この『いちがい』は、単純に、『頑固』と言う意味で、人の性格を言います。
例文→おやじは、いちがいなところがあるけん、ように頼まんといかんぜ。
解説→お父さんは、頑固なところがあるから、きちんとお願いしないとだめだよ。

☆*いっさん→一度 一回
 この『いっさん』は、単純に、『一度』とか、『一回』という意味です。
ちなみに、何回元言うのは『ぎっちり』とか、『しょっちゅう』と言います。
例文→これでまちがいないか、もういっさん聞いて来いや。
解説→これでまちがいないか、もう一度聞いて来なさい。

☆*いっきにから→とっくに ずっと前から
 この『いっきに』は、一気にのように、すぐにとか、短時間にということではなく、『ずっと前から』とか、『とっくに』という意味で使います。
例文→はようせんか、今日のこたあ、いっきにから言うちょるに。
解説→早くしなさい。今日のことは、ずっと前から言っていたことじゃないの。

☆*いっときない→すぐに あっと言う間
 この『いっときない』は、『すぐに』とか、『あっという間』と言う意味ですが、すばやい行動をした時などに使う言葉です。
例文→えらいもんよねえ。あればああった飯を、いっときないに食うしもうて。
解説→すごいものよね。あれだけあったご飯を、あっという間に食べてしまって。

☆*いっちゃら→一番上等
 この『いっちゃら』は、『一番上等な洋服』や、『新しく出す道具』などに使います。
地域によっては、『さら』とも言います。
例文→今日は、ようけの人の前で話をせなあいかんけん、いっちゃらの背広を出してくれんか。
解説→今日は、大勢の人の前で話をしないといけないから、一番上等の背広を出してくれ。

☆いっぷり→変わり者 偏屈
 この『いっぷり』は、上の『いそきどされ』と似たイメージですが、『いそきどされ』は、すぐに腹を立てたりすることに対して、『いっぷり』は、『いつもくじをくって腹を立てている人』に使うことが多い言葉です。
例文→あのおじいさんは、ちとばあないっぷりじゃないけん、話がしにくうて、よいよ困る。
解説→あのおじいさんは、たいへんな偏屈者だから、話がしにくくて、本当に困る。

☆*いなり→そのまま
 この『いなり』は、『そのまま』という意味ですが、いきなりという場合にも使います。
例文→釣って来た魚を、ここにいなりにしちょったら、じきに腐るぜ。
解説→釣ってきた魚を、ここにそのまま置いていたら、すぐに腐るよ。
例文2→まあ、靴下も履かんと、いなり靴を履くかよ。
解説→まあ、靴下も履かないで、いきなり靴を履くの。

☆*いぬる→帰る
 この『いぬる』は、『帰る』と言う意味ですが、帰って来た時には『いぬった』とは言わないで、『もんた』という別の言葉を使います。
ちなみに、自分では『いるぬ』と言いますが、相手に対しては、『いねや』とか、『いんだや』と言います。

☆*いびしない→不潔 汚らしい
 この『いびしない』は、ただ汚いとか、汚れていると言うのではなくて、『汚れきっている』とか、『不潔でどうしようもない』ような時に使います。
例文→このシャツは、もう、しばらく洗濯しちょらんけん、よいよ、いびしのうてたまらん。
解説→このシャツは、もう、長い間洗濯していないから、本当に不潔でたまらない。

☆*いびら→うおのめ
 この『いびら』は、『うおのめ』のようなもののことですが、手や足の指などにできるものを言う場合が多いと思いますが、体全体にできたものも言います。
昔は、おまじないをした糸を、その幹部にしばっておくと、自然に取れるという迷信のようなものがありました。

☆*いやる→ふさがる つまる
 この『いやる』は、傷口が癒えるという意味ではなくて、『ふさがる』とか、『つまる』と言う意味で使います。
例文→長いこと掃除をせんけん、ここのパイプは、ぽんといやってしもうた。
解説→長い間掃除をしないから、ここのパイプは、全部つまってしまった。

☆いらばかす→からかう
 この『いらばかす』は、『からかう』という意味ですが、大人が子どもを冗談でからかったり、軽い気持ちで冗談を言うことを言います。
例文→もうそんげえいらばかすなや、困りきっちょるけん。
解説→もう、そんなにからかわないでよ、困りきってるじゃないの。

