アウリンの幡多弁辞典
独特言葉


 このコーナーは、話の前につける強調言葉や、幡多独特の言い回し、日頃何気なく使われている言葉でも、それほど意味のないものや説明がしにくい言葉などを書いてみました。


<話の前につける言葉>

☆おうのう
 この『おうのう』という言葉は、前の状態に対して、、あまりうれしくないことや、やっかいなことを今から解決しなければというような時に使ったり、これから、どこかへ行かなければならないときや、何かを始める時などに使うことが多い言葉です。
例文→おうのう、今もんて来たとうじゃに、またいかなあいかんかよ。
解説→本当にねえ、今帰ってきたばかりなのに、また行かなければならないんですか。

☆たかでねえ
 この『たかでねえ』は、お互いが知っている人や物事に対して、変化があったような場合に使うことが多い言葉です。
意味は、『それはそうと』とか、『びっくりしたのだけど」というイメージです。
例文→たかでねえ、あそこの嫁さんは、ええ人ができちょる言うて、隣のばあさんが言いよった。
解説→それはそうと、あそこのお嫁さん、いい人ができたと、隣のおばあさんが言ってた。

☆だあいや
 この『だあいや』は、相手の言ったことに対して、『そうですか』とか、『それには驚いた』というイメージで、自分が先に話しかける時には、ほとんど使わない言葉です。
例文→好子姉さんが、明日は高知へ行かなあいかんけん、畑の手伝いには来れん言いよったぜ。
   だあいや、来れん言いよったかねえ、そりゃ、げに(本当に)困ったよ。
解説→好子姉さんが、明日は高知に行かなければならないから、畑の手伝いには来られないと言ってたよ。
   そうですか、来れない言ってましたか。それは、本当に困った。

☆ちゃんとしもうた
 この『ちゃんとしもうた』は、やってしまったことや、言ってしまった言葉に対して、『困ったなあ』とか、『うっかりしていた』などのイメージです。
例文→ちゃんとしもうた、せっかく店まで行っちょるに、洗濯粉をこうて来なあならんがじゃった。
解説→うっかりしてた、わざわざお店まで行っていたのに、洗濯粉を買って来なければいけなかった。
例文2→あの人に、あんなことを言うて、ちゃんとしもうた。
解説→あの人に、あんなことを言ってしまって、本当に困ったなあ。


<強調言葉>

☆ちいととようけとちがう
 これは、『かなり違う』ということですが、逆の言葉を使うことで、ちいと(少し)ではないという意味合いを強調したいときなどに使うことが多い言葉です。
同じような言い方に、『探すも探さんもない』、『食べるも食べんもない』・・・など、たくさんあります。

☆味もしゃしゃらもない
 この『味もしゃしゃらもない』という意味は、『全く味がしない』ということで、味がないということを、しゃしゃらという関連性のない言葉をつけることで、それを強調しています。

☆間にもへちまにもあわん(まにもへちまにもあわん)
 この『間にもへちまにもあわん』は、『行動が遅くて話にならない』というような意味で、上記の『味もしゃしゃらもない』というイメージと同じです。
その他にも、『ああじゃこうぢゃいうたち』、『行くじゃすっぺったじゃ言うたち』・・・なども同じような意味合いや、イメージで使われることが多い言葉です。

次に、『痛いの何の』、『硬いどころの』、『うれしいのかんじゃない』、『暑いっちょなもんじゃない』、『うれしいくらいのこっちゃない』
これらは、全て前の言葉を強調するときに使うもので、言い方は違っていてもイメージとしては同じで、痛いとか、うれしいというのを強調するためにつける言葉です。


<独特言葉>

☆どち→と
例文→すぐに行こうどちする。 いのう(帰ろう)どちかまえちょる。
解説→すぐに、行こうとする。 帰ろうと構えている。

☆ちや→だよね
例文→今日は、お医者がつんじょったがに、よいよ困ったがちや。
解説→今日は、病院が込んでいて、本当に困ったんだよね。

☆なが→なの
例文→このお菓子、、食べたらいかんがなが。
解説→このお菓子、食べてはだめなの。

☆がかい→てるの
例文→雨が降ってきそうなけん、洗濯物を入れ夜がかい。
解説→雨が降って来そうだから、洗濯物を入れてるの。

☆と→だって
 この『・・・と』の意味は、人から聞いたことを、次の人に伝えるときに使うことが多い言葉です。
例文→あそこの家、今年の暮れには建て替えるがと。
解説→あそこの家、今年の暮れには建て替えるんだって。