☆*いられ→せっかち
 この『いられ』は、『せっかち』と言う意味ですが、この幡多地方だけではなくて、高知県のあちこちで使われている言葉で、高知県を代表する方言の1つです。
例文→あの人は、ざまないられじゃけん、いつまでも待ってくれりゃあせんぜ。
解説→あの人は、とてもせっかちだから、いつまでも待ってくれはしないよ。

☆*言わんこっちゃない→言った通り
 この『言わんこっちゃない』は、『言った通り』と言う意味ですが、注意や忠告をしたにも関わらず、それに従わなかったために生じた事柄について使う場合が多いです。
例文→あればあ、高い所で遊ばれん言いよるに、言うこときかんけんこけるがよ。言わんこっちゃないわ。
解説→あれほど、高い所で遊んではいけないと言ってるのに、言うことを聞かないからおっこちるのよ。言ったとおりでしょ。

☆*いやらしい→すけべ 意地汚い
 この『いやらしい』は、下心があることや、意地汚いことをしたり考えたりすることを言います。
同じような意味の言葉に、『ここちがわりい』があります。


「う」

☆うかうかする→ふらふらする
 この『うかうかする』は、『ふらふらする』と言う意味ですが、文字では説明しにくいです。
血圧が上がって、足が地に着かないような感じがする時や、高熱で頭がほおっとして、宙に浮いたような感じのことを言います。
表現の仕方は人それぞれですが、この辺りのお年よりは、よく使います。
例文→今日は、血圧が、えっころ上がっちょるかしらん、妙に、頭がうかうかしていかん。
解説→今日は、血圧がかなり上がっているのか、何だか、頭がふらふらしていけない。

☆*うずく→痛む
 この『うずく』は、『痛む』と言う意味ですが、多くの地方で使われている言葉だと思います。
この辺りでも、病気やけがで、その部分が痛むということの他に、悩み事や心配ごとが続く場合にも、『頭がうずく』と言います。
例文→昨日切った指が、うずいてのせん。
解説→昨日切った指が、痛くてたまらない。
例文2→次から次へと心配ごとばっかりで、ばあちゃんらあ、頭がうずくぜよ。
解説→次から次へと心配ことばかりで、おばあちゃんは、頭が痛い。

☆うそうそ→うろうろ
 この『うそうそ』は、『うろうろする』と言う意味ですが、ただ場所が分からなくてうろうろすると言うのではなくて、何か腹積もりがあって、その辺りを歩き回っているような状態の時に使うことが多いです。
例文→あの人が、またうそうそしよるけん、ええがに気をつけちょれよ。
解説→あの人が、またうろうろしているから、ちゃんと気をつけていなさいよ。

☆うだく→抱きかかえる
 この『うだく』は、『抱きかかえる』と言う意味ですが、子どもを抱っこする時にも使いますが、大半は、物を持ち上げたりすることを言います。
地域によっては、『うづむ』と言う所もあります。

☆*うち→私
 この『うち』は、『私』と言う意味ですが、関西の方でも使われていると思います。
この辺りでは、お年寄りは、ほとんど使わず、子どもや中年の女性が使う場合が多いです。
ちなみに、お年よりは『おら』とか、『わし』・・・などと言うことが多いです。
男の人は、『わし』とか、「おんだあ』・・・などと言ったりもします。

☆*うったつける→重ねる 覆う
 この『うったつける』は、『重ねる』とか、『覆う』と言う意味です。
すでにある物に対して、つぎたすと言う意味でも使いますが、布のようなものをかぶせることを言います。
例文→この苗木、あんまり日に当てると枯れるけん、何ぞ、ござでもうったつけちょけや。
解説→この苗木、あまり日に当てると枯れるから、何か、ござでもかけておきなさい。

☆うつらうつら→うとうと ぼおっと
 この『うつらうつら』は、眠くて『うとうと』しているとか、『ぼおっとしている』という場合にも使いますが、この辺りでは、何となくぼおっとした状態の時にも使います。
例文、夕べは、あんまり寝ちょらんけん、今日は、ひいとい中うつらうつらしてことうた。
解説→夕べは、あまり寝ていないから、今日は、1日中ぼおっとしてまいった。

☆*うむ→化膿する
 この『うむ』は、『化膿する』と言う意味ですが、多くの地方で使われている言葉だと思います。
同じような意味の言葉に、『おびる』があります。


「え」

☆*ええやんばい→助かる ありがたい
 この『ええやんばい』は、『助かる』とか、『ありがたい』と言う意味です。
なくても別に困らないのだけど、あれば助かるなというレベルではなくて、自分ではどうしようもなくて困りきっているような時に、その解決策ができた場合に使うことが多いです。
イメージとしては、ほっとした、助かったという感じです。
例文→今日は、どしたち葬式に行かなあいかんがに、今タクシーを呼んだら、全部出てしもうて、じきにはもんてこん言われて、よいよ困っちょったがよ。乗せて行ってくれるか、そりゃあ、ほんまにええやんばい。
解説、今日は、どうしてもお葬式に行かなければならなくて、今タクシーを呼んだら、全部出ているらしくて、すぐには帰ってこないと言われ、本当に困りきっていたのよ。乗せて行ってくれるんですか、それは、とても助かります。

☆*えがむ→曲がる
 この『えがむ』は、単純に、『曲がる』と言う意味です。
地域によっては、『えごむ』という所もあります。
ちなみに、『真っ直ぐは『すぐい』と言います。
例文→昔から荒仕事(重労働)ばっかりしよったけん、腰も足もえがんでしもうて、何ともならんなった。
解説→昔から重労働ばかりしていたから、腰も足も曲がってしまって、何ともならなくなった。

☆*えせな→格好とり 格好をつける
 この『えせな』は、『格好をつける』と言うような意味ですが、文字で説明するのは難しいです。
拘りが強いとか、何にでも格好をつけたがるというような感じです。
例文→あの人は、よいよ、えせなところがあるけん、そうやすうには(簡単には)決まらんぞ。
解説→あの人には、とても格好つけたがるところがあるから、そう簡単には決まらないよ。

☆えぞうかぞう→何もかも いろいろと
 この『えぞうかぞう』は、『何もかも』とか、『いろいろと』と言う意味ですが、いろいろな考えを出し合うとか、何もかもが上手く行かないような場合には使わなくて、物にたいして、「えぞうかぞう持ってきたねえ』とか、』えぞうかぞう出して』というような場合に使います。
例文→こればあ、えぞうかぞう出しちょったら何ともなるかえ。お客さんがくるに、はようしまわんか。
解説→これほど、何もかも出していたら何ともならないじゃないの。お客さんが来るから、早く片付けなさい。

☆*えっころ→なかなか だいぶん 相当
 この『えっころ』は、『なかなか』とか、『だいぶん』という意味ですが、あらゆる場面で使われることが多い言葉です。
あの人の病気は、『えっころ(相当)』悪いとね。とか、運動会で1番になったと、『えっころ(なかなか)』ええわねえ。や、『えっころ(相当)』なことがない限り、いなかには、もんて(帰って)くれらあせんぞ。のように、どんな場面でも使える言葉の1つです。

☆*えてがわりい→勝手が悪い 思うようにならない
 この『えてがわりい』は、『思うようにならない『とか、『難しいことヲ解決しなければならない』ような場合に使いますが、少々のことではなくて、考えたり、悩みぬかなければならない場合や、重労働をしなければならないような場合を言います。
同じような意味の言葉に、『なんぎな』があります。
例文→明日は、日いとい中、中腰でする仕事ばっかりじゃけん、なかなかえてがわりいがに困らあや。
解説→明日は一日中、中腰でする仕事ばかりだから、相当かってがわるいのに困る。

☆*えどる→なぞる
 この『えどる』は、『なぞる』と言う意味ですが、何も書いていない紙の上をペンなどでなぞるのではなくて、何かの下書きがしてある物の上をなぞることを言います。
例文→字が上手に書けざったら、先生の書いたがの上をえどってみたや。
解説→字が上手く書けないのなら、先生の書いたのをなぞってみなさい。

☆えびら→竹製の四角形の大かご
 この『えびら』は、『幅数センチの竹のひごで編んだ、幅90センチ、奥行き60センチ、高さ数センチほどの四角形の入れ物』です。
えびらには、サツマイモの煮た物を1センチほどの輪切りにして乾す時に使ったり、豆や山菜を乾したりする場合などに使います。
イメージとしては、畳3分の1くらいの竹製の入れ物です。
ちなみに、竹製のざるは『そうけ』と言います。