ち→て
この『ち』というのは、幡多郡(特に宿毛市周辺)で使われることが多い語尾です。
その代表格が→行っちきちもんちきちです。
解説→行ッテ帰ってくる。
例文2→近頃は、野菜がたこうちのせんねえ。
解説→最近は、野菜が高くて大変だよね。

☆かわらん→らしい
例文→今度の移動で、あの先生遠くへ変わるにかわらんぜ。
解説→今度の移動で、あの先生遠くに変わるらしいよ。
例文2→隣のおじいさん、昨日入院したにかわらんぜ。
解説→隣のおじいさん、昨日入院したらしいよ。

☆おせ→ください
この『おせ』というのは、目上の人に対して使うことが多い言葉です。
例文→すまんが、どしたち背中がいとうてのせんがじゃけんど、ちいと見とおせや。
解説→、すみませんが、すごく背中が痛くてどうしようもないから、少し見てくれませんか。

☆しゃれ→ください
この『しゃれ』は、上の『おせ』というのと同じ意味合いで使いますが、ごく親しい人同士で使うことが多い言葉です。
妻が夫に使ったり、年上の友だちなどに使うことが多いです。
例文→長いこと、車に乗っちょったけん、ことうつろうがえ。まあ、ここへかけっしゃれや。
解説→長い間、車に乗っていたから疲れたでしょう。まあこのいすに座ってください。

☆のうし
この『のうし』は、上の『おせ』や『しゃれ』と同じ意味合いの言葉で、話の語尾につけて使います。
例文→こんなとおから、どこへ行きよらのうし。
解説→こんなに早くから、どこへ行っているんですか。

☆もうか→みようか
この『もうか』は、幡多郡でも四万十市(旧中村市)周辺で使われることが多い言葉で、宿毛市周辺では、ほとんど使われていません。
例文→今日は、洋服の安売りがあるけん中村へ行ってもうか。
解説→、今日は、洋服の安売りがあるから中村へ行ってみようか。

☆ばあ→ほど
例文→腹が減ったら何ちゃあできんけん、何でも好きなばあ食え。
解説→お腹がすいたら何もできないから、何でも好きなほど食べなさい。

☆つもんじゃあるかえ→たまらない
例文→醤油をひっくり返したもんじゃけん、臭いつもんじゃあるかえ。
解説→醤油をひっくり返したものだから、臭くてたまらない。

☆らし→は あたり
例文→今日らし、町へ野菜の種を買いに行こうと思いよらあえ。
解説→今日は、町へ野菜の種を買いに行こうと思ってる
例文2→明日らし、衣替えをしようと思いよる。
解説→明日あたり、衣替えをしようと思ってる。

☆けんど→けど
例文→今日は、ざまに暑うなるつけんど、長袖を着いち行くかえ。
解説→今日は、かなり暑くなるらしいけど、長袖を着ていくかい。

☆よいよ→すごく とても
例文→よいよ、困った。
解説→すごく、困った。
例文2→昨日の雨にゃ、よいよ、ことうた。
解説→昨日の雨には、すごく疲れた。


<状態を表す言葉>

☆ぞんぞん→ぞくぞく

☆ぞいぞい→刃物などがよく尖っている上体

☆いぞいぞ→体に虫などがはっている感じ

☆やりやり→やけどしたところが痛むような上体

☆ずくずく→傷が痛む状態

☆ほじゃほじゃ→枯れ木を食べているような感じ

☆じかじか→重苦しい痛み

☆わじわじ→弱い痛みが続くような状態

☆ちんちん→頭痛などの連続的な痛み

☆かっかかっか→顔がホテルような状態

☆ぽっほほっぽ→体が温まった状態

☆ふたふた→心臓が踊る状態


<その他>
☆こと あと そと→この人 あの人 その人

☆ことのす あとのす そとのす→この人 あの人 その人(下品な言い方)

☆こっちゃ あっちゃ そっちゃ→こっち あっち そっち

☆ころばあ あろばあ そろばあ→これだけ あれだけ それだけ

☆こういうたち ああいうたち そういうたち→このように言っても あのように言っても そのように言っても

こんげに あんげに そんげに→こんなに あんなに そんなに



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