☆*えんこ→かっぱ
 この『えんこ』は、『かっぱ』と言う意味ですが、実存する生き物ではなくて、子どもが川の深い所で泳がないようにするために使われてきた言葉です。
昔は、親が遊びに付き合うといことが少なかったですから、危ない所に行かないようにと、いろいろなことを言って脅していました。
この『えんこ』というのも、その脅し言葉の1つです。
ちなみに、牛肉などの内臓を『えんこ』という地域もあります。
これは、『えんこ』は、臓物(内臓)を引き抜いて食べてしまうという言い伝えからきているのだと思います。
例文→深い所で泳ぎよったら、じきにえんこがきて、足を引っ張って連れて行かれるぞ。
解説→深い所で泳いでいたら、すぐにかっぱが来て、足を引っ張ってつれて行かれるんだからね。

☆えんだれる→伸びる よれよれになる
 この『えんだれる』は、『のびのびになる』とか、『よれよれ』と言う意味ですが、後に出てくる『しょうたれる』とほとんど同じ意味で使いますが、『しょうたれる』、『しょうたれている』が、人の性格や行動を言う時に使うことが多いのに対して、『えんだれる』は、洋服や物に大して言うことが多いです。
地域によってはどちらも同じ意味で使っている所もありますが、この辺りでは使い分けることが多いです。
例文→あの人は、いつ見たちえんだれたふうをして、家のもんらあも何ちゃあ言わんろうかねえ。
解説→あの人は、いつ見てもよれよれの格好しているけど、家族の人も何にも言わないのだろうかね。

☆*えんぴ→スコップ
 この『えんぴ』は、『先の尖ったスコップ』のことです。
先が真っ直ぐなものは、『角スコ』と言います。
ちなみに、炭火を救うスコップは『せんば』、花などを植え替える時に使う小さなスコップを『移植ごて』と言う地域もあります。


「お」

☆*おいがけ→子守ばんてん ママコート
 この『おいがけ』は、『子守ばんてん』と言う意味ですが、和服の上半分のような形をしていて、子どもを負ぶった時に親子が一緒に着る防寒着です。
中身は、真冬用は綿が入っていますが、そうでないものもあります。
ちなみに、袖が着いていると、家事や野良仕事に都合が悪いと言うことで、袖なしのおいがけを『亀のこう』と言います。
ママコートと同じ目的で使いますが、形は全く違い、和服を上半分にしたようなイメージです。

☆*お医者→病院
 この『お医者』は、単純に、『病院』と言う意味です。
昔は、『病院へ行く』とは言わないで、医師も病院も全て『お医者』と言っていました。
現在でも、お年よりは結構使っています。
ちなみに、病名などもこの地域独特の言い方があり、糖尿病のことは『八升』、脳梗塞や交通事故、高血圧などで身体に麻痺が残り、動けなくなったことを『ちゅうぶになった』などとも言いますし、コルセットやギプスのことは『ビビス』などというお年よりもいます。
糖尿病のことを『八升』というのは、八升の飯でも食べてしまうという意味で、『食いちゅうぶ』とも言います。

☆追い放ち→あけっぴろげ ほったらかし
 この『追い放ち』は、『家を開けっ放しにしている状態』や、『子どもをほったらかしで遊ばせている場合』などに使います。
この『追い放ち』は、この辺りだけで使われている言葉かも知れません。
例文→わしら、家の中に風を入れたいけん、いつでも、追い放ちにしちょるぜ。
解説→私は、家の中に風を入れたいから、いつも、開けっぴろげにしてるよ。

☆*おう→背負う しょう
 この『おう』は、負担を担うと言う意味ではなくて、『子どもを背負う』時などに使います。
ちなみに、荷物などの場合には、『になう』と言います。

☆*おおきに→ありがとう
 この『おおきに』は、単純に、『ありがとう』と言う意味ですが、関西地方でも使われているのではないかと思います。
ありがとうというより親近感があり、とても親しまれている言葉の1つです。
言い方は、年上の人に対しては『おおきにえ』、同世代なら『おおきにね』、年下には『おおきによ』などのように言います。

☆*おおのう
 この『おうのう』は、その言葉自体に意味があると言うより、いい初めにつける言葉の1つで、すでに起こっている状態に対して、それを解決しなければならない場合や、これから、難題に取り組まなければならない時などに、最初に、『おうのう』と言ったりします。
イメージとしては、独り言のようなもので、『まったくねえ』とか『困ったなあ』と言うような感じですが、ここで、文章で説明するのは難しいです。
やっぱり、これは語りじゃなければ、その雰囲気を出すのは難しい言葉の1つです。

☆*お客→宴会ごと
 この『お客』は、個人的に来客があると言うのではなくて、『祝儀、不祝儀の宴会』を言います。
地域によっては、『お客ごと』と言う所もあります。
高知県の宴会ごとには、皿鉢(さわち)料理が不可欠で、皿鉢(直径数十センチの大皿)に盛り込んだ料理は、それは豪快で豪華です。
県外の人は、皿鉢と聞けば、かつおのたたきと勘違いしていることも多いですが、中身はかつおのたたきを始め、巻き寿司やにぎり寿司の盛り合わせ、その他にも、刺身や肉のたたき・・・・など、いろいろな料理があります。

☆おく→にない棒
 この『おく』は、『にない棒』と言う意味ですが、直径5センチ、長さが自分の身長くらいの木の棒です。
両端に、持ち上げたかごや入れ物が棒から落ちないように、金のフックがついています。
ちなみに、両端が尖っているにない棒のことは『さす』と言い、稲の束を縛ったところで突き刺して使う農具もあります。
その稲を縛るひもは、『いそ』と言い、わらを結んで作ります。

☆*おこごろ→おたまじゃくし
 この『おこごろ』は、、単純に、『おたまじゃくし』と言う意味です。
どんな語源があるのかは知りませんが、多くの地域で使われています。
ちなみに、かえるのことは『おんびき』と言います。
その他、詳しくは「虫 生き物」のコーナーをごらんください。

☆*おせ→大人
 この『おせ』は、単純に、『大人』と言う意味です。
いろいろな地方で使われている言葉だと思いますが、単独で使うことは少なくて、『おせぶる(大人のように)』とか、『もう、おせだから。』のように、何かの言葉と組み合わせて使います。

☆*おじる→怖がる あきれる
 この『おじる』は、『怖がる』とか、『あきれる』と言う意味ですが、ただ怖がるのではなくて、怖くてどうしようもない状態や、物事や相手に対して、呆れきった場合に使うことが多いです。
例文→このこは、この犬にゃ毎日吠えられよるけん、ほんまに、おじきっちょる。
解説→このこは、この犬には毎日吠えられているから、とても怖がってる。

☆*おじんば→夫婦
 この『おじんば』は、、『夫婦』と言う意味ですが、自分の方から『おじんばで、・・・・うんぬん。』と言う言い方は少なくて、相手側から、『今日は、おじんばで来てくれたかねえ。』などのように使ったり、本人達のことヲ、他人が、『今日は、おじんばで来たかしらん。』のような言い方をします。
ちなみに、兄弟姉妹のことは『おとどい』と言います。

☆*おっこうな→大げさな
 この『おっこうな』は、『大げさな』と言う意味ですが、大それたという意味だけではなくて、この辺りでは、物事を大げさに言う時や、少しのことで驚いたり、泣いたりすることも『おっこうな』と言います。
例文→そればあなことで、泣かんでもええわや、おっこうな。
解説→それくらいのことで泣かなくてもいいじゃない、大げさなんだから。

☆*おっちょこちょい→せっかち 慌てん坊
 この『おっちょこちょい』は、『せっかち』とか、『慌てん坊』と言う意味ですが、前に出てきた『いられ』とは少し違い、いられは、いらいらしていつまでもじっと待っていられないとか、気が短い人のことヲ言う場合が多いのに対して、『おっちょこちょい』は、物事をよく確認しないで行動に移してしまって失敗した時や、足元をよく見ないでつまずいてしまった場合などに、『おっちょこちょいじゃけん(だから)』などと使います。
例文→また、こけたかよ。このおっちょこちょいには、ほんまに何ともならんけんねえ。
解説→また、転んだの。この慌てん坊には、本当に何ともならないんだから。

☆*おと→雨戸
 この『おと』は、『木製の雨戸』のことです。
昔は、雨戸を閉めると、その雨戸が乾くまでずっと閉めたままでした。

☆*おとどい→兄弟 姉妹
 この『おとどい』は、単純に、『兄弟 姉妹』のことです。
ちなみに、末っ子のことは『おとんぼ』、仲の良い友だちは『ほうばい』と言います。

☆*おとどしい→久しぶり 便りがない
 この『おとどしい』は、久しぶりに会った時などには、『えらい、おとどしかったね。』のように言いますが、しばらく会っていないような場合には、『あの人は、えらいおとどしいが、元気じゃろうか。』のように使います。
久しぶりに会って懐かしいというのではなくて、しばらく会わなかったねということを強調するときに使います。

☆*おとめ→お返し
 この『おとめ』は、、単純に、『お返し』と言う意味です。
入れ物に入れて物をいただいた時に、その入れ物を空で返すのは失礼だということで、そのお礼の品を『おとめ』と言います。
昔、何もおとめがない時には、マッチを2、3本入れて返しました。

☆*おどろく→目が覚める
 この『おどろく』は、びっくりしたという意味でも使いますが、この辺りでは、『目が覚める』という意味でも使います。
東京の知り合いに、今日は5時におどろいたと言うたら、えぇっ・・・と驚かれた。と言うような勘違いもあります。
例文→それほど太い声出しよったら、ようかい寝た子がおどろくじゃいか。
解説→そんなに大きな声を出していたら、やっと寝た子が目を覚ますじゃないの。

☆*おとろしい→怖い
 この『おとろしい』は、単純に、『怖い』という意味でも使いますが、あの人は、何を考えているか分からないから怖くてたまらないというような場合に、『おとろしい人』のように使います。
例文→あの人には、めったなこと言われんぜ。後が、おとろしいけん。
解説→あの人には、めったなこと言ってはだめだよ。後が怖いから。

☆おどろ→茂み
 この『おどろ』は、『茂み』と言う意味ですが、土佐清水市の方で多く使われているのではないかと思います。
ちなみに、日陰は『ひみず』、草などが茂っている状態を『しずえ』と言います。

☆*己ばえ→自然繁殖
 この『己ばえ』は、人工的に種を撒いて増やしたり、育てたりするのではなくて、『自然に種が落ちたり、根が張ったりして増えること』を言います。

☆*おばち→尻尾
 この『おばち』は、魚から動物など、全ての『尻尾』のことを言います。
ちなみに、魚のことは『いよ』、かにのことは『がね』、鮎のことは『あい』と言います。

☆*帯革→ベルト
 この『帯革』は、『革製のベルト』のことです。
布製やビニール製のものは、正確には帯革ではありませんが、この辺りでは、ベルト全部を『帯革』と言うことも多いです。

☆*帯せ→ウエスト
 この『帯せ』は、『ウエスト』の意味で使っていますが、帯を巻くところからきているのではないかと思います。
ちなみに、肩は『けんじょ』、腕は『やで』、かかとは『きりぐさ』と言います。
詳しくは、「体の名称」のコーナーをごらんください。

☆*帯ちょう(おびちょう)→帯状疱疹
 この『帯ちょう』は、『帯状疱疹』のことですが、地域によっては、『神経の花』ということもあります。
ちなみに、食べ物にあたって体中に出る蕁麻疹のことは『ほっぱん』と言います。

☆*おびる→化膿する
 この『おびる』は、『化膿する』と言う意味ですが、多くの地域で使われている言葉ではないかと思います。
この辺りでは、化膿することを、別に『ふしける』とも言います。

☆*おへな→ゆっくりしている 落ち着いている
 この『おへな』は、『ゆっくりしている』とか、『落ち着いている』というような意味ですが、あまり良いことには使わず、少しばかにしたような場合に使うことが多いです。
例文→何頼んだち、あればあおへな言うたら、何ともなるかい。
解説→何をお願いしても、あれほど落ち着いていたら、何ともならない。

☆おぶう→水
 この『おぶう』は、単純に、『水』のことですが、この辺りだけで使っている言葉かも知れません。
ちなみに、小さな子どもには、『ぶんぶ』と言います。

☆*おぶう→埋める
 この『おぶう』は、単純に、『埋める』と言う意味です。
上の『おぶう』と同じように書きますが、水の『おぶう』は、『ぶう』にアクセントをつけるのに対して、埋めるの『おぶう』は棒読みです。
この言い方の違いを、文章で説明するのは難しいです。

☆おべんちゃら→ごますり おせじ
 この『おべんちゃら』は、ごまをすったり、相手を上手に持ち上げて自分をアピールしているような時に、その人に対して他人が言う言葉です。
自分から自分のことを『おべんちゃらだから』と言うようには使いませんが、冗談交じりで、『今日は、上司におべんちゃら言ってやった。』のように使うこともあります。

☆*おぼこい→子どもらしい 童顔
 この『おぼこい』は、『子どもらしい』と言う意味ですが、実際の年齢に対して、若く見えるとか、純情なと言う意味で使います。
子どもらしいというイメージとは少し違い、『おぼこい』は、子どものような純情さがあるような感じで、子どもらしいのは、ただのわがままのような場合に使うことが多いです。
ちなみに、大人ぶるは『おせぶる』と言います。

☆*おませ→大人ぶっている
 この『おませ』は、上の『おぼこい』の逆で、子どものくせに、お姉さんや大人のようなふるまいや考え方をする子どものことを、『おませさん』とか『おませじゃけん』などと言います。
この『おませ』には、小さい子どもから大人になるまでの時期を言いますから、とても応用範囲が広い言葉です。
この辺りでは、お姉さんや大人のようなふるまいや考え方をする子どものことを『おせぶっちょる』とも言いますが、おせぶっちょると言うのは、少し年代が高くなった子どもに使う場合が多いです。

☆おやき→おにぎり
 この『おやき』は、『おにぎり』のようなものですが、昔からの『おやき』というのは、おにぎりにして、炭火で焼いた焼きおにぎりのことです。

☆*およけない→汚い 不潔
 この『およけない』は、『汚い』とか、『不潔』と言う意味ですが、少し汚れているとか、ぬるぬるしているような状態ではなくて、不潔の限界にきたような場合に使うことが多いです。
同じような意味の言葉に、『いびしない』があります。
この辺りでは、きたなくてどうしようもないものを、『牛ののどに3年ほどはいっちょったものみたいな』とオーバーに表現することもあります。

☆おらぶ→叫ぶ 困りきる
 この『おらぶ』は、『大声で叫ぶ』という意味でも使いますが、この辺りでは、物事に対して苦労したとか、難題を抱えて困りきっているような場合にも使います。
例文→今朝は、仕事に行きよったら前の車が事故して、警察も救急車も、なかなかこんがに、ほんまにおらんだ。
解説→今朝は、仕事に行っていたら前の車が事故して警察も救急車も、なかなか来なくて、本当に困った。
例文2→今月中にしまいつけなあいかん大仕事がようけあるけん、これから一時はおらぶけんねえ。
解説→今月中にしまいつけないといけない大仕事がたくさんあるから、しばらくは、とても大変なんです。

☆*おらんく→自分の家
 この『おらんく』は、単純に、『自分の家』と言う意味です。
ちなみに、君の家は『われんく」、そこにいない人で話の中に出てきた人の家は『あいとんく』と言います。
この辺りでは、自分のことは『おら』、君のことは『われ』、その他の人は『あいと』とか『そいと』などと言います。

☆おんだあ→自分
 この『おんだあ』は、単純に、『自分』と言う意味です。
他に、どの辺りで使われているかよく分かりませんが、この辺りでは、自分のことは『おんだあ』とか『だら』、『わし』とか『おら』などと言います。
ちなみに、お年寄りなどは、女性でも自分のことを『おら』と言いますが、若い人は『うち』ということも多いです。

☆*おんちゃん→おじさん
 この『おんちゃん』は、単純に、『おじさん』と言う意味ですが、高知県だけで使われているようです。
この辺りでは、同じ『おんちゃん』でも、2通りの言い方があって、イントネーションの違いで、親類、親しいおんちゃんと、その他のおんちゃんを呼び分けています。
ちなみに、おばさんのことは『おばちゃん』という場合が多いですが、親類のおばや親しいおばちゃんのことは『あば』と言うこともあります。



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